監視網に覆い尽くされて内面は無

世界の何処にいても空から特定の人を補足し追跡することが出来る。
地上では当事者以外に知られたくない会話も話し合いも重要な会議もスマホひとつあれば録画、録音可能であるので、常にSNSに拡散される可能性を想定しながら日々の暮らしを営む必要がある。

少なくとも私的領域と公的領域を隔てる「壁」は失われている。
他者からの視線を遮る不可視の領域が喪失した。

地表の世界と仮想空間が同値される。

この状況を言い表すなら世界から視覚が喪失されたとなる。
見ることと見られることが同じになれば現存在は存在に放下され存在は基盤を持たない「無」となる。