所詮は語れない

朋友は自刎し小舟は海原に漂う。

指針無く寄辺無く酒色に溺れる。

奥屋に蟄居し独学に徹すること幾星霜。

職無く偸盗の噂絶える事無し。

乾燥した気配に焚書の憂目に遭難す。

剣呑な刺青人皮と邂逅するも書物に没入し憩うこと尠し。
新月を肴に夜な夜な胡弓を奏する。