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#1 フィリピンの運転手さんたち(1)

2019年3月にフィリピンを訪れた。

日本語教師をしていた時や学習教室でボランティアをしていた時にフィリピン出身の人たちからフィリピンのことを聞いたり、いつも楽しそうで朗らかな彼ら彼女らの様子を見て、フィリピンには一度行ってみたいと思っていた。

日本に留学経験のあるフィリピンの知人から、フィリピンは日本に比べて治安が悪く一人で歩くのは危険だと聞いた。なので電車やジープニー(乗合バス)は避けてなるべくタクシーで移動した方が良いとアドバイスをもらった。慎重な質の私は知人のアドバイス通り、歩けるときは徒歩で、それ以外はタクシーを利用した。

日本より物価が安いフィリピンなのに、マニラでタクシーに乗りまっくた結果、日本で電車移動するのと同じくらいけっこうな額の交通費がかかった。でもそのお陰でタクシーの運転手さんたちと色々とお喋りすることもできた。

そんな中で出会った個性的なタクシー運転手さんを4人紹介したい。

一人目は、マニラの空港に降り立ったあと、中心街へ移動するときに乗ったタクシーの運転手さん。

マニラは渋滞がすごいと事前に聞いてはいたが、噂通りその日はすごい渋滞だった。空港を出てすぐに渋滞に引っかかって全然進まなかった。でも、運転手さんがかなり面白い人だったので全然退屈しなかった。

その運転手さんはお喋り好きのようでひたすら喋り倒していた。私は質問攻めにあい、どこから来たのか、から始まり、フィリピンではよくあることらしいが、結婚しているのか、恋人はいるのか、など初対面なのにかなり突っ込んだことも聞かれた。恋人はいないと私が答えると、「フィリピンで彼氏できたらいいね~」と軽い感じの運転手さん。

これから何をするのかと聞かれ、友人に会いに行くと私が答えると、運転手さんはすかさずその人は男かと聞いてきた。男だと私が答えると「その人はボーイフレンドじゃないの?」と運転手さん。ボーイフレンドではなくただの友人だと私が答えると「な~んだ~、ボーイ・スペース・フレンドなのか~」とのこと。Boyfriend(彼氏)ではなくBoy Friend(BoyとFriendの間にスペースが開いている、つまり、男友達)ということらしい。この「ボーイ・スペース・フレンド」という言葉が気に入ったらしく、運転手さんはその後何度も「ボーイ・スペース・フレ--ンド!」と言って私をいじりまくって爆笑していた。タクシーを降りる時も「ボーイ・スペース・フレンドと楽しんできてね」と送り出してくれた。

なんとも愉快なこの運転手さんは、英語がとても上手で、運転の腕も確かだった。渋滞に捕まらないような抜け道をいくつも知っていてショートカットしてくれたお陰で予定より早く目的地に着いた。
運転手さんは田舎に住む家族と離れて暮らしているそうで、家族を養うのにフィリピンでは現状十分な収入を得るのが難しいので今後はドバイで運転手の仕事を探そうかと考えている、と真面目な話なんかもしてくれた。

運転手さんがエンターテイナーだったのでなんとも楽しい時間だった。

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