辣油辞典:花瓶

 [文責:高梨辣油]
 花瓶といえば当然陶器が思い浮かぶものであるが、「花を生けておくもの」を便宜上花瓶と呼ぶことも意外と少なくないように思える。病室に置いてある一輪だけ花が生けてあるペットボトルをなんと呼ぶだろうか。少なくとも「ペットボトル」よりは、「花瓶」と呼ぶ場合が多いのではないかと思う。花瓶という言葉は、花を生ける瓶から、単に花を生けるもの、という意味にある意味「花瓶」は言葉の変化の象徴といえる...のかもしれない。
 他に花瓶と似たような言葉を探してはいるが、意外と出てこないものだ。技術の進歩によって旧来のものとは違うもの(使いやすい、もしくは生産コストが低いもの)で代用される場合は多いのだが、具体的な物質の名前が入っているものとなると見当たらない。炊飯釜じゃだめなのだ。具体的な素材の名前が入っていて、今では違うものが使われているが便宜的にもう使われていない素材の名称が入っていなければ。
  取り乱してしまったが、花瓶がある場所、といって思いつく場所は人によって異なるような気がする。玄関という人もいれば、病室という人もいるだろう。もしかしたら花瓶といえばどこにあるか、という質問でその人の人となりが多少分かる...かもしれない。
 花瓶を考察するとは一体何だ。

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