「エモい」は「あはれ」の現代語?
最近、若者の間でよく交わされている「エモい」という言葉。
英語の「emotional」を日本語の形容詞化して「emoい」
にした言葉なのであろうが、
どうやら「emotional」とは、
用法や意味合いが機微に異なるようである。
僕には、この「エモい」という言葉の意味や使い方がよく分からなかったのだが、
(恐らく、帰納的に理解するに足る用例に触れて来なかった所為だろう。)
先日、「エモい」と「あはれ」とは互いに置換可能な関係に有るのではないか、という着想を得て、
実際にやってみると、どうにも合点がいったのであった。
なるほど、「エモい」とは「あはれ」を現代風に言い換えたものか。
などと
余り人の気付いていない事柄に気付いた、という優越的悦びと、
若い人にも情趣の精神が残っていてよかった、という安堵感に浸っていたのだが、
それも束の間、本当にそうか?
と懐疑が遮ってきた。
せめて辞書くらいは引かねば、と思って引いてみると
あはれ (weblio古語辞典)
[一]感動詞
ああ。あれ。
[二]名詞
①しみじみとした趣。しみじみとわき上がってくる気持ち。
②寂しさ。悲しさ
③愛情。人情。情け。
エモい (wikipedia)
エモいは、英語の「emotional(エモーショナル)」を由来とした、「感情が動かされた状態」[1]、「感情が高まって強く訴えかける心の動き」[2]などを意味する日本のスラング(俗語)、および若者言葉である。
意味
感情が揺さぶられたときや、気持ちをストレートに表現できないとき[1]、「哀愁を帯びた様」[3]、「趣がある」[4]「グッとくる」などに用いられる。
emotional (weblio英和和英辞書)
形容詞
(more emotional; most emotional)
1〈人・性質など〉感情に動かされやすい,感情的な,情にもろい,感激しやすい.
2〈音楽・文学など〉感情に訴える,感動的な.
3(比較なし) 感情の,情緒の.
とあった。
やはり、何か言葉では表現しづらいものの、大きく感情を動かされた状態を表すのに、
「エモい」と「あはれ」は類似している。
字義的なものに過ぎぬ上に、
流石に同義ととるのは無理があるが、
「エモい」を「あはれ」の精神のリバイバルとしてみることは、
案外、絶対不可能だというほどのものでもなさそうである。
言語学者ではないので、
用例まで調べる気にまでは至らぬが、
そういう研究が為されてはいなかろうか?
と、興味が湧いた。
【日日是考日 2020/11/10 #028 】
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