求めぬ。欲さぬ。

【日日是考日　2020/10/27 #015 】

よきひとうづもるゝも世のならひ、よきひと計り繁昌につきては悪しき者みな餓ゑに及ばん。善し悪しを混ぜ合わするは皆これ天道なりと心得べきなり。

らしい。

思えば、
「善い行いをすればそれだけ自分に見返りがある」
「pay forward」
のような教えを暫く信じていたこともあったが、
どうもそうでもなさそうである。

当然、定量的に測り得るものでもないが、
（心理学的に検証出来るならして頂きたい）
特に精神的配慮など人に十分解されることの方が少なかろう。

人は、恩より仇の方が記憶に残りやすい、ということが言えるかもしれない。
少なからず、自分はそうである。

だからといって損得勘定をする訳でもないし、すべきでもなかろう。

寧ろ、見返りを求めようとする時ほど、
私益を求める卑しい自分を認識するものである。

それならば、見返りもなく善い行いを為し、
自らを善人だと認めて尊ぶのが、清浄なことと言えよう。

（自尊心を高める目的が動機となるのも、また卑しいのかも知れぬが。）

世に栄えることを求めようが、
自分の力では如何ともし難い。天道次第である。
程度の良い諦観を持つのが、
最も世の道理にそぐわしいのかもしれない。