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僕は彼女が好きで、彼女も僕が好きで。

僕はチケットを買い、お笑いライブに行って、彼女と笑って家に帰る。
明日は精神科の診察の日だ。
メンタルクリニックの先生は、開業医だ。
先生の奥さんは、黄色いスポーツカーに乗っている。
僕は10分足らずのカウンセリングを受ける。
僕の週末は、彼女との時間だ。
彼女は運転免許を持っているが、僕には免許が無い。
僕は彼女の車でデートへ出掛ける。
僕は料理の得意でない彼女の代わりに、お弁当を作って、緑色が輝く芝生の公園に行き、
二人で食べる。
冬の公園を厚着で30分歩くと、中々に汗を掻く。
公園は山になっていて、頂上のつつじの花畑は、季節が違うので、花は咲いていない。
でも、そんな寂しい頂上からの見渡しは、最高に奇麗だった。
僕と彼女は、只々その景色に感動した。
彼女は楽しい筈なのに、なぜか目が潤んでいた。
「泣いてるの?」
彼女は涙を零して振り向いて言った。
「嬉しいの」
彼女の声は元気だった。
僕の心には、壮観な景色と彼女の笑顔だけが残った。

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