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クリエイティブの無人化

大晦日です。

進化したMidjourney v6は年越しそばも生成できるようになりました。

New Year's Eve soba noodles dipped in warm soup with shrimp tempura on top --ar 16:9 --v 6.0 --no shrimp heads

v5.2と比較すると、目覚ましい進歩です。

New Year's Eve soba noodles dipped in warm soup with shrimp tempura on top --ar 16:9 --v 5.2 --no shrimp heads

2023年元旦の投稿で、誰もがデジタルクリエイターになれる時代が到来したと書きました。今年最後の投稿となる今回は、この一年を通してクリエイティブ界隈がどれだけ変化したのかを書いてみます。

誰もが無料でクリエイターになれる

まずは、無料で使えるグラフィックデザインツールCanvaの台頭について。

2019年から2023年までのCanvaの月間アクティブユーザー数の推移です。Canvaのユーザー数は、ここ数年で大幅に増加していることが分かります。特に、2020年から2023年にかけて急速に成長しています。

ChatGPTで生成したCanvaの月間アクティブユーザー数の推移

2023年10月時点では、世界190カ国で利用されており、月間アクティブユーザー数は1億5000万人を突破しています。

Canvaはオンラインで使える手軽さに加えて、40万点を超える豊富なテンプレートを活用することで、非デザイナーでもそれらしいクリエイティブが作れてしまうという点が魅力です。画像だけでなく動画編集も、プレゼン資料も、WebサイトだってCanvaで作れます。

Canva以外にも、簡単にWebサイトを構築できるサービスが増えました。

クラウドベースのWebサイト作成ツールであるSTUDIOは、デザインツールFigmaのデータを一瞬でWebサイトに変換する機能をリリースして話題になりました。

わたしたちが業務でよく使用しているWordPressも、ブロックエディタがどんどん進化していて、いい感じのサイトをほぼノーコードでさくっと作ることが可能になりました。

フリーイラスト素材サイトも増えました。

少し前まではいらすとや無双の時代でしたが、今ではクオリティが高い商用利用可の素材サイトがたくさんあります。最近は大手企業のWebサイトなどでも、普通にフリーイラストが使用されていますね。

かくして、ノンデザイナーやノンエンジニアでも簡単にクリエイティブが作れるようになり、巷にはどこかで見たような画一的なバナー・Webデザインが溢れ返っています

穿った見方をすると、オリジナリティと成果には相関がないことが露呈したようにも見えますね。

商業クリエイターは生成AIに駆逐される?

更にテクノロジーは進化して、手を動かす必要すらなくなりつつあります

Mozillaが開発したSoloは、基本的な情報を入力するとAIが自動的にWebサイトのデザインを作成し、公開までサポートしてくれます。

SoloはFacebookページなど外部サービスから情報をスクレイピングし、AIが内容を理解してコンテンツを生成、適切な画像素材をストックフォトサービスから選定してくれます。

Soloを使ってファブラボやまぐちのWebサイトを作成してみました。このサイトを構築するのに掛かった時間はわずか5分です。

今はまだ写真を差し替える機能がありませんが、いずれそれも実装されて、将来的にはテーマに合う画像をAIが自動生成するようになるのでしょうか。

広告作成の自動化も進んでいます。

サイバーエージェントは、生成AIを活用した広告効果の高い商品画像の自動生成機能を開発し、2024年1月より順次本格運用を開始することを発表しました。

画像生成AIを活用することで、これまで商品画像などの撮影に掛かっていた時間と費用を削減できるだけでなく、より早く多くの広告を世に放ち効果を検証することができるようになります。

自動生成されたWebサイトや商品画像で充分な成果が出ることが証明されたあかつきには、広告制作に関わっているクリエイターは大きな影響を受けることでしょう。

人が作らなくても成果が出た、むしろ人が作らないほうがコスパが良かったということが、数字で証明されてしまうかもしれません。そのとき、わたしたちの仕事はAIに取って変わられるのでしょうか?

来年1月以降の動向に注目です。

スタッフが全員AIに置き換わる未来

そして、やはり2023年を語るうえでChatGPTの話題は外せません。

特にインパクトがあったアップデートは、自分好みにカスタマイズしたChatGPTを作成できるGPTsという機能が追加されたことです。

まだ使い始めたばかりで絶賛チューニング中ですが、私のChatGPTの画面には各々が専門分野を持ったGPTsアシスタントが増殖し始めています。

プロフィール画像はMidjourneyで生成しました

例えば、Web広告のバナー画像を考えたいときに、デザイナーのGPTsアシスタントに依頼をすれば、ものの数秒でたたき台を作ってくれます。

まだチューニング中なのでこんなものです

業務で使えるようになるまでには調整が必要ですが、それは人間のスタッフだって同じこと。いきなり即戦力を求めるのは虫が良すぎます。少しずつ仕事に投入して、仕事ができるようになるまで育成していきます。

最近よく想像するのは、実用レベルまでチューニングされたGPTsアシスタントが、Slackなどのビジネスチャットに常駐するようになった未来です。

そうなったとき、GPTsアシスタントとリモートワーカーとの間に、明確な差を見出すことが出来るでしょうか?リモートワーカーと仕事をしていたつもりが、実はGPTsでしたというようなことも起こりそうです。

気付いたらスタッフは全員GPTsになっていた…みたいな世界線もあるかもしれません。

そしてクリエイターは誰もいなくなった

クリエイティブの現場にも、本格的に自動化の波がやって来ました。

テクノロジーの進化によって民主化されたクリエイティブは、AIによる自動化で更なる進化を遂げ、制作の現場は徐々に無人と化していきます

一夜にしてすべてのクリエイターが淘汰されることはないにせよ、誰しもが知らず知らずのうちにこのトレンドに巻き込まれていくことでしょう。

今はまだ生成AIを活用したというだけで話題性があり、使う側もあえてそれを公言するフェーズですが、いずれはわたしたちが認識できないぐらいの精度で社会に溶け込み、わざわざ「生成AIを活用しました」とは誰も言わなくなります。

やがて世界は自動的に作られたもので溢れ、計算され尽くしたクリエイティブが隅々まで行き渡った頃、人力でデジタルコンテンツを制作する仕事は、伝統工芸のような扱いになっているかもしれません。

デジタルクリエイティブの現場が大きな転換期を迎えた2023年が終わろうとしています。クリエイターのみなさん、無人化の時代に備えましょう。

では、良いお年を。

Pounding Mochi With the Fastest Mochi Maker in Japan --ar 16:9 --v 6.0
「餅つき」はまだ学習していないらしい


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