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軽はずみに始める

毎日のように生成AIを活用しているうちに、あることに気付きました。

クリエイティブの心理的ハードルが、日増しに低くなっているのです。

わたしたちの仕事は、「なにをつくるのか?」から考えることが多いです。0から1を作るとき、その選択肢は無限にあります。

無限にあるものから候補を絞り取捨選択するという行為は、けっこうな時間と脳のエネルギーを消費します。

その時間とエネルギーを、生成AIを活用することでかなり削減できるようになってきました。

たたき台の作成が容易になった

生成AIの最大の魅力のひとつは、抽象的なアイディアを具体的な形にする能力です。例えば、ビジネスプランやキャッチコピー、ブログ記事、サムネイル画像など、作成のプロセスを大幅に簡略化します。

ゼロからクリエイティブを生み出すとき、初稿からいきなり完成形をアウトプットできることは非常に稀です。

たいていはリサーチにより方向性を決めたのちに、たたき台(原案)を作って徐々にブラッシュアップしていきます。

たたき台とは、クリエイションにとって重要であるにも関わらず、決して日の目を見ることがない悲しい存在です。

たたき台は議論のきかっけとして作られ、「ここが違う」「もっとこうした方がいい」などと批判され、袋叩きにされ、ときに原型が分からなくなるぐらいまで改変されます。

作ったものを批判されるという役割は、人によってはしんどいでしょうし、たたく方もそれなりに気を遣います。

生成AIを活用することによって、高速にたたき台を生み出すことができるだけでなく、誰も傷つかないので遠慮なくボコボコに叩くことができます。

たたき台を構成する5つのS

「仕事がデキる人のたたき台のキホン」という本のなかで、たたき台の構成要素として「5つのS」という概念が紹介されています。

「スピード」 まずは手を動かす! 
「シンプル」 とにかくわかりやすく!
「刺激」 みんなから反応を引き出す
「質問力」 的確に問いかける
「隙をつくる」 固めすぎず突っ込ませる

この「5つのS」に沿って、生成AIを活用するメリットを考えてみます。

スピード

文章作成やデータ分析を短時間で行うことができ、初期のアイデアを具体化するスピードを劇的に向上させます。即座に行動を起こし、フィードバックを得ることができるため、試行錯誤のサイクルが速まります。

シンプル

データの要約や視覚化を通じて、重要なポイントを簡潔に整理することができます。シンプルさは情報の伝達と理解を促進し、コミュニケーションの効率が向上します。

刺激

AIが生成するアイディアは、こちらが想定していなかった突飛なものであることがあり、新たなインスピレーションを与えてくれます。想定外のアイディアは活発な議論の引き金になります。

質問力

生成AIはコーチのような使い方もできます。AIに質問してもらうことで、言語化できていなかった潜在的な思考を引き出し、課題解決に向けた具体的なステップを明確にすることができます。

隙をつくる

生成AIのアウトプットは、良くも悪くも一般的で核心をついていない場合が多く、ツッコミを引き出す余地があります。議論を活性化し、より深い理解と創造的な解決策を引き出すのに役立ちます。

このように、生成AIにたたき台を作ってもらうメリットは多岐に渡ります。

とにかく始めることが重要

「5つのS」のなかで、生成AIが最も貢献してくれるのはスピードでしょう。

しかも、初手のスピード感が圧倒的です。

わたしたち人間は、完璧なクリエイティブを生み出そうとするがあまり、失敗する可能性を極度に恐れ、まったく意思決定ができないことがあります。

このように、考え過ぎて行動できない状態を分析麻痺(analysis paralysis)と呼びます。

過度に戦略を重視するあまり、計画を実行に移せなくなっている状況のこと。

企業戦略の立案に際しては、データを集めて情報を分析し、最適な計画を見出そうとする為、決断を下すまでにある程度の時間を要することが多い。

分析麻痺の状態ではこの計画策定に時間を掛け過ぎてしまい、実際の行動に移せず、顧客獲得や人材確保の機会を失ってしまう。

分析麻痺に陥らないためには、計画と実行のバランスに注意し、トライアル&エラーを繰り返す姿勢が重要であるとされる。

分析麻痺【analysis paralysis】(Branding Knowledgebase SINCE.)

分析麻痺に陥らないためには、できるだけ早く最初のトライに着手することが重要です。そこで、生成AIを活用するのです。

活用方法は簡単で、新しい仕事に着手するとき、新しいアイディアを考えるとき、すぐに一発目のたたき台を生成する

たたくものができれば、良いか悪いか批判を始めることができます。

クオリティはさして重要ではなく、とにかくたたくものができることのほうが重要なのです。

どんどん軽はずみに始めよう

ソフトウェア開発の世界には、トライ&エラーを短期間に繰り返しながらサービスを開発していくアジャイル開発という手法があります。

ソフトウェア工学におけるアジャイルソフトウェア開発 (アジャイルソフトウェアかいはつ、英: agile software development) は、人間・迅速さ・顧客・適応性に価値を置くソフトウェア開発である。典型的なアジャイルソフトウェア開発では、チーム主導で設計・実装・デプロイを短期間に繰り返してユーザーが得た価値を学習し適応する、すなわちトライアルアンドエラーで開発が行われる。アジャイルソフトウェア開発を可能にする開発手法にはエクストリーム・プログラミングやスクラムなどがある。

アジャイルソフトウェア開発(Wikipedia)

生成AIによってアイディアを形にするプロセスが格段に速くなり、圧倒的に行動のハードルが下がりました。

クリエイティブな仕事では、スピードが競争力のひとつとなるため、生成AIの活用は大きなメリットとなります。

今後はあらゆるクリエイティブがアジャイルに制作されるようになり、素早く試して走りながら改善していくスタイルが主流になるでしょう。

分析麻痺になって立ち止まっている場合ではありません。

どんどん軽はずみに始めましょう。

では。

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