無意味だからこそ価値がある
相変わらず毎日TikTokを定点観測しているのですが、最近は科目三というダンスにハマっています。
誇張なく100回以上は再生したと思います。
中毒性がすごい笑
广西科目三が気になり過ぎて調べてみた
#科目三 #科目三舞蹈 などのハッシュタグを付けて投稿されているこれらのダンスの起源は、广西科目三というインターネット・ミームらしいです。
中国の広西チワン族自治区で行われた、とあるカップルの結婚式の動画がインターネット上で共有されたことが事の始まりです。広西の結婚式では、新郎新婦が親戚や友人を招待して一緒に踊る風習があるそうです。
ダンスを見たネット民たちは、冗談で「広西の課題」とコメントしました。さらに一部のネチズンが、広西のすべての人々が試験を受ける必要がある、第一科目は民謡を歌うこと、第二科目はビーフン作り、そして第三科目がスムーズでコンパクトなダンス(丝滑的小连招舞蹈)だと揶揄しました。
科目三はもともと自動車運転免許試験の一部でしたが、上記のような経緯から、現在では人々が踊りたくなるようなスムーズでコンパクトなダンスのことを指して「广西科目三」と呼ぶようになりました。
日本語のソースが見当たらないので、中国語の動画などを参照して書きました。もし間違いがあったらコメント欄でご指摘ください。
ダンス+DJ版でバズる科目三が完成
そこからの経緯がよく分からないのですが、どうやら中国のインフルエンサーが白嘉俊の「想某人」に乗せて踊った動画がバズって、科目三は瞬く間に20億人以上のユーザーに広がったようです。
さらに最近になって、トラックに聞人聽書_の「一笑江湖」が使用されるようになり、最初に紹介した現在バズっている科目三が完成しました。
中国ではクラブRemixのことをDJ版と呼ぶようで、科目三で使用されている「想某人」「一笑江湖」もDJ版です。どちらも原曲はしっとりとしたバラードなのですが、DJ版になるとコミカルなダンスチューンに様変わりします。
このDJ版というのがまた中毒性があり、チープな音色とグルーブ感ゼロのアレンジがなぜかクセになります。バズる要素のひとつがこのBGMにあるのは間違いありません。
K-POPが海外戦略を考慮してグローバル化されているのに対して、中国のDJ版は世界など一切視野にない感じがして、とても好きです。
+コスプレでもはや意味が崩壊
「一笑江湖」を使用した科目三の動画はたくさんアップされていますが、なかでも一番好きなのがこの人たちです。
ナルトのコスプレをして踊っているので、日本人の間では #ナルトダンス とも呼ばれています。
もともと意味が分からないところに、さらにコスプレの要素が加わって、もはやカオス状態です。原作に忠実な演出もあるようですが、そもそもなぜナルトのコスプレで踊ることになったのか、まったく意味が分かりません。
しかも、彼らは至って真剣です。日を追うごとにダンスの切れが増しており、衣装も靴まで統一され、もはや一流のダンスクルーのようですらあります。科目三の大会があったら、きっと優勝も狙えるでしょう。
真剣であればあるほど、無意味さが際立ってたまらなく面白いです。
無意味なものはエモい
昔ある歌手は「意味を求めて無意味なものがない」と唄いましたが、10余年を経た今TikTokには無意味なミームが溢れ返っています。
TikTokはキーワードを検索して動画を楽しむのではなく、新たに投稿された動画が次々に表示されるレコメンドをメインに楽しむよう設計されています。多くのユーザーは無目的に散歩をするかのように、レコメンドされた動画を視聴しているのです。
無目的なユーザーと、無意味なコンテンツが出会う、それがTikTokというプラットフォームの醍醐味のひとつです。
近年の消費行動のトレンドは「イミ消費」から「エモ消費」へとシフトしていると言われています。あえて不便な手段を選ぶことに対する特別感や、時間をかける過程で得られる充実感を重視する若年層が増えているそうです。
効率至上主義に息苦しさを感じる人たちほど、エモを欲しているのではないでしょうか。消費に限らず、キャリア選択などの大きな意思決定を要する場面においても、エモを優先する人は増えていくのかもしれません。
無意味なことに真剣に取り組む姿はそれだけでエモい。そこに文脈や意図など必要ないのです。
では。
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