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Our Music:Tatebayashi 制作ノート #5

5話で訪れたのは多くのブラジル人が住む群馬県大泉町。今回はそこで出会った音楽やお店についてです。

・レストランブラジル (ブラジル料理)

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1993年オープンの大泉の中では特に歴史の長いブラジル料理店(大泉は入管法改正の1990年以降にブラジル人が増えていきました)。大泉を取材した日は撮影前にここで昼食を食べました。写真はランチのエスペト・ミストのセット。牛肉、ソーセージ、チキンの串刺しです。シュラスコをはじめボリュームたっぷりの肉料理が多いです。(VTM)

群馬県邑楽郡大泉町西小泉5-5-3


・キオスケ・シブラジル大泉店 (ブラジル食材スーパー)

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この"キオスケ・シブラジル"と、ちょうど向かいにある"スペールメルカド・タカラ"の2店が大泉の中でも特に大きなブラジル食材スーパーです。ブラジルの食材の他にもアジアの食材なども扱っていました。ブラジル食材スーパーはだいたいどこも"ポンデケージョ"というモチモチの小さなパンが売っていて、これが美味しいんですよね。いつも買っちゃいます。1つ50円くらいで安いです。(VTM)

このお店で出会った方がご家族の名前とおともに "Amor eterno (永遠に愛してる)" とタトゥーで入れていたんですが、ポルトガル語のその響きがすごく綺麗で、映像にも入れています。"Amor eterno"をGoogleで検索すると、一番上にこの曲がヒット。やっぱり言葉の響きが美しい。(天野)

・Rocío Dúrcal「Amor eterno」(1978)

群馬県邑楽郡大泉町坂田3-13-342


・Marisa Monte「Ainda Lembro」(1991)

動画には登場しませんが、"キオスケ・シブラジル"で働く店員の方に教えてもらったブラジルの女性ミュージシャン。1991年発表の2ndアルバムはアート・リンゼイがプロデュース。ブラジルの伝統的なスタイルとモダンなセンスが合わさったメロウなMPBといった感じで良いです。デヴィッド・バーンや坂本龍一など様々なアーティストとコラボレーションもしています。(VTM)


・セルタネージョ

"キオスケ・シブラジル"の店長さんがよく聞くと話していたブラジルの大衆音楽の1ジャンル"セルタネージョ"。元々は"奥地"や"田舎"を表す言葉"Sertão"が語源となっていて、1920年代以降に主にブラジル内陸の農村地で流行っていたカントリーミュージックの1種でしたが、時の流れと共に色々な音楽性が混ざってモダンな感じに変化して全土に広がったようです。アコーディオンが多用されてるのも特徴のひとつ。どれも哀愁が溢れているけど、力強くてアッパーな印象です。上記の動画は最新のセルタネージョの人気歌手がたくさん出てくるライブ(フェス?)やMVを90分近くにわたって繋いだ動画です。ライブだとお客さんも一緒にめちゃくちゃ歌いますね。2話で知ったパキスタンのミュージシャン同様、セルタネージョのヒット曲はどれも知らない曲だらけなのに人気の規模がとてつもなくでかすぎる…。ブラジルの規模の大きさを感じます。ちなみにサブスクなどにあるセルタネージョのヒット曲はほとんどライブ録音なんですよね。なんでなんでしょう。(VTM)


・Michel Teló 「Ai Se Eu Te Pego」(2011)

2011年に世界35カ国で1位を獲得したセルタネージョの大ヒット曲。オリジナルはCangaia de Jegueというバンドの曲です(オリジナルはMichel Telóのバージョンよりだいぶレイドバックしています)。ネイマールやクリスチアーノ・ロナウドといった有名なサッカー選手がゴールパフォーマンスでこのダンスをしたことから、ダンスとともに世界中で人気に火がついたようです。日本でリリースされた際は「恋はノッサノッサ」という邦題が付けられました。(VTM)


・Tim Maia 「 Réu Confesso」(1973)

・Tim Maia「O Descobridor Dos Sete Mares」(1983)

大泉で偶然訪れたリサイクルショップの女性店員が好きだと話していたTim Maia。1970年にアルバム「1970」(次作は1971年リリースの「1971」!そのまま!)でのデビュー以降キャリアの長いブラジルのソウルシンガーです。アメリカへの音楽留学経験もあることから、甘いソウルフルな歌声とMPB的なムードに加え、ファンク/ディスコ/ブギーなど70年代以降のアメリカの音楽から受けた影響も混ざり合っていてダンサブルな曲も多く最高です。70年代ごろの作品は近年にレコードが多数再発されていたり、自分も以前DJでかけたことがあったので、Tim Maiaの名前が出たことに盛り上がってしまいました。ブラジルでは相当有名なミュージシャンだと思うのであたりまえなのですが、いわゆるマニアックなレアグルーヴ好きだけでなく、ブラジルの人たちに普通に聴かれていたんだなというのを直に感じられて新鮮でした。(VTM)

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・M&S Recycle Shop

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上記のTim Maiaで盛り上がったリサイクルショップがこちらです。今回撮影するにあたって、ご迷惑がかからないように基本的には撮影許可を事前にいただいているのですが、このお店は大泉町を走っていて本当に偶然見つけ、カメラ1台だけを持って訪れた場所です。コミュニケーションするにあたり、たまたま店内にいたお客さんがご好意で通訳してくださったり、店内でTim Maiaを流したり(事情があって本編では流せませんでしたが)。今回の撮影中でとても印象的な時間でした。(天野)

・大泉町観光協会

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大泉の歴史などのお話を聞きに行った大泉町観光協会は、もともと"ブラジリアンプラザ"として在日ブラジル人のためのスーパーや飲食店など複数の店舗が入った建物でした。奥には大泉町に関する資料室があるのですが、ブラジルから移り住んできた方などから提供された本やレコード、VHS(!)などの資料を閲覧できました。中でも「月刊セクロ」という70年代から80年代ごろにブラジルで発行されていた雑誌がとても貴重で興味深かったです。ブラジルに住む日系人向けに作られた日本語の雑誌で、ゴシップやブラジルのナイトライフ、社会問題など、いわゆる週刊誌的な内容がメインです。90年代以降の大泉のようにブラジルから日本に移り住む人も多い一方で、逆にそれ以前(古くは明治頃)は日本からブラジルに移り住む人はとても多く(ブラジルは世界最大の日系人居住地でもあります)、そういった人々のブラジルでの暮らしが雑誌から垣間見れます。一見普通の日本の週刊誌にみえて、合間に挟まれる広告の飲食店の住所はサンパウロ。パラレルワールドの週刊誌を読むような不思議な感覚でした。(VTM)

今回の滞在中、VHSテープに遭遇できるかどうかは未知数でしたが、どこかで見つけたいなぁと思っていたところ、まさかここで発見できるとは!大泉町観光協会の資料室にはたくさんの貴重な文献や映像が保管されていました。大泉観光協会は町内でいろいろな催しを企画していて、サンバの衣装なども展示されていました。試着させてもらったのは良い思い出です。(天野)

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群馬県邑楽郡大泉町西小泉4-11−22


最後に大泉とVHSの話を。大泉とそこに住む外国人について書かれた「サンバの町から 外国人と共に生きる 群馬・大泉」という上毛新聞社が1997年に発行した本があり、その巻末に1997年当時の大泉のマップが掲載されているのですが、町の中にビデオショップがやたら多いのが目につきました。マップの中に記載されているのは全部で6店舗で、食料品と共にビデオを販売する店や、中にはワゴン車によるビデオの宅配専門店もあります。扱っているビデオの内容は人気のある映画の他に、毎日のようにブラジルから直輸入で送られてくる現地の最新のテレビ番組だったそうです。ブラジルから移り住んできた人たちが自分の故郷のテレビ番組を観る手段として、それらのVHSを購入(もしくはレンタル?)できるビデオショップの需要が大きかったのだろうと推測できます。今みたいにインターネットもそこまで普及していない時代なので、異国の地で故郷の文化に触れる手段はVHSくらいだったのでしょう。そう思うと、観光協会の資料室にあったブラジルのTV番組が録画されたノイズまみれのVHSにも何かものすごいロマンを感じます。その本の中には、1996年にパーフェクトTV(現スカパー!)でポルトガル語の番組の放送が開始された際、それにより今まで扱っていたブラジルのテレビ番組のVHSが売れなくなるのではと大泉の商店が反発したという記述もありました。しかし、その後はやはりインターネットの普及やYoutubeなどの登場もあり、次第にそれらのお店の需要がなくなってしまったのだと思います。(実は今も大泉内には1店舗だけ現役でブラジルのVHSやDVDを扱うビデオショップはあります。アメリカ映画のポルトガル語字幕版VHSやほんの少しブラジルの映画のVHSがありましたが、取材NGだったので詳しい場所や店名などを書くのは控えます…)

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写真はそんな大泉のビデオショップで売られていた中古VHS。見慣れないポルトガル語表記のジャケに惹かれてマイナーなブラジル映画かなと思い手にとると、意外と普通に有名なハリウッド映画のポルトガル語字幕版だったりする。ジブリ作品のポルトガル語版とかもありました。

(VTM)



※今回紹介した楽曲も含め、撮影の中で出会った本編で紹介しきれなかった楽曲をspotifyのプレイリストにもまとめています。こちらも合わせてどうぞ。


動画は LINE NEWS 「VISION」にて配信中
https://news.line.me/issue/oa-vi-ourmusic/byhgtc1ik4jz

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LINE NEWS 「VISION」で公開中の「Our Music: Tatebayashi」の制作ノート。 館林の人やお店や音楽など、本編に入り切らなかったことをVIDEOTAPEMUSICと天野大地が語ります。 ※本アカウントはクリエイター個人が運営しています
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