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アジアのコーヒー生産-精製編-

こんにちは!

三井です。本日は引き続き、アジアはベトナム、ダラットのコーヒー農園のこと!

農園における収穫のnoteはいかがだったでしょうか。次は各農家から集まったコーヒーの加工のおはなしです。

まず「精製とは?」というところですが、収穫したコーヒーの果実の中から、コーヒー豆となる種子を取り出す行程のことをいいます。

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前回おはなしした通り、コーヒーはもともと赤い(黄色く完熟する品種もあります)果実です。可食部が限りなく少ない果実の中にある種子の部分を、加工した後に焙煎すると、皆さんがよくご覧になるような茶色〜焦げ茶色のコーヒー豆になります。

もともとこんなに美しい果実だったことを、コーヒーカップからはなかなか想像がつきませんが。


このベトナムの農園と精製所において、果実から種子を取り出す方法は主に2つ。

①皮剥きしたのち、発酵させて水洗い、乾燥。

②果皮をつけたまま発酵・乾燥させて、脱穀。

※①でどの程度、内部の層を残すかによってさらに細かいプロセスはありますが今回は割愛します。

①の方法は水洗式(washed process)と呼ばれ、②の方法は非水洗式(natural process)と呼ばれます。

生産量の多い水洗式のコーヒーについて、精製を追いかけましょう。

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Sorting

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 収穫され精製所へやってきたコーヒーチェリーは、人の手によって熟度の仕分けがされます。
まだ青い果実、黄色い果実はグレードBへと、赤く熟した果実のみがグレードAのコーヒーとして次の工程へ進みます。

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↑青く未熟な果実。熟しすぎて皮だけむけてしまったものも。はじかれたコーヒーチェリーはグレードBとして、主にナチュラルプロセスで精製されます。
 果実に混じってコーヒーの木の葉や枝もあるので怪我をしないように気をつけて。
毎日果てしない量を仕分けますが、慣れてくると楽しいものです。手に絡めつくコーヒーチェリーの果汁から来るベタつきも、愛おしく感じます。(爪は切っていったほうがいいですね、爪と指の間に小さなゴミが入ってとても汚れます笑)  もちろん、ゴム手袋やビニール手袋をしてる人も沢山います。

熟度の選別はこの先の工程ではなかなか出来ないため、ソーティングはコーヒーのクオリティをとても左右する重要な作業なのです。

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Pulping

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 仕分けが終わり、いよいよ精製の工程に入ります。まずはパルピング。 "pulp"とは「果肉を取り去る」という意味の言葉。パルパーと呼ばれる脱穀機のような機械を用いて、コーヒーチェリーの果肉と皮を剥ぎます。パルピングされると、コーヒーの豆となった姿で出てきて、次の工程へ進みます。

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 この際、大量に出てくるのがコーヒーチェリーの皮。

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皮だけ取って乾燥させれば、カスカラというドライフルーツになりカスカラティーとして楽しむこともできます。味はあっさりしたさくらんぼや昆布出汁の風味。少しクセがありますが爽やかな酸味は苦いコーヒーからは想像もつきません。

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この積み上げられたコーヒーチェリーの皮のまま積み上げていくと、発酵が進みph値がどんどん下がり、酸性になります。半年〜8ヶ月ほど時間をかけると、農地の肥料へできるまでにph値が中性になり、土地にとって適正になります。
オーガニックな肥料のみで育てられたコーヒーチェリーは、安心安全なため、果実丸ごと次の代のコーヒーを支える力となってくれます。


Fermentation

 パルピングが終わったら、発酵槽にて24時間の発酵工程が始まります。

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発酵のもつ意味は、コーヒーの種(コーヒー豆)の周りにしぶとく付いているミューシレージ(さくらんぼの種の周りのぬるぬるした層に似ている)を取り除くため。このヌルヌルがある限り、透明感のあるコーヒーにすることは難しいのです。微生物やイーストがミューシレージの糖分を食べることで、ミューシレージの分解を促進します。
また、この際にコーヒーのフレーバーの核となる部分が最大限にもたらされます。甘くフローラルで紅茶のような風味はこの発酵によるナチュラルなものです。
「温度、時間、湿度によって発酵は変わる。生きているのよ。」と農園主で精製所のリーダーであるローランは語ります。

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青いポリタンクの発酵槽の中に、ビニール袋を入れて、その中に皮剥きしたコーヒー豆を入れて発酵します。空気に触れぬよう口を縛って、ポリタンクの蓋を閉めることで嫌気性発酵をとることができ、より甘いコーヒーづくりをすることが可能となっています。

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Hand Massage

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 発酵が24時間終わったら、カゴに取り出してコーヒーのハンドマッサージ。愛を込めてもみ込むことで、この後の水洗の工程で使う水の量を減らすことができます。環境とコーヒー豆に優しく。この工程を踏むことで、コーヒーの甘味が増すんだとか。

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大量のコーヒー生産にも関わらず全て手作業で行うコホコーヒーの愛情のこもったプロセスが、フレーバー豊かで甘く丸みのあるコーヒーを生み出します。
 生産を自分の目で見て体験した以上、使う豆にもっともっと愛を持って大切に我が子のように関わっていきたいと強く思います。 思うだけではなく、行動にも移していきます。



Washing by Jet stream

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 発酵によりミューシレージの層が取れやすくなった豆を洗います。

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ジェット水流を用いることで節水効果と、フレーバーの流出・損ないを最小限にする効果があります。

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ウォッシュトながら、南国のフルーツのようなトロピカルで甘いフレーバーとアフターテイストは、この工程の賜物です。



Drying "3 patterns"

 ウォッシングの後は乾燥。コホコーヒーの拠点精製所のグリーンハウスのアフリカンベッドはグレードAのコーヒー豆が乾燥されます。

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↑グリーンハウス内アフリカンベッド上での乾燥

 ランビアン山の農園内にある第2精製所のアフリカンベッドでは国内流通が主なグレードBのコーヒー豆が乾燥されます。ここのアフリカンベッドは天日干しのため、夜の結露に備えて、夕方にはビニールシートで豆は覆いかぶされます。

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↑ランビアン山の中腹の農園、小屋近くのアフリカンベッドでの乾燥

 民家の前のビニールシート上ではグレードBのコーヒー豆が乾燥されます。通気性があまり良くないため、緑の未熟豆などがここで干されます。

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↑民家や商店の前で広がる乾燥の光景


 限られた場所を使って、ウォッシュトは2週間〜7週間の乾燥。パーチメントの水分量が11-12%になったらアフリカンベッドでの乾燥はおしまい、保管用のバッグに移します。

全て手作業で、コーヒーを集めたり広げたり。夜は乾燥のしすぎを防ぐためにベッドの中央にこんもりとした山をつくります。朝になったらまた広げる。手塩にかけて作られたコーヒーはまさに我が子。



Indigenous production

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 ランビアン山で収穫してきたコーヒーを、グリーンハウスで乾燥させます。
とてつもない労力と時間と手間をかけて、コーヒーカップ1杯のコーヒーになります。


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 このグリーンハウスは、生産クオリティ向上のためにクラウドファンディングによる資金調達で作られたもの。

 促成栽培で使われるグリーンハウスはたくさんありますが、高品質のコーヒーのためのグリーンハウスは珍しいのです。


精製編はここまで!

次回、消費者と生産者のコーヒーカップ一杯のお話で最後です。

次回もお楽しみにしてください!

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現在、Light Up Coffee吉祥寺店にて、ベトナムの農園写真展を行っています。ぜひお越し下さい! #ゆるい農園写真展

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