見出し画像

「東京を離れて地方で新規事業を立ち上げる②」

事業再構築補助金を申請するにあたり、まず考えなければいけないのは事業計画書です。事業計画書には主に既存事業の市場動向と自社の事業内容の現状分析、新しく進出する分野の市場動向と事業プランの詳細及び既存事業との比較と期待される効果の分析、新規事業に対する収益計画などについてを15ページに収まるよう作成します。この書類作成に関しては、理論的な文章の書き方をある程度知っていたほうが有利だなと思いました。僕は大学時代をアメリカで過ごし、毎週のようにペーパーと呼ばれる小論文を書きまくった経験があります。持論をもっていかに相手を説得させるかということを徹底的にやっていたので、計画書作成に関して特に大きな苦労は感じませんでした。

この作業をする上で一番大事なのは、事業計画書というものの本質を理解することだと思います。それはすなわちこの制度の本質を理解することでもあります。いくら情緒的な理想論を書き綴ってもほとんど意味がなく、求められるのはあくまでも客観的で冷静な視点からこの制度を見ることだと思います。国はなぜこのような制度を作ったのか。この制度を通して我々事業者に対し何を求めているのか。計画書を作成するに当たっては、そういった本質的な部分を考えることがまずは必要になってきます。

そして今回進めて行く新規事業の骨格である「映像のスキル+物件=フォトスタジオ」をもっと掘り下げていく必要があります。物件があるので、そこを写真館にします!っていうだけでは独自性がなく、審査を通過するレベルには程遠いビジネスプランです。そこでまずこれから作るフォトスタジオのビジョンとコンセプトを考えることにしました。ここを固めて方向性を示す指針ができれば、あとはそれに沿って計画書を書き上げるだけとなります。

私たちが創るスタジオのビジョン

事業計画書から抜粋します。

「今日の小さなしあわせが、やがて人生になる。」
「日々のくらしの中の新たなる発見。それは人生をより豊かにするあなたのスタジオ」 

1,プロの技術や視点、表現力で誰もが自分の人生に新しい発見を見出すことができます。それこそが自撮りではなく第三者(プロ)に写真や映像を「撮影してもらう」一番の理由であると考えます。人生の大半を占める「日常」の中に価値を見出し、ニーズを創り(消極的非日常の創出)、市場を創り出します。日常の何気ない時間の中の一コマをプロに撮影してもらうという文化を創造し、人がより深くより豊かな人生を送ることのできる社会を目指します。

2,サービスを提供する側の人間にも人生があります。自分の人生が豊かでない人間が他人の人生を豊かにすることなどできないと思います。写真館ビジネスを運営することで運営ノウハウを積み上げ、弊社に所属するクリエイターにできるだけ長く自分のスキルと経験を生かして働いてもらえるよう、持続可能性のある「職場」を自分たちの手で創り出していきたいと考えています。

スタジオのコンセプト

事業計画書から抜粋します。

スローライフ(Slow Living)をコンセプトにした一軒家貸切型フォトスタジオ。家族やカップルの自然な関係性を引き出す空間提供をゴールとするため、衣装やメイクアップ、空間装飾といった既存の写真館ビジネスの特徴を極力排除し、普遍的で地域に根付く持続可能性のあるサービスの確立をプライオリティーとします。特に大きな要素は下記の 3 点です。
① 八ヶ岳エリアの広大な自然を利用することで、都市部では不可能なロケーション撮影プランを強力な武器とすること(都市部にある写真館との圧倒的な差別化)。
② 同業他社には真似できないクオリティーの高い映像サービスを提供できることにより、商圏内外を広くターゲットにした B2C 事業の展開ができること(B2C 向け映像制作のノウハウを最大限応用)。
③ スタジオ内に併設されたキッチンで顧客自身が食材を用意して調理し会食することにより、顧客の日常を限りなくリアルに再現できる空間を提供すること(業界では非効率な概念をあえて選択し、強みに変える)。
さらに感度の高い写真と映像のスキルを商圏内に的を絞った B2B 事業に対して営業展開し、地元企業 PR のお手伝いもできれば、地方活性化に十分貢献できるはずです。地元のクリエイティブ文化発展にも寄与したいと考えています。

仲間を集める

上記のビジョンとコンセプトをベースに事業計画書を組み立てていきます。そして一番大事なのが、スタジオを立ち上げる地域にこのビジョンにマッチしたフォトグラファーが存在するのかどうかです。そもそも地元に人材がいなければ東京から連れていくことになりますが、それは現実的ではありません。もしも地元で優秀な人材を見つけて仲間にすることができなければこの事業自体成り立たないということになり、すべて白紙に戻ってしまいます。早速インスタをチェックしてみると、5秒もかからずにその問題は解決されることになります。地元で写真を撮っているという人物に早速DMを送ってアポを取り、インタビューの約束を取り付けて現地に向かうことにしました。予想していた通り結果は良好で、すぐに契約を結ぶことになりました。

画像1

もう一つ計画書を書くにあたって必要なのが見積もりです。これから始める新規事業にかかる予算を算出する必要があります。建物を改修し、ホームページを立ち上げ、機材を購入するなどの費用概算を計算して希望の補助金額を示さなければなりません。ということで、僕やブランドのことをよく理解してくれている業者さんのほうが、はじめましての方より物事がスムーズに運ぶと考えて、東京北参道にある弊社事務所をオシャレにリフォームしてもらった中田製作所さんに今回も見積もりをお願いすることにしました。

最後に新規事業を立ち上げる資金についてです。採択されれば補助事業経費の2/3を支給されますが、実際に口座にお金が振りこまれるのは全ての工程が終わった後になります。なので、それまでにかかった費用はすべて一旦自分で支払わなければなりません。3000万円以上の補助対象経費になる場合は間に銀行を入れて融資の交渉も同時に進めなければならず、プロセスは一気に複雑化します。ということで、手持ちの自己資金から無理なく捻出できるくらいの金額を設定することにしました。今回の申請では開業予算を総額3000万円(補助対象経費2000万円)と設定して計画を練ることにしました。念のためにお世話になっている政府系銀行で追加の資金調達が可能かどうか担当者と融資の交渉も同時に進めて行くことになります。

僕たちのYouTubeチャンネルです。興味のある方は是非ご覧ください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?