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「『顔が良い』、『声が良い』。VtuberあるいはVライバーの売り文句がそれだけでは、誰かの琴線には触れられないしあまりにも勿体無い」という話。

 『顔が良い』『声が良い』——どちらも、VtuberあるいはVライバーが売り文句として好んで使う言葉である。どちらも大いに結構なことなのだが、筆者の琴線にはいまいち触れてこない。「『顔が良い』、『声が良い』。それで?」というのがこれらの売り文句に対する感想の全てだ。だって、あなた独特の強みが全然見えてこないんだから。

筆者も『顔が良い』かつ『声が良い』
Vライバーではあります(多分)。
でも、それだけじゃないよ。

前提:『顔が良い』や『声が良い』という売り文句は、リスナーがVtuberあるいはVライバーを新規開拓する理由たりえないという認識

 まず、『顔が良い』や『声が良い』という売り文句について、それぞれ単体で考えていこう。

 メタ的な話になるが、VtuberあるいはVライバーの『顔が良い』ということは、言い換えれば担当したイラストレーターの絵が上手いということである。これは、VtuberあるいはVライバー本人の魅力ではない。極論同じイラストレーターが担当したVtuberあるいはVライバーを2人並べるだけで、この売り文句は意味を為さなくなるのである。さらに言えば、ある程度のビジュアルは、有名イラストレーターが担当する大手VtuberおよびVライバー事務所を追っていれば無条件に保証される。じゃあ、リスナーからすれば、『顔が良い』という売り文句はVtuverあるいはVライバーをわざわざ新規開拓する理由にはならないのでは?

『声が良い』は『顔が良い』と異なりVtuberあるいはVライバー本人の魅力である。しかし、ただ『声が良い』と言うだけでは「『声が良い』のはわかったけど、どう良いの?」という疑問が残る。人によって声の好みは様々であり、その需要に呼応するが如く、世間では既にイケボ・カワボ・ショタボ・ロリボといった各種ジャンルが成立されている。『声が良い』を自称するVtuberあるいはVライバーの音声を聴いてみるよりも、前述の各種ジャンルから好みのジャンルをを自称するVtuberあるいはVライバーの音声を聴いてみたほうが好みの声に出会える確率は高くなるのだ。じゃあ、リスナーからすれば、『声が良い』という売り文句は(以下略)

VtuberあるいはVライバーに必要なのは、『顔が良い』や『声が良い』という売り文句の解像度を上げて、ファンの獲得に繋がるキラーワードに変えること。

 先ほど、『顔が良い』について「極論同じイラストレーターが担当したVtuberあるいはVライバーを2人並べるだけで、この売り文句は意味を為さなくなる」と書いた。しかし、同じイラストレーターが担当したVtuberあるいはVライバーであっても、パーツごとに細かく見ていくことでその差異はいくらでも発見できる。『声が良い』に関してもそうだ。とにかく、「どこがどう良いのか」を端的に記述するだけで、『顔が良い』や『声が良い』という曖昧な売り文句もキラーワードに変わるということを覚えていただきたい。

「『顔が良い』、『声が良い』。それで?」に対して、別の視点からのアンサーを考える。

 「どこがどう良いのか」を端的に記述するだけで、『顔が良い』や『声が良い』という曖昧な売り文句もキラーワードに変わると述べたが、これはあくまでも『顔が良い』や『声が良い』の延長線上に過ぎない。VtuberあるいはVライバーの魅力は、それだけではないはずだ。試しに、あなた自身のリスナーに聞いてみると良い。

俺/僕/私の魅力って、なんだと思う?

例を挙げるならば、筆者がリスナーに対してこのような質問を投げかけた際には、雑談力や歌の上手さに言及されることが多い。また、筆者が好んで視聴するVtuberあるいはVライバーに関して言えば、ギターの演奏やイラストといった、自らと共通する(筆者はバンドサークルでギターボーカルをしており、二次創作者としてイラストを描いていた時代があるという前提に基づく)なんらかの分野に特化しており、努力家であることが多い。
 このように、「『顔が良い』、『声が良い』。それで?」に対して、別の視点からのアンサーを考えることは、VtuverあるいはVライバーの『顔が良い』や『声が良い』以外の、特定の誰かに刺さる可能性を秘めた魅力について再考することに繋がるのである。

「『顔が良い』、『声が良い』。VtuberあるいはVライバーの売り文句がそれだけでは、誰かの琴線には触れられないしあまりにも勿体無い」という話。

 さあ、改めて考えてみよう。『顔が良い』、『声が良い』。あなたの顔は"どう"良いのか?あなたの顔は"どう"良いのか?それ以外にも魅力的な部分があるのではないか?あなた独特の強みはなんだろうか。

 そして、ここまで読んでくれたVtuverあるいはVライバーのリスナーさん。あなたは、推しが『顔がいい』や『声が良い』以外の魅力を自覚する手助けが出来る貴重な存在だ。『顔が良い』や『声が良い』といった言葉は便利なスラングとして多用されている一方で、それ以外の魅力を言語化することの妨げになってしまっていると筆者は感じている。そんな状況を、一緒に打開してみないか?

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