魔剤の話

皆様、魔剤という単語は聞いたことがあるだろうか。魔剤というものは平たく言えばエナジードリンクの総称のことを指し、若者らがこぞって摂取する飲料である。私もその魔剤の虜になっているわけだが。

しかして、この魔剤という飲み物、非常に甘い。炭酸飲料ということもあり、スッキリとはしているものの、砂糖の甘さが胃に駆け巡る。ぶっちゃけ、これを飲めば夕飯は要らないかもしれないと思うほどである。わかるわかると思った読者の方、おそらく脳みそが砂糖で何層か溶かされているに違いない。同じ穴の狢同士仲良くしようではないか。

さて、この魔剤に出会ったのは私が高校生の頃である。友人に勧められ、半ば法に触れているのではないかとビクビクしながら飲んだものである。まさに「出逢い」であった。甘さはさることながら、飲んでから数分後、魔剤に含まれるカフェインによって常に覚醒状態、いわばゾーンのような状態に至ったのである。その友人のおかげ?で今があるのだが、高校生の私はさらなる刺激を求めた。三倍濃縮の魔剤である。

某魔剤は同価格の別物と比べると量が多く、飲むのに苦労するという話もある。そのような、ライト魔剤ユーザー向けに、発売されたものが三倍濃縮のお手軽サイズ感満載な魔剤Jr.(と私は呼んでいる)である。味はほぼ通常魔剤と同じだが、量が少ない。そのため、短期集中の魔剤ユーザーには必携なのである。

しかし、私の場合、ただ快楽のために魔剤を欲しているだけであり、新発売のJrでは量的な問題で満足できない。

では、どうするか。


三倍濃縮なのだから、三本飲めば同じ量なのでは?


そのような考えが、砂糖でトロトロに溶けた私の脳内をよぎったのだ。そこからは話が早い。三本を1度に飲んだのである。

「ウマ…」

さながら、某パンデミックゲームに登場する博士の書き置きのように私は呟き、一時の快楽を得たのである。するとどうだ、一際大きな覚醒の波が訪れ、身体の疲れがまるで感じられない。朝から晩まで講義を受け、疲弊していた身体が、質の良い睡眠を摂った後の身体のようではないか。爽快な気分のまま帰宅し、明日の講義に向け、課題を終え、風呂に入り床に就く。お気づきの方も多いだろうが、同量の魔剤を飲んだことにはなるが、濃度的には3倍。故に、覚醒状態は凄まじいのである。ただ眠れないのだ。寝たい、寝たいのに、脳がそうさせてくれないのである。そこに残された感情は、「辛い」のみであった。一時の快楽を手にした挙句、結局は質の低い睡眠を得ることになってしまった。次の日の朝は言うまでもない。

皆様も魔剤が好きだからと言って、三倍濃縮の魔剤を多量に摂取するのは控えましょう。もとい、何事も摂りすぎは良くないですな。

そんなことを魔剤片手に書いております。テスト勉強頑張ります。

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