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『文豪ストレイドッグス』第111話以降の展開についての一推論

※この記事は『文豪ストレイドッグス』に関する考察となっております。
※最新のネタバレが含まれているので、ご注意ください。

はじめに

 元々アニメ勢なのですが、最近は待ちきれずに本誌も摘み食いしています。
 色々と大変なことになっていますね。世界の命運は実質、文ちゃんとブラムに託されている訳ですが、机を落としても抜けなかった。文ちゃんは自らの命を賭して、飛び降りという一手で世界とブラちゃんを救おうとする訳ですが、仮に成功しても聖戦が抜けるか危ういところ。仮に抜けたとしても落下に巻き込まれて文ちゃんは死亡、最悪のバッドエンドです。

 敦君も完全に諦めムードで、助けに入るのは物理的に不可能。というか、吸血鬼になってしまいそうですし。
 おそらく、迷いを断ち切って敦君が復活して福地と戦うのはまだ先のことだと思います。では、この最大の窮地、一体誰が救うのか。

 このままバッドエンドで終わる筈がありません。メタ的な見方をするのはあまり良くはないと思いますが、福地の作戦が成功してしまったら物語が終わってしまいますからね。
 だから、この現状を打破できる救世主は必ずやってくると思います。そして、その布石は既に作中で打たれているとこの記事の筆者は考えています。

末広鉄腸という名の光


 幾千の神算鬼謀を巡らそうと我々が居るのは結局ここ地の果ての牢獄だ。
 実際に世界を廻すのは偶発性の嵐の中で叫び奔り血を流す者達。
 その魂の強度の前に君も私も立ち竦むしかないのさ。


 このムルソーで太宰さんがドス君(ヒョードル君)に言い放った台詞ですが、『文豪ストレイドッグス』という作品を象徴している言葉だと思っています。
 様々な場面で偶然の奇跡が起こり、武装探偵社は存続してきました。その奇跡の連鎖は天人五衰事件が発生してからより顕著になっている気がします。

 例えば、文ちゃんが空港にいなければ現実はもっと悲惨なことになっていた筈です。
 では、この圧倒的に絶望しかない状況で奇跡は起きないのでしょうか?

 私はその種は既に蒔かれていると思っています。その種が蒔かれたのは、賢治君と鉄腸の戦いだったのではないでしょうか?
 条野を探していた鉄腸は吸血鬼事件の犯人だと睨んだ賢治君と交戦します。その戦いの結果、異能本来の力を発揮した賢治君によって鉄腸は倒されますが、賢治君は鉄腸にトドメを刺さずに一緒に条野を探すと約束しました。

 あの戦いで少なくとも賢治君と鉄腸は和解していますね。その後、私の知る限り二人は意識を失ったところでフェードアウトしています。
 気絶したということは無防備を晒しているので、吸血鬼化していてもおかしくはないのですが、朝霧カフカ先生は何も意図なく吸血鬼化させるとは思えないので、あの二人は現在も生存していると思われます。

 現時点で賢治君も鉄腸も完全にフリーな状況の筈ですが、何故、鉄腸が助けるという推測に至ったのか。
 その最大の理由は天空カジノに行く前に条野による拷問を止めた鉄腸が喫茶うずまきのマスターに言い放った台詞です。

 約束する。今、彼女の行方を教えるのなら彼女に一切の罪は問わぬ。
 そして少女の純真さが報われる世界こそ我等が守るべき世界。


 この台詞はルーシーちゃんを念頭に置いた台詞ですが、よく思い出してみてください。まさに、命を投げ打って世界とブラちゃんを救おうとする文ちゃんのことを表しているとは思いませんか?
 「ここで救わずして、何を救うんだ! 鉄腸!」って叫びたくもなります。

 鉄腸にとって、ブラムは条野を吸血鬼にした憎い敵ですが、同時に条野を助けるための重要な鍵を握っている人物ということにもなります。ここでブラムと文ちゃんを助けるのは鉄腸自身にとってもプラスになる行為です。ただ、そういう打算をなく真っ直ぐに助けるのが末広鉄腸という人物だと思いますが。

 ところで、福地桜痴はどういう意図で『猟犬』に鉄腸を仲間に引き入れたんでしょうか? 彼の内心は分かりませんが、燁子と条野は仲間にできる余地はあっても鉄腸だけはその余地がない。大なり小なり闇を抱えている『猟犬』のメンバーの中で鉄腸は唯一真っ直ぐです。いつも真っ直ぐに物事を考え、その通りに真っ直ぐ突き進んでいる。

 「直線で目的地に向かうのが一番近い」と木を薙ぎ倒しながら直進するという条野に嫌われている彼の性質の一部は、まさに彼の生き方そのものなんですよね。賢治君との戦いの後で見せたように後悔をすることはあっても迷うことはない。
 迷うことなく自らが正しい方に向かって突き進んでいく。この性質はまさに、今、『文豪ストレイドッグス』の世界の未来を切り開くために最も必要な資質であると言えると思います。

 福地の正義を唯一、迷うことなく悪と断じて立ち向かえるのが、末広鉄腸という男なのだと思います。だからこそ、燁子さんのように勧誘することなく放置したんじゃないでしょうか。

 敦君は迷っています。その迷いは鉄腸による文ちゃん救出によって断ち切れるのかもしれませんね。そして、意識を取り戻した芥川と共に福地にリベンジ、今度は明確な答えを持って立ち向かう、十分にあり得る展開だと思います。

 これも、全て鉄腸が賢治君の前に現れたこと、賢治君が鉄腸にトドメを刺さなかったこと、この二つがもたらす可能性のある未来なんですよね。まさに武装探偵社にこれまで味方してきた奇跡だと思います。

 こういう考えに至った根拠の一つは、ブラムが「膂力がない」と言ったことです。ブラちゃんにも文ちゃんにもない。でも、純粋な戦闘能力では、隊長である福地桜痴を凌ぐ鉄腸や、賢治君にはその力がある。
 鉄腸達が助けに来てくれるなら、この現状って打破できるんじゃね? という小さな問いから生じた妄想でした。

 ……もっと根拠がしっかりとある考察をしたいものですね。

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