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SWATCHは時計ではなくアーティストのキャンバスである

2017年の11月から上海のSWATCHアートピースホテルというアーティスト・イン・レジデンスに半年間参加したことがある。

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ビジュアルアーティスト以外にもライターや作曲家、ミュージシャンが参加していて、全部で18人のアーティストが一つの大きなホテルみたいなところに住んでいます。

ビジュアルアーティストは個室以外にアトリエを別でもらえるんですが、私の時は運よくダンサーさんが一人もいなかったので、鏡張りの広いダンサールームを一人で使うことができました。

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ダブルベッドのデザイナーズホテルみたいな場所で、週に2回掃除もしてもらえる。つくることだけに集中できる空間で、本当にありがたかった。一緒に暮らしたアーティストさんたちにもとてもお世話になりました。ほんと楽しかった。

このプロジェクトを、SWATCHは2013年くらいからやってるみたいで、世界各地からたくさんのアーティストたちが参加しています。私は過去に参加したイギリス人のアーティストさんにお勧めされて参加したんですが、彼が「本当によかった!また行きたい!」と行ってたために、最長期間の半年間で応募しました。

本当にまた行きたいですが、一度参加した人は二度目の参加はできないみたいです。

応募はこちら。
https://www.swatch.com/ja_jp/explore/swatch-art/swatch-art-peace-hotel/

18カ国のアーティストが参加しているので、国籍も本当にさまざまで。
中国、韓国、日本、スイス、ポルトガル、スペイン、フランス、カナダ、ドイツ、デンマーク、ウクライナ、ロシア、インド、アイスランド、ポーランド、台湾、アメリカ、スウェーデンなどいろいろで、作品もなんかもうほんといろいろでした。

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スタッフさんたちにもとてもお世話になったんですが、すでに定年で引退してしまったアートピースホテルのCEOのRさんには本当にお世話になりました。アーティスト思いで、アーティストたちのお父さんみたいな存在で、みんなにも慕われていて。

アーティストさんたちが次なるチャンスを掴めるように、すごく尽力してくれたんです。RさんがCEOの年に、私はアーティスト・イン・レジデンスに応募する際の推薦状をRさんの名前で出してくれないかと頼みました。

ものすごい量の応募をしているので、「これに出したい」と送った量は10件くらい。「わお、たくさんだね」というコメントと共に「送るから好きに使っていいよ、がんばれ、がんばれ!」というメッセージをくれました。

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2018年には銀座のニコラスGハイエックセンターでの個展もRさんの提案でアレンジしてくれることになりました。

なんとなく、上海に参加するまで、SWATCHというのは「安めのカジュアル時計」というイメージがありました。でも、SWATCHは世界中のアーティストの支援をしていて、その作品をベルトに使っています。

「SWATCHはアーティストのキャンバス」というのが、SWATCHの理念なのでした。

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2019年12月に、伊勢丹新宿にSWATCHのポップアップショップが出たんですが、その時に参加アーティストのひとりとしてデザインを使ってもらえました。

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2016年6月にSWATCHに応募した時からずっと夢見てたことが、3年がかりで実現しました!

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デザインが自由に選べるカスタムSWATCHです、こちらで買えます↓
https://shop.swatch.com/ja_jp/collections/swatchxyou-make-your-swatch.html?1=SXYP-NG&2=HSUOK137&3=ouma1&4=187_4,103_36

オファーをいただいた時、本当にうれしかった!SWATCHになった自分の細胞をずっと持ち歩きたいなと思っていました。

Rさんはもう引退してしまってましたが、SWATCHになったよーっていうメッセージを送りました。

2017年に家がなくなって、ところてんが絞り出されるみたいに海外にアートの旅に出ました。それぞれの環境はとても楽しかったけれど、これをやりつづけて食べて行けるようになるのだろうか!?という不安がいつもつきまとっていました。

そんな時に、大きな機会を与えてくれたのがSWATCHです。

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今回の案では、日本語のオノマトペをマンガ風にデザインしてるんですが、これは英語があんまり上手じゃない私が海外ですごくマンガ・アニメのことで話しかけられたことに起因しています。

日本のマンガってすごいんだなって。

こんなに世界中の若者たちに愛されるものをつくれる日本ってすごいなって。

マンガのおかげで、英語があんまりできなくても、マンガそのものがコミュニケーションツールになって私をひとりぼっちから救ってくれました。

今回、マンガっぽいオノマトペ表現が入っているのは、マンガやアニメが好きな外国人は日本語を学んでいることが多く、ぱっと見て読める可能性があるなと考えたこと。そこから「これ、なんていう文字?どんな意味?」というコミュニケーションが生まれるといいなと思ったのです。

言葉がうまくできないと、日本人は特に恥ずかしがって話さなくなりがちです。そこをこのマンガのSWATCHがちょっとお手伝いして、海外で友達ができるのを助けてくれたらいいなと思っています。

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初日に買ってくださった方が、日本人なんですが「マンガの感じが好きで買いました!」と言ってくれてめっちゃうれしかったです。

マンガっていうのは海外だと「下」に見られてるエリアもあって、ドイツとかだとクラシックをつくる作曲家のほうがアニメ音楽をつくる作曲家より「上」みたいな考え方もされていると聞いたことがあります(個人の感想です)。

ちょっとしたマンガ差別です。
私自身も、ロサンゼルスのバス停でマンガを読んでたら見知らぬおばちゃんに「いい年してマンガなんて読んじゃダメよ」と唐突に説教されたことがあります。

それと、私は「オタク」という単語もあんまり好きじゃないのです。
なんか、生き方を決められてしまうようで。
以前、ゲイの方が「自分がゲイだと言うと、女言葉を期待されるのがイヤ」と言ってたのを聞いたことがあるんですが、それに近い感じです。

SWATCHは世界中に支店があって、SWATCHをコレクションするようなファンもいるほどのブランドなので、これをきっかけに世界中で「マンガ表現もいいね!」っていう感じになったら、きっと生きやすくなる人もいるんじゃないかなと。

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SWATCHはアーティストのキャンバスなのです。

アートが持つメッセージを、SWATCHと一緒に伝えていきたい。
それが、SWATCHへの恩返しにもなるといいなと思っています。

日本でSWATCHってどんなイメージでしょうか?
SWATCHはアーティストのキャンバスで、彼らの想いが乗ってるものなんだって見たら、そこに描かれているものがまた違って見えるのではないでしょうか?

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