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それでも私は本を見ながらダラダラと迷いたい

「とりあえず本屋さん寄って帰ろう」と思ってた頃と比べ、理由なく本屋に立ち寄ることが極端に減りました。

本を紙で持つこと自体が少なくなったし、実用書に検索をかけられない紙の本を不便に感じることが増えました。

海外に行くことが増えて、本はより電子のほうが便利に感じるようになりました。紙の本は持ち歩けないけど、電子書籍なら何冊でも積読しておけてどこにいても取り出すことができます。

本を買う時は、ほとんどAmazonで買うようになりました。出かけなくてもすぐに手に入るし、紙の本でも数日後には家に届いているのでとても助かります。

いつも読みかけの本が三冊くらい入ってて、その時読みたいものを読みたい分だけ読んでた日々には戻らなくなりました。重いんだけど、重くても本を持ち歩いていたかった頃がありました。

今は薄いお財布だけ入る小さいバッグを持っているだけだから、とても身軽です。

昔は本屋さんで好きな作家さんの新刊をチェックしてまわり、新書を見てまわり、絵本コーナーを見てまわり、小物づくりの本をてきとうに開いてましたが、やたらと買いそろえたお菓子作りの本やアクセサリー作りの本は、ほとんど使わずに人にあげちゃいました。

予算を考えて、どれを買おうと迷う日々がなくなったおかげで、本屋さんをうろうろする時間や、買うだけ買って放置する本に使うお金はすごく減りました。

でも、なんでうろうろしてたかといったら、一生持っておきたいって思えるほど素敵な本に出会うことが頻繁にあって、今日はそういう本に出会えるだろうかと期待をもって本屋さんを歩く時間が、とても幸せだったからなんじゃないかなって思い出すんですよね。

宝物のような果実があると分かっている森の中で、自分が食べたことのない果物を味見して歩く時の喜びみたいな。

物語のラストのどんでん返しが素晴らしいミヒャエル・エンデの短編絵本。小さな書店で平積みにもなってなかったのに、たまたまこの本を手に取れたっていう感動がすごかったです。

哲学絵本の「旅うさぎ」は絵も美しいのですが、言葉もとても好きで、買って人にプレゼントしたりしてました。

本は高くても数千円程度。買えない金額の本は一冊もないのに、与えてくれる幸福度はすごく高いです。

うろうろと迷っている時間は、それだけで十分幸せだったのに、自分がやりたいことをやるために、無駄な時間は少しでも減らしたほうがいい気がして、ただ迷っているだけのような時間が、自分の日常の中からずいぶん減ってしまいました。

なんかいい本ないかなって思って書店をうろつき、いい出会いがなくって結局帰ろうとするんだけど、離れがたくてもう一回絵本コーナーに行ってみるような、そういう自分と本との出会いしか考えていないような時間の幸福さを、長いこと忘れてしまっていたなと思い出しました。

それはそれで、自分にとって別の大事な幸せができたっていうことかもしれないし、必ずしもダメなことなわけじゃないです。今は確かに、読むよりも自分でつくりたいようになりました。

でも思い返してみたら、ネット上でも「素敵な本との出会い」は変わらず探していました。

なんとなく、たくさんのピカピカな本を見に行きたいので、明日は本屋さんをダラダラうろついてみたいなと思います。

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