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FIPのワクチンが作れない理由

画像:pixabay cowins


・初めに

筆者はFIPの論文などに出てくる免疫反応や、
それを引き起こす物質などの各名詞から、
それぞれの情報をひとつひとつ調べていくという形を採っています。

なので参考にしているのはFIPに関する資料だけではなく、
FIPによって起こる免疫反応や、
それを引き起こす物質に関する資料が多くあります。

免疫反応は何か一つの物質で成立することは決してなく、
種々の物質の連鎖反応によって、複雑な過程を経て成立します。
よって、ひとつの名詞を調べれば、それに関する多くの免疫反応や、
それに関する物質を調べていく事となります。

その為、筆者が調べている情報には実際にFIPとどこまで関係してくるかの解明がなされていない情報が含まれている可能性がある事を、予めご了承下さい。


1.なぜFIPのワクチンは作れないのか

「FIPにワクチンがあったら」と願う獣医さん、飼い主さんは世界中にいます。勿論私もその一人です。

ただFIPはとても特殊な病であり、
ワクチンを作る事が非常に難しい背景があります。


・アメリカでは経鼻ワクチンがある

実はアメリカを含め一部の欧州では経鼻ワクチンが既に存在し、
使用が認められています。
「Primucell FIP」というワクチンです。

よくネット上では「日本は遅れているから」等と批判を浴びています。
その通りだと思う事案が多すぎるのですが、
FIPワクチンに限ってはそうではない事情があるのです。

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・ワクチンの仕組み

ワクチンの仕組みは、
一度わざとウイルスなどに「軽く感染」させたり、
ウイルスなどの一部を「抗原」として体内に入れて覚えさせるという仕組みです。

これにより体に「備え」が出来て、
もう一度同じウイルスに感染した場合に速やかに対処、処理する事が可能です。

その為、感染後は無症状~軽い症状で完治する事が特徴です。
簡単に言うと「免疫が付く」と言う事ですね。

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・FIPはワクチンを打つと劇症化する

所がFIPでは「抗体依存性感染増強(ADE)」の発現により、
2度目の感染で重症化してしまいます。
※ADEの詳細は下記

この為、FIPにおいてワクチンで「一度」感染させるという行為は
「二度目」に本感染してしまった時の重症化
を意味します。

つまり従来の「本感染の際に軽度で終わらせる」と逆の効果がもたらされてしまうのです。

これは例えば、デング熱でも同じことが起こります。

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・抗体依存性感染増強(ADE)とは

ADEとは、ウイルスに2度感染した際に重症化する事です。

通常は一度目に特定のウイルスに感染し、再び同じウイルスに感染した場合には、抗体による備えが出来ているので早く病を終息させることが可能です。これがワクチンの理屈です。

具体的には、一度入り込んだ抗原に対しては抗体が作られて、
症状が治まった後にもその抗体の一部は体内に、
「メモリーB細胞(記憶B細胞)として保存されています。

これにより、二度目に入り込んだ抗原に対してはメモリーB細胞が速やかにプラズマ細胞(形質細胞)となって抗体を産生、この抗体達がウイルスに結合して捕まえてくれ、マクロファージ等の免疫細胞がそれを貪食して退治してくれます。

こうして早急に免疫応答を起こす事で、本格発症前に防ぐ事が出来ます。
この免疫応答の詳細は

こちらの「5.免疫細胞」の「B細胞」をご覧下さい。


これが大抵のワクチンの仕組みなのですが、
「2度目の感染」が重症化の引き金になるFIPの場合は、その仕組みが致命的になるのです。

ADEが起きてしまうと一度目の感染よりもはるかに激しい症状を出し、数日で亡くなってしまう程酷い状態となります。
感覚としてはアナフィラキシーショックの様だと私は感じました。

※アナフィラキシー
アレルギー反応の一種で即時型アレルギー。
例えば蜂に刺されて1度目は問題がなくても、
2度目には抗体が出来ていて速やかに抗体反応を起こしてくれるものですが、その反応が過剰だと起こるショック症状です。

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・なぜ「ADE」が起こるのか

一口にADEと言っても起こる現象は様々で、
その仕組みは完全に解明されていない様です。

ウイルスにはと言う物が存在します。
インフルエンザで「A型」と「B型」がありますよね。
A型は罹るときついと言いますが、実はこのA型はFECVと同じく変異しやすい為、100種類以上に分類されます。
鳥インフルエンザなど、動物も感染する事が特徴です。

対してB型は罹っても軽度の症状で済み、
変異もしない為に2種類にしか分類されません。


FECV(猫腸コロナウイルス)と
FIPV(猫伝染性腹膜炎ウイルス)にも2つの型が存在して、
FECVⅠ型が変異してFIPVⅠ型に、
FECVⅡ型が変異してFIPVⅡ型になる
と言われています。

図2


FECV=猫腸コロナウイルス
FIPV=猫伝染性腹膜炎ウイルス
FCoV=これら全てを含めた猫コロナウイルス


FECVもFIPVも血清学(血液中の抗体)的には見分けが付きません。
なので抗体価検査では見分けがつかないのです。

ですが、ウイルスが感染した際の体に及ぼす影響は違います。
これを「バイオタイプ」と言います。

無症状~軽い下痢程度の弱毒性ウイルスが「FECV」、
FIPの激しい症状を起こす強毒性ウイルスが「FIPV」です。


血液検査の詳細は

こちらの「5.基本的な知識」の「・血液検査」をご覧下さい。


・デング熱のADE

デング熱の型は4つあります。
デング熱の場合は、例えばⅠ型に感染した場合にもう一度Ⅰ型に感染すると抗体としての役割を正しく果たして重症化を防いでくれる様ですが、
Ⅱ~Ⅳ型の「別の型」には抗体として不十分で、正しく機能してくれません。

にも関わらずⅠ型用の抗体がⅡ~Ⅳ型のウイルスと結合して細胞と繋げてしまう為に、細胞内でウイルスが増殖するという仕組みだとの見方が強い様です。
この為、1種類の型しか流行していない地域(日本含む)では重症化は起こりにくいです。

「ポストさんてん日記 “デング熱の重症化”と“ワクチン製造の難しさ”は、デングウイルスの“ある特性”による」



・FIPVのADE

ですが、FIPVで起こるADE発現の仕組みはこれとは異なります。
FIPV「Ⅰ型」に感染した猫と「Ⅱ型」に感染した猫が
次にどちらもⅠ型に感染した際には、
「Ⅰ型の感染猫にのみ」ADEが発現して重症化しましたが、
Ⅱ型に感染した猫ではADEの発現は見られなかったそうです。

「研究課題: 猫コロナウイルスの抗体介在性感染増強作用に関する研究」

-以下2ページ目本文一部抜粋-

FIPV では同じ血清型の再感染によって ADE が発現することが明らかとなった。

-抜粋終了-
※ここで言う「血清型」とは、ウイルスの型の事です。


つまり

Ⅰ型感染猫  Ⅰ型に再感染=ADE発現・重症化

Ⅱ型感染猫  Ⅰ型に感染=ADE非発現

こうなります。
FIPでADEが発現すると重症化する仕組みは次の通りです。

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・抗体が備わっているという事はFIPVを歓迎すると言う事

本当に、本当に悔しいのですが、結果的にはそうなってしまうのです。
何故ならFIPVは抗体を介して体内で増殖するからです。

「抗体依存性感染増強(ADE)とは」で上述した通り、
本来なら抗体はウイルスを捕まえて、免疫細胞に食べさせてくれる役割を持ちます。

ですがFIPVにこの理屈は通じません。
貪食処理してくれるはずの免疫細胞、
つまりマクロファージの中でこそFIPVは増殖するからです。

予め抗体を増やす用意があると言う事は、
要は「速やかにウイルスを増殖させる準備を整えている」と言う事になってしまうのです。

つまり、

ウイルスに対する抗体を産生

抗体がウイルスに結合して捕まえる

ウイルスを捕まえた抗体(抗原抗体複合体)
マクロファージが貪食


マクロファージを住処にしてウイルスが増殖
※本来ならマクロファージが処理、分解

こういった流れになります。

ここに一度目の感染が成立していると、既に沢山の抗体を備えているのと同じですから、速やかに感染が成立して劇症化する原因となる訳です。

つまり「作られた抗体の数が=FIPVの住処」となるので
爆発的な増殖の原因となります。
こういった背景から、一般的に抗体を作る液性免疫はFIPには無効と言われます。

この詳細は

こちらをご覧下さい。

たまにFIPを発症してからものの数日で亡くなったという話を伺いますが、
その発症は2度目の感染による発症であった可能性があります。

「ネコ伝染性腹膜炎用ワクチン」

-以下本文一部抜粋-

FIPVは、抗体依存性感染増強(Antibody-dependent enhancement;ADE)を起こすことで
コロナウイルスの中でも特徴的である。
ADEとは、本来異物を排除するための生体防御機構である抗体が、逆にウイルスの細胞進入を促進し症状を悪化させることである。
FIPVに自然感染又はワクチン接種して中和抗体を体内に有するネコは、抗体を有せず、
初めて感染したネコよりもはるかに重症で進行の速い症状を示すことが多い

-抜粋終了-



以上の理由から、FIPVのワクチンを作る事が非常に困難です。
ではアメリカや欧州で使用されているワクチンはどうなのかと思われるでしょうが、私の知っている情報では非常に曖昧で不確実な結果となっています。

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2.アメリカや欧州で使用されている経鼻ワクチン

「猫伝染性腹膜炎 感染症防御および管理に関するABCDガイドライン」

!上記のリンク先には非常に辛い画像が3ページ目に出ています!
猫の開腹写真です。
見るのがお辛い方がとても多いと思いますので、
ワクチンに関する記事を書き出します。

以下本文一部書き起こし(元が画像の為)
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予防接種 
一般的な考慮事項

FIPのワクチンを開発するためにさまざまな試みがなされてきたが、そのほとんどが失敗に終わっている。
すなわち、抗体介在性感染増強(ADE)作用の発現により、ワクチンを接種した猫では、対照群(ワクチン未接種の猫)と比較してFIP発症が増強するという残念な結果が得られている。
現在、アメリカ合衆国および欧州の数カ国において、唯一のFIPワクチンが使用されている。
このワクチンはⅡ型FCoVのDF2株の温度感受性変異株をワクチン抗原として用いており、鼻腔内に投与する(経鼻接種)。
しかし、野外では、このワクチン抗原に用いられているⅡ型FCoVより、Ⅰ型FCoVの方が多く存在する。

いくつかの研究結果によると、本ワクチンの防御率は0%および75%と相反するデータが得られている。
野外実験の結果も矛盾したデータが報告されている。
すでにFCoVに感染したFCoV抗体陽性猫では、本ワクチンの効果は期待できない。
野外実験ではADE作用が確認されていないので、本ワクチンは安全と考えることができる。

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書き起こし終了
※太字は筆者によるもの


・成功率0%と75%の矛盾

上記を読んで頂ければ分かると思うのですが、
成功率が0%の結果もあれば75%の結果もあります。

野外実験も同様で、医薬品としては「異常」の範囲に入ると私は考えます。
つまり確立されていない医薬品となり、安全性が確認できない以上、承認が出来ないという事なのだと推察されます。

また、良い結果は製薬会社からのデータなので信用に足るとは到底思えず、
海外でも使用はかなり懐疑的で、警告の文面を幾つも見ています。

欧州猫病学諮問委員会でもノンコアワクチン(必ずしも必要ではない)に分類しています。

「Primucell FIP (Canada) for Animal Use - Drugs.com」
こちらはワクチン会社のページです。

-以下本文一部抜粋-

As with many vaccines, anaphylaxis may occur after use.
訳:多くのワクチンと同様に、使用後にアナフィラキシーが起こることがあります。


-抜粋終了-

使用法にも問題があり、「16週齢以上に使用」となっていますが、
その時点では大抵の猫はFCoVに曝露されている為、そもそもの使用基準に対する有効性も疑問視されています。
※既に抗体を作った猫には効果がありません

そしてどのワクチンにもある通り、
「アナフィラキシー」の危険性がありますので、
化学物質のストレスによる発症もないとは言えないだろうと私は思います。

「0%」の数字はそこにも原因があるのではと疑ってしまますが、
もしもそうでしたら本末転倒です。


FIPはアレルギーによって引き起こされます。
化学物質によりアレルギー体質となってしまうのは人も動物も同じで、発症の原因としても強く疑われます。

詳細は
「FIPと診断を受けたら最初にご覧下さい」
こちらをご覧下さい。

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・「野外実験ではADE作用が確認されていない」の疑問

また、「野外実験ではADE作用が確認されていない」とありますが、
野外ではⅠ型が多くを占めているので、そもそもワクチンで使用されたⅡ型にはADEが発現しなくて当然なのでは?という疑問が素人ながらに浮かびます。
※FIPVの場合は同型でなければADEが発現しない

ただ、Ⅰ型は培養し辛い為に、FIPV実験の多くはⅡ型ウイルスで行われているのが現状だそうです。
つまりADEの実態調査もⅡ型ウイルスが多数だと言う事です。

その為、そもそも「Ⅰ型においては必ずしもADEを発現するものだとは限らない」とも考えられます。

どの道、この野外実験では違う型が主体なので、
ADEを発現する環境とは言えないと思いますが。

「猫伝染性腹膜炎 LABIO 21 APR. 2016」

-以下本文一部抜粋-

しかし、これらの事実の多くは組織培養が容易で実験しやすいII型のFIPVを用いての成績であり、野外の自然感染例(その多くはI型)ではこのような抗体依存性の感染増強は必ずしも認められておらずその実態は明らかでない。

-抜粋終了-

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3.日本は遅れているのか

ワクチンの過剰摂取、ペットフードの危険性、
殺処分、生体販売、虐待への法律・・・。
動物の目線で見ると、日本は本当に、本当に冷たい国です。

ただ、FIPについてどうかと言うと、
実は「生存率」では先進国だったりします。


・日本ではFIPの完治例が多い

何故なら、海外ではFIPの診断が下ると「安楽死」が当然だからです。
ですが、

こちらの「3.誤診の可能性を潰す」でも書かせて頂きましたが、
FIPは確定診断が非常に難しく、「誤診」が多いのです。
つまり治る病をFIPと誤診して安楽死させているケースがとても多いと言われています。

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

・日本で選ばれる「治療」という生存選択肢

対して日本では、安楽死とは最後の最後の、本当の最後の手段であり、この手段を選ぶ飼い主さんも非常に少ない様です。

私はそんな日本の飼い主さん達の姿勢をとても素晴らしいと思います。
安楽死を選ぶのが悪いかどうかではなく、安楽死へのハードルが非常に高い事が、最後の最後の最後まで諦めない事が命への責任だと、
日本で生まれ育った私にはそう感じるからです。

FIPに罹っても、生還猫ちゃん達は数多くいます。
それは現在、特効薬となりうる未承認薬「GS-441524」が開発されるよりもずっと前の話です。
この子達は、海外なら今この世には居なかった事と思います。

「いまさら聞けない! ~インターフェロン療法  ~ 下 田 哲 也」

-以下本文一部抜粋-

石田らはインターキャット1MU/㎏隔日投与とプレドニゾロンの併用で滲出型FIPの4/12(33.3%)例が寛解したと報告している。

-抜粋終了-

※太字は筆者によるもの
※滲出型はウエットタイプの意味
※寛解は症状のない状態

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・海外で選ばれる「安楽死」という死の選択肢

私は愛猫に発症の疑いが出た頃、
「海外(英語圏)の広大な土地でなら多くの完治例が有る筈だ」と思い、英語力は0でしたが懸命に探しました。

ですが、私の英語力の問題もあるのでしょうが、しっかりとした完治記録で見つけられたのはドライタイプの「Dommieちゃん」の例だけでした。
※未承認薬「GS-441524」開発以前

それもその筈で、FIPの診断が下ると安楽死が当然ですから、
そもそも治療を選択するケースが少ないのです。
勿論それは、猫の事を愛しているからこその辛くて悲しい選択です。


ですが「宝くじは買わないと当たらない」と言う様に、
「完治も治療をしないと起こらない」と言えます。

幾つものページで幾つもの記録を見続けていると、
極稀に「七面鳥をあげた」、「ビタミンを多く補給した」と言った口頭での
完治報告がありましたが、結局、英語圏でのちゃんとした記録はDommieちゃんの記録以外には見つけられませんでした。

あれ程に広大な土地であるにも関わらず、
海外(英語圏)での選択肢は安楽死が標準の為に完治例が非常に少なく、
残念ながら手掛かりは少ない結果でした。


ただ、アルギニン、オメガ系が及ぼすFIPへの影響という、
日本では見ない栄養素方面からの視点はとても勉強になりました。

「Feline Infectious Peritonitis(FIP)」(英語サイト)
※以下、「」内は本文中をPCにより翻訳したもの

こちらのDr Diane D. Addieは、

「 ヒトとは異なり、アルギニンはネコの必須アミノ酸です。これがなぜ猫が肉食動物であるかの理由です。
アルギニンは、尿素サイクルだけでなく、単球および内皮細胞の正常な機能にも必須です。」

※マクロファージも単球の一種です

毎日良質の肉を与えてアルギニンの量を増やしてください。
毎日大さじ1杯でさえ、FCoVに感染した猫に影響を与えます
。」

「 FIPの猫は鮭、イワシ、ピルチャードなどオメガ3が豊富な魚を与えて下さい。
猫の食餌の抗炎症性オメガ3脂肪酸含量を増やす(イワシ、ピルチャード、サーモン、サバを週2回、6週間追加する)。
しかし、ビタミンA過剰の危険性を考えて、魚を大量に摂食することには注意が必要です.6週間後に体調を見直して下さい。」

※特に鯖はアレルギーを起こしやすいので注意が必要だと思います。

穀物ベースの食品には、あまりにも多くのオメガ6多価不飽和脂肪酸とあまりにも少ないオメガ3が含まれており、慢性炎症の状態につながります。過去数十年の間にアレルギー、喘息および関節炎が人間に増えました。
我々は、猫にも同様の炎症状態の上昇を見ます。


FIPは免疫媒介疾患であるため、治療には免疫応答の抑制が含まれ、通常はステロイドが用いられる。
抗ウイルス治療単独では通常、猫の命を長く延ばすことはほとんどなく、多くのものが猫にとって非常に有毒である。
ビタミンや抗酸化物質を加えて、猫の一般的な栄養状態を維持することも重要です。」

これに加えて「食べ物は徐々に慣らすように」との注意がなされています。
アルギニン、抗炎症を非常に重視しておられます。

アルギニンは鰹節やしらす干しにも含まれていますので、ご飯にトッピングなさると宜しいかと思います。


薬漬けの日本では「栄養価を高く保って下さい」と言っても
なかなかぴんと来られない方が多いのですが、
どんなお薬でも体を回復する「補助」であって、
最終的に病を治すのは「体」、ウイルスや細菌で言えば「免疫」です。

その体を、免疫を作るのは、当たり前ですが食べ物です。

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・インターフェロン治療は日本から

海外でのFIPに関する文献を幾つか見ましたが、
それらの幾つかには日本での治療法が紹介されていました。
インターフェロン治療です。

FIPに対するインターフェロンの治療法は現在世界中で使用されていますが、
実はこの治療法を始めに行って世界に発信したのが「赤坂動物病院」の石田卓夫先生です。
この方は猫のウイルス感染症の権威であり、FIPの第一人者と言われています。

「Dr Addie - feline infectious peritonitis (FIP) treatment」

-以下本文一部抜粋-

Feline interferon omega
Virbagen Omega (made by Virbac) is recombinant feline interferon omega (IFN omega) is available in many countries now. This product was first used in treatment of FIP by Japanese vet and scientist Takuo Ishida.

-抜粋終了-

訳(PCによる翻訳):
ネコインターフェロンオメガ
Virbagenオメガ ( Virbac 製)は組換えネコインターフェロンオメガ(IFNオメガ)は現在多くの国で入手可能です。
この製品は、日本の獣医師および石田卓雄によるFIPの治療に初めて使用されました。

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4.研究資金に躓くのは海外も同じ

FIPのワクチンを作る為には資金が足りないと嘆く獣医師、飼い主さんの姿は海外でも多く見られます。
と言うよりは海外のページで多く見ます。

欧米でならあっという間に集まりそうな気がしてとても意外だったのですが、「犬ならもっと集まるだろう」という一文を見る限り、
どのお国も変わらない様です。

日本でも「犬のコロナウイルスのワクチンはあるのに」と言う声は多く聞きます。
確かにFIPVになる前のFECV(猫腸コロナウイルス)の時点でのワクチンが完成すれば、そもそも変異しようがない訳ですから有効ですよね。

なぜ犬に出来て猫に出来ないのか、
そもそもFCoVのⅡ型は犬コロナウイルスとのハーフと言われていますから、
素人が考えるには理屈は近い気がするのですが(Ⅰ型は元からある猫コロナウイルスです)、
その辺りの理屈は調べても出て来ませんでしたので、私には分かりませんでした。

海外での幾つかのページでは研究の為の基金を募っていましたが、随分前のページだったので現在の研究資金の状況や進捗はよく分かりません。

また、今はまだ未承認薬ですが、特効薬となりうる「GS-441524」が開発された以上は、FIPの展望としてはADEの問題を抱えているワクチンではなく、治療薬か、変異前のFECVに対する抗ウイルス薬が主流となるでしょう。


FIPのワクチンは、誰もが切に願うものです。
愛猫に疑いがかかったり発症してしまった方は、それまでFIPの存在すら知らなかったという方も多くいらっしゃると思います。

FIPがどういう病気かを知った時の悲しみを考えると、
とても心が苦しいです。

また、ネット上で当然の様に流れる「ストレスが原因」の言葉で更に傷付けられた飼い主さんはとても多い事と思います。

ですが、

こちらでも触れている通りに、
ウイルスは日常的に変異を起こしていますし、
アレルギー反応を起こさなければそもそもFIPの症状は出ません。

アレルギー体質が大きな原因になっているんです。

そして、アレルギー体質に大きく寄与するのが化学物質です。

何度でも書きたいのですが、
例えば消臭剤で有名なファブリーズの主成分は
実際の連続殺人事件、「大口病院連続点滴中毒死事件」で使用
されています。

柔軟剤では通常使用で犬猫の肝酵素値の上昇、腎機能の低下、意識混迷、呼吸困難が症例として報告されています。

※一部訂正
リンク先の獣医師の記述に一部間違いがありました。
リンク先を症例報告をして下さった小宮先生の頁に変更、
本文の一部を削除、変更させて頂きました。大変申し訳御座いません。


これらの詳細は、是非一度

こちらをご覧頂きたいです。
動物を飼っているとかいないとかいう以前の問題で、つまりです。


ストレスなどと言われて傷ついていらっしゃる飼い主さんが未だに多い事に、それも未だに獣医師ですらそういった見解である事に私は心から悲しみと怒りを覚えます。
めいっぱい愛情を注いで大切に育て、心配で心配でたまらない飼い主さんに「何かストレスをかけたんじゃないの」なんて平気で言う方までいらっしゃるんです。

飼い主さんだけの責任で発症させるのはまず不可能です、
絶対にご自分を責めないで下さいね。


FIPで傷つく猫ちゃん、飼い主さんが一日も早くいなくなります様に、
「GS-441524」が少しでも早く承認されて誰にでも手の届く価格となり、
どの猫ちゃんも等しく健康で居られます事を、心から願っています。

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インターネット上で様々な情報を共有して下さる皆様、
日々研究を積み重ねて社会をより良くして下さる皆様に、
心からの御礼を申し上げます。

ご無理がなければ100円のご支援をして頂けますと、大変有り難く思います。