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FIPと診断を受けたら最初にご覧下さい

画像:pixabay PublicDomainArchive


GS-441524(MUTIANはGS-441524の類似薬)に対する私の見解は、
「「GS-441524」とブログの複数削除時期につきまして」
をご覧下さい。


初めましての方も、ブログで知って下さっている方も、
noteでは初めましてでしょうか。

改めまして、「FIP完治の為に調べた情報記録」管理人の扇桜と申します。

FIPドライタイプの疑いをかけられた猫を飼っており、
その過程で調べた情報をnoteの方でも記録させて頂きます。

医学の素人ではありますが、
医学界の方が書いて下さった論文等のお知恵を拝借しながら、
また、貴重な闘病記録やご相談頂いた内容を参考にさせて頂きながら、
私なりにまとめさせて頂こうと思います。

なので論文等を基にした事実と、
私自身が見て、聞いて来た中で得た個人の見解が混ざった記事
となります事を、どうぞ予めご了承下さい。


早速ですが、どうしても聞いて頂きたい事があります。

1.FIP発症はストレスが原因じゃない


もしかしたら獣医さんやネット上の拾い読みで「ストレスが原因」と言われて深く傷付いていらっしゃるかも知れません。
大丈夫です、違います。

まずFIPV(Vはウイルスの頭文字)自体はそんなに怖いウイルスではありません。
幼い子猫や持病がある子など、免疫が弱っていなければ倒せますし、
私の知る限りではありますが、十年近く前に発症する子達はこういった子が多数だったんですよ。
※近年発症が多発している個人的な見解は後述します

そして、正しく免疫を上げればこの様な子もちゃんと完治出来ます。
実際に子猫や持病のある子が生還した例はちゃんとあります。

ただ、このウイルスに対してアレルギーを起こしてしまう事で重篤な症状となります。


ウエットタイプでは主に水が溜まる「腹水」、「胸水」、「心嚢水」など、
ドライタイプでは主に「肉芽腫」による神経圧迫や内臓の問題など
これらは全て、アレルギーによる激しい炎症から起こります。

FIPの子の闘病記録を辿ると、アレルギー治療をしていたり、アレルギー療法食を食べている子がよくいます。
つまり体質的な問題です。ストレスではありません。

原因不明の難病等に使用される「ストレス」は、医学界の「逃げの言葉」としてよく使用されます。
勿論、「心身相関」の言葉通りにストレスが原因の場合もありますが。

ですがそれを言うなら「猫腸コロナウイルス」は多頭飼育であればほぼ100%が保有しているとも言われていますから、
劣悪環境の多頭飼育の子達は半数以上が発症しないと不自然です。

ストレスだけで発症するのはまず不可能です、
間違ってもご自身を責めないで下さい。

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2.アレルギー体質になる化学物質を取り除く


化学物質が原因でアレルギーを起こすのは人間も動物も同じです。

社会人になってお化粧を始めたら急に花粉症になった、
家を変えたらホルムアルデヒドでシックハウス症候群になった、
柔軟剤を使ったら化学物質過敏症になった。

添加物や農薬を避け出したらアレルギーが治った、
浄水器に変えたらアトピーが治った、
空気の良い田舎で転地療養したら化学物質過敏症が治まった。

これはFIPでも全く同じ事があり、
アレルギー体質の原因になる化学物質(柔軟剤、芳香剤、消臭剤など)を取り除くだけで症状を収めた例を幾つか知っています。

取り除いたのは化学物質です、ストレスじゃありません。


・FIP発症のきっかけ

FIP発症のきっかけとして、
以前はワクチン、去勢・避妊手術が1~2位を争っていましたが、
私がご相談を受ける中で尤も多いのは香る洗濯洗剤、柔軟剤、芳香剤、消臭剤(特にファブリーズ)、害虫駆除用の化学物質です。

特に

「洗濯洗剤」
「柔軟剤」
「消臭剤」
「芳香剤」

等の充満するタイプの化学物質は、
室内飼いではまず逃れる事が出来ませんし、常に体内に吸い込み続けます。

実際にドライタイプの最初の発作の原因が芳香剤や柔軟剤という例がありますし、取り除いて症状を治めています。そして完治しました。


最近FIPが多いと思われる方が結構いらっしゃりますが、
私は柔軟剤が原因だと真剣に思っています。
まさか柔軟剤で、と思われる方は多いと思います。

ですが現実問題として柔軟剤は現在、日本中でアレルギーを始めとした深刻な症状を引き起こす社会問題「香害」として有名になっており、病院などの張り紙でも啓発されている程です。
症状が軽い人だと頭痛、吐き気、眩暈、
症状の重い人は呼吸苦、失神を引き起こします。

私が知る限りはですが、こういった香りの強い柔軟剤が増え始めたのは2010年前後だったと記憶しています。
幾つかのボランティアさんや個人の方からの情報ですが、FIPの報告例が増えた時期と丁度一致します。

柔軟剤には毒性の強い成分が少なくとも4種類は入っており、

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 

毒-1.柔軟剤の主成分は「第四級アンモニウム塩」(QUAT)

連続殺人にも使用された薬品と同じ分類である、第四級アンモニウム塩

毒-2.香料を閉じ込めているマイクロカプセル

PM2.5よりも小さくて、免疫細胞を自殺させて何にでもアレルギーを起こさせる様にするマイクロカプセル

毒-3.マイクロカプセルの素材、「イソシアネート」

ホルムアルデヒドよりも危険で 外国では水銀やアスベストと並んで規制されるイソシアネート

毒-4.人工香料と「合成ムスク」

母乳にも脳にも蓄積される、アレルゲン、喘息、ホルモン攪乱、発癌を誘発する合成ムスク

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

と種類豊富です。
その内の一つは実際の連続殺人事件に使用された薬品と同じ分類である、
「第四級アンモニウム塩(QUAT)」です。


また、消臭剤で有名なファブリーズは人間が卒倒を起こす程危険な薬品です。
何せ実際の連続殺人事件「大口病院連続点滴中毒死事件」で使用されていますから。

上のリンクで詳述させて頂きましたが、マウスでの実験では死亡、流産、不妊、肝機能障害を始めとした危険性の数々。
経口推定致死量は体重1kg当たり50~500mgで、
誤飲による死亡事故が多いそうです。

実際に一部の獣医さんには広まっている様で、肝臓を悪くして亡くなった犬の飼い主さんが動物病院で商品名を名指しして使用の有無を尋ねられたそうです。(実際に使用していたそうです)
実はこれと同じ話が別の飼い主さんの別の動物で幾つかあり、
胎児、幼児、動物など弱い者から命が削られています。


猫は肝臓の解毒力が極端に低いと言われています。
人間でもこの様に重篤な症状を引き起こす化学物質で室内が一日中汚染されていて、病気にならない方が不思議です。

猫のアレルギーが増えるのは当然の事と言えますし、
FIPが増えるのも当然の事と言えます。

実際にFIPに罹ってから柔軟剤やアレルギー物質を取り除いて完治した子もいます。
この子に限らず、私の知る限りですが数匹の子が同じ様にFIPの症状を治めて無症状で過ごしています。

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簡単なまとめ

1.FIPはアレルギー体質が大きな原因
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
2.化学物質がアレルギー体質にしてしまうのは人も猫も一緒
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
3.柔軟剤、ファブリーズ等は医療機関で危険だと認識されている
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
4.柔軟剤、芳香剤、消臭剤などを止めただけで治った子達がいる
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
5.人間でも香り付きの柔軟剤で呼吸困難や失神が起きるので、猫はもっと酷くなる
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

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3.誤診の可能性を潰す


実はこの病、誤診が非常に多いんです。
「FIP 誤診」と検索頂くと、物凄く沢山出てきます。
FIPだと思ったら別の病気だった、また、別の病気だと思ったらFIPで処置が遅れたという話は本当に多いです。

ですがFIPではほんの数日の遅れが文字通りの「命取り」になります。
なので出来た獣医さんは血液検査の結果を待たずに仮診断を下して、
高栄養を指示したり、インターフェロン等の状況に合った「仮処置」を行います。

誤診される病気として、

「トキソプラズマ症」
「リンパ腫」
「炎症性腸疾患(IBD)」
「猫風邪」
「猫白血病」
「夏バテ」

など、私が知る範囲だけでも多岐に渡ります。
特に猫風邪は初期の診断として多いですが、
実際に猫風邪をひいて免疫力が低下、発症に繋がるケースが多い様に思いますので、これはあながち誤診ではない可能性もあります。

誤診の可能性を潰すには幾つかの診断方法があります。
それは後述させて頂こうと思います。

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4.治療法の選択


FIPの、特にウエットは進行が早いので一日も早く治療法を決断する必要があります。
FIPは決して治らない病気ではありませんが、泣きながらでも良いのでとにかく今動いて下さい。

標準治療は「ステロイド」と「インターフェロン」ですが、
特にステロイドは、併せて使用すると命を縮めます。


・現在の治療法が完治率1/100の理由

まず申し上げておきたいのは、
私は西洋医学なら何でもかんでも否定すると言う立場ではありません。
それで治るなら真っ先に治療法として選択します。

ただ、完治率1/100はあくまでも標準治療の統計であり、
更にFIPで行われるのは「対症療法」であり、
緩和・延命のための「命を諦めた治療法」だと言うことは
獣医学界も認めています。

※対症療法・・・
起こっている症状に対して原因ではなく症状の治療を行うこと
食中毒で菌を倒す為に抗生剤を使用するのが原因療法(根治療法)、
併発した発熱に解熱剤を使用するのが対症療法


何故そうなってしまうのかというと、
まずFIPではアレルギーによる激しい炎症が起きて
腹水や肉芽腫の症状を出しますが、この炎症は免疫が起こしています。

なので炎症を治める為に「免疫抑制剤」としてステロイド等が処方されますが、FIPの根本的な原因はウイルスですからウイルスを倒さなくてはいけません。

ですがステロイドを使用してしまうと免疫が働かなくなり、ウイルスを倒せなくなってしまいます。

これを補う為にウイルスの増殖を抑えたり免疫を賦活する「インターフェロン」が使用されますが、ステロイドを同時使用してしまえば当然効果は半減してしまいます。


実際に「PI」というFIPの治療に使用される「免疫賦活剤」の実験結果ではステロイドとの同時使用と単体使用での比較実験で、
ステロイド同時使用の場合は何と42.5~126日も命を縮めています。

この為PIとステロイドとの併用は禁忌ですが、
インターフェロンでも全く同じ事が言える
と思われます。

「Polyprenyl Immunostimulant Treatment of Cats with Presumptive Non-Effusive Feline Infectious Peritonitis In a Field Study」
(海外サイトです、私は翻訳ページを介して読みました)


要するにステロイドとの併用が免疫を落とし、
生存期間を著しく短くしていると言う事です。

但しFIPでは大火事の如く、強い炎症を起こす場合も多くあります。
標準治療を前提に考えるのであれば、インターフェロン等の免疫賦活剤を最大限に発揮させる為に、免疫抑制効果のない他の抗炎症剤も検討なさる事をお薦めします。

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・未承認の特効薬、「GS-441524」

今現在、多くの方がご存知の通り、
特効薬となり得る「GS-441524」の類似薬が、未承認薬として出回っています。

これは簡単に言ってしまうとウイルス増殖抑制剤であり、
例えばステロイドが腹水や肉芽腫の原因となるアレルギー反応を抑えたり(同時にウイルスと闘う免疫も抑えてしまう)
インターフェロンが免疫の活性化を図るのに対し、
ウイルスそのものを増やさないというお薬です。

つまりステロイドやインターフェロンが免疫反応、
つまり体自身に対して働きかけるのに対し、
このお薬はウイルスそのものに働きかけるということですね。

この効果は目覚ましく、SNSでは多くの寛解例が報告されています。
ただ、このお薬は未承認薬であり、大変高額です。
安全に購入出来るルートはある様ですが偽物が出回っている危険性もあり、
私としては言及出来ません。

この「GS-441524」につきましては「子猫のへや」様でもご紹介下さっていますので、ご興味がおありの方は一度ご覧下さいませね。

「猫伝染性腹膜炎(FIP)に対するGS-441524のウイルス増殖抑制効果 | 子猫のへや」


このお薬はまだ未承認ですが、
承認された際には多くの猫ちゃんのFIP治療が可能となります。

その日を心から、心待ちにしています。

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簡単なまとめ

1.FIPの治療法は治らない前提のその場しのぎ
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
2.腹水や胸水などのアレルギー反応は免疫が起こすので、ステロイドで免疫を抑える
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
3.ウイルスを殺すのは免疫なので、ステロイドで免疫を抑えるとウイルスが殺せずに命を短くしてしまう
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
4.ウイルスの増殖を抑えたり免疫を元気にするインターフェロンの効果をステロイドが邪魔する
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

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・既に治療を始めている場合

病院に行くと大抵はステロイドを使用されますし処方されます。
愛猫が発症した後にこの記事を見ていらっしゃる方は
「もう使っちゃってるよ」と言う方が殆どだと思います。
私が知る限りの薬による悪化の前兆としては以下が挙げられます。

水が増えた(=液性免疫による3型アレルギーの悪化)
食欲や元気が落ちた(=薬によるダメージ、副作用等からくる低下)
便の調子が悪くなった(=薬で抑えられていない、薬の副作用)


これらの場合は体に合っていない証拠ですので、
中断・中止を強くお薦めします。

また、「食欲や元気が落ちた」に当てはまる場合、
特に注射後の急性であるなら非常に危険ですので、二度と使用してはいけません。

「便の調子が悪くなった」に当てはまる場合で下痢になると、
特に子猫の場合は完全な命取りです。
薬による下痢が明らかな場合は程度により、使用の減量か中断か中止をお薦めします。

但しステロイドは自己判断での減薬・中止をしてはいけません。
必ずお医者様に指示を仰いで下さい。

素人判断で減薬、中止すると、「ステロイド離脱症候群」に陥る可能性があります。
簡単に説明すると、お薬でステロイドを摂取しているとステロイドを自分の体が作れなくなっている状態です。「アジソン病」の様な状態ですね。

「ステロイド離脱症候群 - 薬学用語解説 - 日本薬学会」

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・治療方針を必要に応じて見直す

治療方針を必要に応じて見直す事は、
闘病において非常に重要になって来ます。

FIPは時間が貰えない病気なので、
たった一日がその子の命の分かれ目になる事も十二分にある病気です。
どの治療法を選ばれたとしても、
体に合っているかを常に注意深く確認してあげて下さい。

「体に負担が掛かっている」
「この治療法じゃ追いつかない」
「悪化している」


と思われたら、全く違う治療法に切り替える事もよく検討して下さい。


また、どんな治療法にも「相性」があります。
同じ治療法を施しても別の子には効いて、
別の子には効かないと言う事です。
「感受性」というのですが、これは医薬品にもサプリメントにも漢方にも健康食品にもあります。注意深く見守って、

「悪化」するようなら切り替えを、

「現状維持」なら体に負担を掛けない何かを注意深く足して、

「改善」されればそのまま治療を続ける事をお薦めします。

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・治療費別に選ぶ場合

FIPの子の治療明細を見ていると、もうびっくりする様な金額が並んでいます。毎回、万に近い金額から数万円の単位、それが一週間に一回以上なんて事もざらです。
なので総計して何十万円も掛かってしまった、と言う方もいらっしゃります。

治療費は本当に切実な問題です。
お金のある方にとっては「命には代えられない」、で済む問題ですが、
お金のない方にとっては「自分の命が危うくなる」レベルの問題となってきます。

「まさかそんな」と思われた方もいらっしゃるかも知れませんが、
それ程FIP治療ではお金が掛かる場合があるんですよ。
実際に治療費の概算を見せられて、治療を諦めてしまった方もいらっしゃる位です。

それに加えて「治らない病気」なんて言われてしまうと、
それはもう心も折られてしまいますよね。

ご自身の懐とご相談しながらFIP治療を行いたい方は、
私が分かる範囲ではありますが

「治療費別で考える治療法」

こちらのページに全て纏めてあります。
但しこのページは未承認薬の認可が下りるまでの掲載です。
いずれも確実な方法ではないからです。

一日も早く、少しでも安く、安全で確実な治療を
全ての猫ちゃんが受けられる日を心待ちにしています。

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5.基本的な知識

※掻い摘んで掲載しておりますので、
詳細は別の記事にてご説明させて頂きます。

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・ウイルス(以下、英名詞の最後に付くVはウイルスのV)

コロナウイルス科、コロナウイルス属、猫コロナウイルス
(Feline coronavirus:FCoV)

「猫コロナウイルス(FCoV)」は二種類あります。

一つは無症状か軽い下痢程度でほぼ無害な

「猫腸コロナウイルス(FECV)」

もう一つは、ご存知の

「猫伝染性腹膜炎ウイルス(FIPV)」

 です。

「FIP」は、FIPVから発病して引き起される症状のことなんですよ。

図


つまり猫コロナウイルス(FCoV)という括りの中の、
猫腸コロナウイルス(FECV)と
猫伝染性腹膜炎ウイルス(FIPV)ということです。

なのでどちらも猫コロナウイルス(FCoV)です。

これがややこしい所で、「抗体価検査」をして猫コロナウイルスが検出されたからといって必ずしもFIPだとは限らないんですね。
弱毒でどの子も持っている猫腸コロナウイルス(FECV)でも、
強毒で危険な猫伝染性腹膜炎ウイルス(FIPV)でも、
「猫コロナウイルス」として一括りで検査に引っ掛かってきます。

また、PCR(遺伝子)検査でFIPVが検出されても、稀に症状を起こす前に陰転すると言うケースもあります。
これはウイルスが体に回ったものの、ウイルスに対してアレルギー反応を起こさずに正しい免疫反応で駆除したケースだと思われます。
※血液検査の詳細は別項目に記載します


猫腸コロナウイルス(FECV)は外猫で8~9割の猫が感染しているとも言われる程にありふれたウイルスです。

対して猫伝染性腹膜炎ウイルス(FIPV)は、
猫腸コロナウイルス(FECV)が猫の体内で突然変異を起こしたものがFIPVだと言われています。
※変異ではなく全く別のウイルスという説も一応あります

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簡単なまとめ

1.「猫腸コロナウイルス(FECV)」は無症状か軽い下痢程度でほぼ無害
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
2.「猫伝染性腹膜炎ウイルス(FIPV)」がFIPを引き起こす方のウイルス
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
3.「猫コロナウイルス(FCoV)」の中の「猫腸コロナウイルス(FECV)」
と「猫伝染性腹膜炎ウイルス(FIPV)」という括り
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
4.「FIP」と言う呼び名は、FIPVから発病して起きる症状の総称
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
5.猫腸コロナウイルス(FECV)は外猫なら8~9割の猫が感染している
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

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・感染経路とウイルス変異

感染経路はFECVの場合、

糞便から外部へ排出

経口、経鼻感染

感染猫の排便後に、非感染猫がお尻を舐めたりお尻の臭いを嗅ぐ他に、
トイレの共有、アログルーミング(舐め合い)でも感染しやすいと思われます。


対してFIPVは垂直感染し、つまり

親から子へと感染

します。兄弟猫の発症が多いのはこの為です。

「猫伝染性腹膜炎 感染症防御および管理に関するABCDガイドライン」
!リンク先には内臓や開腹写真があります!
見るのがお辛い方は避けて下さい。

-以下本文一部抜粋-

FIPを発症した妊娠猫において胎盤感染した例が報告されているが、これは非常に稀なケースである。

-抜粋終了-


つまり

FECVは体外に出ますが、FIPVは体内に留まったまま

です。
なのでFIPVの水平感染(接触感染、飛沫感染、空気感染、媒介物感染など)は2020年6月現在、医学的に否定されています。

この仕組みとして、ウイルスの突然変異で起こる変化が関わって来ます。

今は人間の世界でもすっかり有名になりましたが、
コロナウイルスは猫腸コロナウイルス(FECV)に限らずとても変異しやすいウイルスなんです。
コロナウイルスは遺伝子構造が大きいので、
遺伝子をコピー(増殖)する際に失敗します。これが突然変異です。

具体的には、

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

変異①

スパイク蛋白と呼ばれる遺伝子の変化

腸管からマクロファージ(全身を巡れる白血球)への移行が可能になる。

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 

変異②

ORF 3cの変異、欠如

腸管での増殖に必要な部位の為、変異、欠如が起こると腸管では増えなくなる。(代わりにマクロファージに乗って全身を巡るようになる)

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 

この様な流れとなります。
腸管での増殖が不可能な為、便中、嘔吐物、唾液に排泄されることもなく水平感染も否定されると言うのが現在の考え方です。
私も同意見で、水平感染するのならもっと大量の患畜が出ると考えます。


ですが、変異を繰り返すウイルスですからいつどうなるかは全く分かりません。
実際に一時、台湾のシェルター内で水平感染するウイルスが出現しました。
これはFIPの水平感染が認められた初めての事例です。

腸管での増殖に必要なORF 3cが欠如していない、完全な状態のウイルスが出現した事で水平感染が起こりました。
後、自然にORF 3cが欠如されて水平感染が起こらなくなり、終息に至っています。

※兄弟猫以外の感染猫からも同一の遺伝子のウイルスが検出されたことが証拠となりました

「An outbreak of feline infectious peritonitis in a Taiwanese shelter: epidemiologic and molecular evidence for horizontal transmission of a novel type II feline coronavirus(台湾のシェルターにおけるネコ伝染性腹膜炎の発生:新規のII型ネココロナウイルスの水平伝播の疫学的および分子的証拠)
※英語のページです。私は翻訳を通して読みました。 

これ以降、水平感染の認められた事例は、私が知る限りはありません。

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簡単なまとめ

1.「猫腸コロナウイルス(FECV)」は
便から外へ出て、猫がお尻を舐めたり臭いを嗅ぐ、トイレの共有、舐め合うことなどでうつる
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
2.「猫伝染性腹膜炎ウイルス(FIPV)」は
親から子へ体内でうつり、外には出ないので通常はうつらない
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
3.「猫コロナウイルス(FCoV)」は変異を起こしやすい
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
4.変異を起こして
FIPVになる事で、腸に住み着けなくなる代わりに全身に回る様になる
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
5.FIPVになる事で、腸に住み着けなくなるので体外には排出されなくなる
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

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・変異後、感染後


液性免疫の過剰な働きか、
細胞性免疫の一部に異常が起こると、

ウイルスに対しアレルギー反応を起こして発症
します。

よって、FIPVが体内で発生したからといって必ずFIPを発症する訳ではありません。
FIPVに対して正しい免疫反応を起こして駆除をせず、
アレルギー反応を起こした子だけがFIPの症状を出すのです。

変異したウイルスに結合した抗体を、マクロファージが貪食します。
通常はこの時点で処理分解されるのですが、
FIPVはマクロファージ内で増殖できます。

マクロファージは体中を巡れる為にウイルスは全身に広がり、
感染された細胞は死んで増殖したウイルスが体内に放出されます。

ウェットタイプ(滲出型)
液性免疫が過剰に働き、III型アレルギーから来る血管炎が起こる。
病態は高熱、脱水、貧血、黄疸、胸膜炎による胸水、腹膜炎による腹水、心膜炎による心囊水、
下痢、嘔吐、便秘、黄疸による山吹色の尿。

ドライタイプ(非滲出型)
細胞性免疫の一部に異常が起こるとIV型アレルギーから肉芽腫が形成されるなどの症状が起こる。
病態は肉芽による神経の圧迫からくる神経症状が多い。
腎臓、肝臓の障害、ぶどう膜炎、緑内障、失明、神経症状(てんかん、痙攣、異常行動、意識障害、歩行障害、各部位の麻痺)

※両方発症する「混合型」の子もいます。

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簡単なまとめ

1.ウエットタイプは液性免疫が暴走して、
ドライタイプは細胞性免疫が異常を起こしてアレルギーになる
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
2.FIPVが体内で作られても必ずFIPを発症する訳ではなく、
ウイルスに対してアレルギー反応を起こしてFIPの症状になる
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
3.変異したウイルスに対して作り出した抗体をくっつけて、
免疫細胞のマクロファージなどに食べさせる
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
4.FIPVはマクロファージの中に棲みついて体中に広がる
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
5.マクロファージは死んで体内にウイルスが放出されてしまう
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

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・血液検査

血液検査には2種類あります。

1.猫コロナウイルス(FCoV)抗体価検査
(FECVの抗体もFIPVの抗体も区別なく検出する)

2.遺伝子検査(抗原検査)
(FIPVのみ検出可能)

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

1.抗体価検査

抗体価は、体がFCoVの抗体を作ったことがあるか、
あればその量についての検査です。
そこにFECVとFIPVの区別は付けられません。

抗体があるならば当然FCoVに罹っている(いた)ことになりますが、
それがどちらのウイルスかは不明なのです。
ウイルスが活性化していれば、当然抗体の量も多く作られますので数値は高くなります。
ですが、抗体価が驚異的に高くてもFIPVでない事もあれば、抗体価が一番低くてもFIPを発症する事もあります。

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 

2.PCR検査(遺伝子検査)
PCR検査とは、特定の遺伝子を増やす作業を行って

増えた=いる
増えない=いない


と判別する方法です。

「日本微生物研究所 | 微生物検査のPCR法とは | 遺伝子検査って?」


FIPにおいては血液や、症状がある子なら腹水や肉芽腫を調べてFIPVがいないかを確認します。

FECVとFIPVの区別は付けられないんじゃなかったのかと思われるかもしれませんが、
弱毒性のFECVは腸管以外には移動できません。
強毒性のFIPVは、マクロファージに乗って体中を巡れます。

つまり、腸管以外の場所でFCoVが見つかったという事は、即ちFIPVだと言う事になる訳です。

ただ、ごく稀にPCR検査でFCoVが見付かったのに、その後陰転した例もあり、アレルギーを起こさずに正しい免疫反応で抑え込むのに成功した例だと思われます。

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簡単なまとめ

1.「猫コロナウイルス(FCoV)抗体価検査」は
弱毒のFECVも強毒のFIPVも一緒に数値として出て、区別が付かない
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
2.抗体価検査の数値が異常に高くても
FIPVではなくFECVの可能性があり、数値が一番低くてもFIPを発症する子もいる
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
3.「遺伝子検査」は
血液や腹水、肉芽腫を調べてウイルスがいるかを確認する検査
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
4.FECVとFIPVは見た目では区別出来ないが、
FIPVは腸以外に移動できるので、遺伝子検査でFIPVと確定出来る
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

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・完治の仕組み

FIPを完治させた猫には共通点があります。
それは正しい免疫反応を起こしたという事です。

これは、FIPVを体内に保有していても発症しない猫ちゃん(ウイルスキャリア)や、発症せずにそのままウイルスを退治する猫ちゃんにも共通します。

※ウイルスキャリア・・・
ウイルスを持ってはいるが発症していない状態で、生涯キャリアの子もいる


FIPは正しい免疫反応を起こせずに、
ウイルスに対してアレルギー反応を起こして初めて発症します。
なので、


ウイルスを保有している子が目指すのは

”アレルギー反応を起こさない” ことと ”ウイルスを殺す”こと


発症した子が目指すのは

”アレルギー反応を治める” ことと ”ウイルスを殺す”こと

となります。


つまり完治には、

正しい免疫反応を起こしてウイルスを殺すことが必要

です。


なので完治の流れとしては、

FIPV発生、発症

正しい免疫反応

ウイルスを殺す

炎症が治まる

体力回復

完治

この様になります。

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

・正しい免疫反応を起こすには

FIPを発症させない正しい免疫反応とは、
細胞性免疫が正常に働いている状態を指します。

発症した子=
ウエットタイプ:液性免疫
が過剰に働く
ドライタイプ:細胞性免疫の一部に異常が起こる

発症しない子(キャリア含む)、完治する子=
細胞性免疫が正常に働く


液性免疫、細胞性免疫が異常に働く=アレルギー反応
です。

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液性免疫:

花粉症などのアレルギーを起こす免疫。
体内に異物を感知すると抗体を作り、抗原(アレルゲン)と結合して「抗原抗体複合体(免疫複合体)」を形成、マクロファージに食べさせる。

液性免疫が異常を起こすとIII型アレルギーを発症、ウエットタイプとなる。
(抗原抗体複合体が血管壁に付着して血管炎を起こしている)

※抗体・・・
ウイルスや花粉などの異物(抗原)が体内に侵入した際、
特定の異物に結合して体に免疫反応を起こさせる蛋白

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細胞性免疫:

臓器移植の拒否反応を起こす免疫。
体内にウイルスや細菌等の異物を感知するとマクロファージを活性化、
移植細胞、感染細胞、癌細胞などを破壊する細胞であるキラーT細胞、
感染細胞、癌細胞などを破壊する細胞であるナチュラルキラー細胞が攻撃する。

細胞性免疫が異常を起こすとIV型アレルギーを発症、ドライタイプとなる

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・細胞性免疫を正常に働かせるには

細胞性免疫にしても液性免疫にしても、
異常な働きを起こす背景にはアレルギー反応があります。
アレルギーを起こさない体質にする為には様々なことが言われていますが、
代表的な対処法としてはやはり腸内環境を整える事が挙げられます。

免疫細胞の多くは腸にある、と言われています。
その数字はおよそ6~7割
更にナチュラルキラー細胞の7割は腸内に存在すると言われており、
加えてコロナは「腸」コロナウイルス。発症予防には最適です。

よくヨーグルトを食べたら花粉症が治ったなんて話がありますよね。
あれはヨーグルトで腸内環境を整えた結果、正しい免疫反応が起こせるようになってアレルギーが治ったという事です。

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簡単なまとめ

1.FIPを完治させるには
正しい免疫反応を起こしてアレルギーを治め、ウイルスを殺さなくてはいけない
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2.FIPVを体内に保有していても
アレルギー反応を起こさないので一生発症しない猫もいて、「ウイルスキャリア」と呼ばれる
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3.FIPVを体内に保有しても発症しないままウイルスを退治する猫もいる
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4.抗体価検査で高い数値が出たら
アレルギー反応を起こさないこととウイルスを殺すことを目指す
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5.発症した子はアレルギー反応を収めることとウイルスを殺すことを目指す
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
6.細胞性免疫が強く正常に働く事により、
アレルギーを発症せずに免疫細胞がウイルスを殺してくれる
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7.細胞性免疫は
ウイルスや癌細胞、感染細胞などをマクロファージやナチュラルキラー細胞などの免疫細胞が倒してくれる免疫
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
8.液性免疫は
抗体を作る免疫で、異物に対して作り出した抗体をくっつけて、
免疫細胞に食べさせる
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9.免疫細胞の6~7割が
腸内に住んでおり、ナチュラルキラー細胞も7割が腸内に住んでいる
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10.人間の花粉症に
ヨーグルトが効くのと同じ様に、
腸内環境を整える事がアレルギーの改善、予防に繋がる
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6.日々のチェック

食欲は体全体の指標、
便の調子は免疫の指標、
尿の色は腎臓、肝臓の指標、
耳と肉球の色は貧血、黄疸の指標になります。

これらは体調の指標になりますので、是非毎日確認してあげて下さい。

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・食欲
FIPの診断が下る前に食欲が落ちたと思った方も多いと思います。

食欲は体全体の不調を教えてくれる重要なサインです。
もしも落ちたと感じたら、とにかく食べてくれるものを探して、
どんな手を使ってもご飯量を増やしてあげて下さい。
人間用のチーズやバター、生クリームなどの高カロリーな物も、
お腹さえ壊さなければ有用です。

FIPでは栄養失調が非常に多いです。死因としてもよく見かけます。
特にウエットタイプでは、血管内から腹水などの水と共に「アルブミン」が漏れ出してしまいます。
このアルブミンは生命維持の指標とも呼ばれる蛋白質で、
腹水を抜くと同時にアルブミンも失われてしまうので、
急激に衰弱して亡くなってしまう
ケースが目立ちます。

更にウイルスと闘うだけでも栄養は失われてしまいますし、
ウイルスによって細胞の栄養が横取りされています。
実際、完治した子の多くは食欲が落ちない子が多く、
ウイルスと闘うだけの栄養価を保ち続けた事が大きな力となった
と言えます。

あらゆる理由で栄養失調となってしまうFIPでは、
とにかく少しでも栄養価を高く保ってあげる事が命を繋ぐ綱となりますので
どうか頑張ってご飯を食べさせてあげて下さいね。
猫に食べさせられる物については下記頁をご参照下さい。

 「猫に食べさせられるもの一覧」

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

・便の調子
FIPにおいて、便の調子が崩れている子は非常に多いです。
便秘も下痢も、どちらもあります。

便の調子は免疫に直結しますので非常に重要です。
FIPを完治させるには、アレルギー反応を収める為に正しく「細胞性免疫」を上げ、ウイルスを殺してくれる免疫細胞を活性化する必要があります。

この免疫細胞の6~7割は腸内に住んでいるので、
腸を整える=ウイルスを殺すと考えて下さい。

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

・尿の色
腎臓、肝臓が傷むと尿の色が変わります。
特に黄疸が出た尿の色の変化に気付き来院、FIPの発症に気付くケースもよく見ます。

※黄疸が出た尿の色は、とても濃い色になります(濃い黄色~茶褐色)

FIPにおいてはどの臓器にも炎症を起こす可能性があるので、
腎炎、肝炎は珍しくありません。
診断が下った後も常に気を付けてあげて下さい。

また、医薬品(特にステロイド、インターフェロン)を使用すると多大な負担を腎臓、肝臓にかけますので、肝不全への対処は予防として行うことを強くお薦めします。
お医者様に肝臓保護のお薬(可能であれば「ミルクシスル」)など、
対処法をご相談してみて下さいね。

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・耳と肉球の色
「食欲」で記した通り、FIPにおいてはあらゆる理由から貧血を起こします。
すると耳、肉球、ちょっと確認し辛いですが歯茎の色も白っぽくなってしまいます。これは白い程重症です。
海苔(味付けしていない物)は貧血に効果があり、好む猫ちゃんが多いです。一度食べるかどうかをお試し下さい。

また、黄疸が出ているとこれらの色は黄色になってしまいます。
診断が下った後も常に気を付けてあげて下さい。

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7.投薬の練習を水から始める

FIPに限らない事なのですが、闘病で特に苦心するのは投薬、強制給餌です。
これは治療において決して避けて通れない事なので、人も猫も慣れておく必要があります。

もしも赤ちゃんや子猫がいるならば今の内に、最初は水からで良いので、慣れたら色々な味の色々な物をシリンジであげて下さい。
もちろん猫に安全な物をですよ。
大人になっても投薬に苦労しなくなりますので未来への投資となります。

シリンジとは針の付いていない注射器で、お願いすれば獣医さんからも貰えます。家で主に使用しているのは5~6mlの物です。
強制給餌はまだ経験したことが無いので分からないのですが、シリンジの口の広い物がある筈なので、一度お医者様にご相談してみて下さい。

また、鶏肉やレバー等、様々な食べ物を子供の頃から与える事で食の好みが幅広くなり、猫によくある「フード難民」や、
アレルギー疾患などが起きた際の「自然食への移行」の苦労が減ります。

FIPでは様々な理由から栄養不足となり、特にアルブミンの不足は致死的となります。アルブミンは「生命維持の指標」とも言われる程、生きる為に重要な栄養素です。

アルブミンは肉や卵などの蛋白質の豊富な食べ物に多く含まれており、
腹水等の水を血管内に引き戻すにも必要となります。
これらに日頃から慣れさせておくのは本当に重要なんですよ。


病気を治してくれるのは免疫です、お薬ではありません。
インターフェロンだってウイルスの増殖を抑制するだけなんですよ、
ウイルスを倒してくれるのは免疫です。

その免疫を、体を作るのは食べ物です。

どんな病だって、治すのは体 体を作るのは食べ物なんです。

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8.発症の疑いがある場合

もしもFIP発症の疑いがあってこのページを訪れたのなら、
まずこのページの「3.誤診の可能性を潰す」をご覧下さい。

次いで

・太らせる
・好物を見つける
・避妊、去勢手術、ワクチンは控える
・身の周りの化学物質を取り除く
・腸内環境を整える

こちらを無理のない範囲で行って下さい。


・太らせる

お医者様に怒られてしまいそうですが、とても大切なことなんですよ。
FIPに罹るとあっという間に痩せて病気と戦えなくなるのです。
しかも食欲が落ちる子が多く、栄養不足が直接の死因となることも珍しくありません。

家の雌猫も一度大腸炎にかかったのですが、酷い日は極少量の便を一日に15回くらい出しました。完治に一週間ちょっとかかったのですが、
たった4日間で3kgの体重は2.75kgになりました。
最終的には2.7kgまで落ちました。

人間でいうと30kgの人が4日で2.5kg痩せて、27.5kgになったという事です。60kgの人なら55kgです。ぞっとします。

余談ですが、この大腸炎は強い薬に切り替えても治らずに困っていたのですが、手作りのギーを使ったら一日で完治しました。

※ギー・・・
澄ましバターの事で、バターから不純物を取り除いた物を指します。
不純物の中にはアレルギー物質が入っているので、
乳製品アレルギーでも多くの場合は食べられるそうです。

作り方などの詳細は「猫に食べさせられるもの一覧」 の、
乳製品項目「4.ギー」をご覧下さい


また、コレステロール(脂質の一種)は細胞膜や副腎皮質ホルモン(性ホルモンや抗ストレスホルモン、ステロイド等)を作る材料となり、
中性脂肪は生命維持に欠かせないエネルギー源となります。

近年は世界中の研究結果でコレステロールと動脈硬化の関係は否定され、
値が低い人ほど短命である結果が出ているそうです。
下二つ目のリンク先では悪玉と呼ばれる「LDL」が低いほど短命との結果が書かれています。


「ヘルスUP|病気・医療|コレステロール 高い方が長生き?」

「長寿のための コレステロール ガイドライン 2010 年版 (要旨) 日本脂質栄養学会 コレステロール ガイドライン策定委員会」

-以下本文一部抜粋-

「総コレステロール値あるいは LDL-コレステロール値が高いと、日本では何と総死亡率が低下する。
つまり、総コレステロール値は高い方が長生きなのである。このことは専門
家の間では 10 年以上前から分かっていた。なぜこのような単純で重要なこ
とが一般には知らされていなかったのだろうか。
今回、日本脂質栄養学会が中心となり、高脂血症のガイドラインを編集す
ることになったが、本ガイドラインには今まであまり知られていなかった多
くの事実が含まれている。それが可能になった理由は編集委員のほとんどが
製薬企業から研究費等をもらっていないからである。」

-抜粋終了-


また、コレステロールの不足は血管の破損や免疫力の低下等、種々の重大な問題が起こります。
但し酸化LDLになると危険なので、抗酸化物質を取る事は非常に大切です。

「医療法人 照甦会 あかね台 眼科脳神経外科クリニック|コレステロールの嘘と真実 食に関連する予防医学と豆知識」


細胞膜の構成物質にもなっているコレステロールですが、
細胞膜は細胞の修復に必要な栄養を体に取り込み、必要なものは内へ、老廃物等の不要なものは外へ出してくれます。
※細胞修復には同時にビタミンやミネラルが必要となります。

「膜の構造と機能|慶應義塾大学環境情報学部・基礎分子生物学 3」


上記の理由から、私にとっての猫の理想体型は
「ぎりぎりウエストが無くなる~ちょっとウエストが丸みを帯びる」です。
※個人の感想です

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

・好物を見つける

FIPに限りませんが、病気をすると食欲を無くして一気に衰弱します。
そんな時でもこれだけは食べた、これで食欲が出た、という話はよく聞きます。
元気な内に、何でも試しておく事は切実に重要です。
※但しナッツや葡萄、レーズンといった、猫に毒となる物もありますので、必ずよく調べてからあげて下さい

意外と「え、こんな物も食べるの」という食べ物があります。
納豆、海苔(味付けされていないもの)は好まれることが多く、
特に海苔は貧血対策になります。

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

・避妊、去勢手術、ワクチンは控える

私がご相談頂く方の多くはこれらが決定打になったと仰られます。
私が知る限りは避妊、去勢手術とワクチンは発症原因のトップ・・・、でした。少なくとも以前はそうです。

残念ながら現在は、柔軟剤や香る洗濯洗剤、消臭剤が発症原因のトップであると私は確信しています。


また、子猫であるならば発症疑いがなくても成長が終わるまでは避妊、去勢手術を避ける事をお薦めします。
胸腺が委縮して正しい免疫反応が起こせなくなってしまいます。

「胸腺 - Wikipedia」

胸腺とは免疫細胞を増殖、教育、育成する器官です。
胸腺は人間で言うと10代の内が特に活発で、正しく免疫機能を作る大切な時期です。大人になると余り活躍しなくなります。

所が手術や重い病気、ストレス、ステロイド等の強い薬の服用をすると、胸腺は委縮してしまうのです。
これは虐待の証拠としても採用され、2018年にはこれを決定打として12年前の事件を逮捕の根拠に採用しています。

「12年前の乳児虐待死 法医学の蓄積が逮捕の決め手に|日本経済新聞」

大人のマウスで胸腺を摘出をしても免疫に影響は少ないのですが、
幼いマウスの胸腺を摘出すると免疫不全になるそうです。
正しく免疫反応を起こさせる事がFIPの予防法ですから、
胸腺を健常に働かせる事は大きな意味があると私は考えます。

この理由から、家の子は成長が完全に止まったのを見計らって手術に踏み切りました。(1歳1か月くらい)

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・身の周りの化学物質を取り除く

「2.アレルギー体質になる化学物質を取り除く」をご覧頂ければ、
柔軟剤や消臭剤、香る洗濯洗剤の危険性はお分かり頂けるかと思います。

ただ、私がご相談頂く発症の原因はこれらだけではなくて、
例えば害虫駆除用の室内薬剤散布、アロマや芳香剤、
家の子の場合はレボリューション
でした。

FIP発症ではなく直接の死亡例としては、
柔軟剤の使用以外にも塩素系漂白剤を掃除に使用していただけの物もありますし、アロマも死亡事故が多く、決して焚いてはいけません。
お散歩中に道に散布された農薬や除草剤を踏んで、体を舐めて死んでしまう例もあります。

身の周りに化学物質を充満させないのは勿論ですが、
例えば猫ちゃんのごはんやお水入れは、必ず熱湯消毒や、次亜塩素酸水(必ず塩と水のみで作られた物)などの無害な物で済ませて下さい。
匂いが残ると猫の食欲、飲水の低下にも直結します。


「赤ちゃんにも安全」「ペットにも安全」は決して信用しないで下さい。
体質や体調にも左右されますし、何より「すぐに問題」が起こらなければ
「推定安全」を判断する国なんです、日本って。

薬品って本当に怖いんですよ。

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

・腸内環境を整える

「・細胞性免疫を正常に働かせるには」で書かせて頂いた通り、
ウイルスを殺す為の免疫細胞を活性化したり、アレルギーを治める効果があり、発症予防、早期治療の役に立ちます。

日常的に腸内環境をよく整え、便の調子を常に気にしておくことは、
FIP予防に限らず猫ちゃんの毎日の健康にとって、非常に重要です。

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

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簡単なまとめ

1.痩せて栄養不足が直接の死因になることもある
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
2.コレステロールは細胞膜・ステロイドなどの副腎皮質ホルモンを作る材料
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
3.コレステロールの不足は血管の破損や免疫力の低下を引き起こす等
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
4.細胞膜は細胞の修復に必要な栄養を取り込んで老廃物を出してくれる
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
5.元気な内に食欲が無くなった時に備えて好物を見付けておく
※但しナッツや葡萄、レーズンの様な、猫に毒となる物があるので、必ずよく調べる
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
6.免疫を教育する胸腺は子猫の内に活発で、
手術やストレス、強い薬で萎縮して正しく働かなくなってしまう
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
7.化学物質は
赤ちゃんやペットに安全と謳われていても危険な物が多く、
ゴキブリ退治の薬やアロマ、芳香剤、レボリューションも発症の原因になる
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8.塩素系漂白剤やアロマの使用

散歩中に体に着いた農薬や除草剤を舐めただけでも死亡事故がある
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9.猫の食器を洗うのは
熱湯や塩と水だけで作られた次亜塩素酸水を使って
残り香による食欲と飲水の低下を防ぐ
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ご無理がなければ100円のご支援をして頂けますと、大変有り難く思います。