ENVii GABRIELLAという音楽

私が物思いに沈んで眠れなくなるのは、いつだって真夏の夜だった。
茹だるような暑さの中で物思いに耽る人は、そういないのかもしれない。
それでも、真夏の夜だった。真夏でなければならない、そのぐらい、決まって真夏だった。

茫とする頭、じわりと滲む汗。不快感が身体を覆う。と、その不快感が伝播して、心が沈み始める。
自分の存在意義を、見失う。

あまりに月並みだが、そんな自分に寄り添ってくれたのは音楽だった、と今になって思う。

実家暮らしで電話を禁止されている真夜中の中学生って、本当に孤独だ。
親友にしか、下手したら誰にも話せないような悩みが際限なく湧くのに、どうすることもできない。ただ抱えて、ベッドの上でできるだけ小さくなって、朝が来るのをじっと待つ。それだけ。永遠に近い時間が流れる。

でも、私には音楽があった。
彼は一緒になって沈んでいってくれる仲間であり、私の言葉の代弁者であり、私の代わりに嫌いなアイツを殴ってくれる気のいいヤンキーであり、私の背中を押すともなく押してくれる友達であり、行く先を照らしてくれる先駆者だった。

だから音楽の力を、私は信じている。
そしてエンガブの御三方も、音楽の力を信じている方々だと思う。その真摯な姿勢から、真剣な眼差しから、最高のパフォーマンスから。言葉になんかしなくたって、エンガブの音楽が雄弁に語っている。

私が御三方に出会ったのは本当にごく最近だが、私は本当に切実に、中学二年生の私に全力でエンガブを勧めたい。そのときにはENVii GABRIELLAというグループは存在しないのだけれど、それでも。自分は他と様子が違う、と気づいた瞬間の私に、それは異質ではあっても異常ではない、と教えてくれる何かが、絶対的に必要だったと思っている。

私一人の力は本当に微々たるものだけど、塵も積もればなんとやらだから、恐れずに言葉にしたい。

どうか、これから自分のアイデンティティを見つける方々に、自分が異質だと感じる方々に、ENVii GABRIELLAの音楽が届きますように。少しでも多くの人が、自分を無理やり枠にはめようとしなくて済みますように。

そうなればきっと、中学時代の私も幾分か救われると思う。


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