藍原湧水

藍原湧水

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あるく

高校時代、色んなことに懸命だった。勉強も、部活も、趣味も、友だちも、全部すきで、全部大事で、全部頑張りたかった。だから、たぶんわたしの寿命は高校時代でかなりすり減ったと思う。いい意味で。 全部やりたくてやっていた。でも、ある日突然、わたしの周りを囲んでいたそれらが、わたしの上に乗っかってくるときがあった。だいたい、一ヶ月に一回くらい。周期的に不安定になるものだとか、疲れてるんだとか、今考えれば原因はいくらでも思い付くのだけれど、そのときのわたしを満たしていたのは、だいすきな

    • ENVii GABRIELLAという音楽

      私が物思いに沈んで眠れなくなるのは、いつだって真夏の夜だった。 茹だるような暑さの中で物思いに耽る人は、そういないのかもしれない。 それでも、真夏の夜だった。真夏でなければならない、そのぐらい、決まって真夏だった。 茫とする頭、じわりと滲む汗。不快感が身体を覆う。と、その不快感が伝播して、心が沈み始める。 自分の存在意義を、見失う。 あまりに月並みだが、そんな自分に寄り添ってくれたのは音楽だった、と今になって思う。 実家暮らしで電話を禁止されている真夜中の中学生って、本