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箱根駅伝・マスメディア・SNS・そして男子新体操

日本人で箱根駅伝を知らない人はいないでしょう。TVの視聴率は毎年、すごい数字を叩き出します。私は去年、今年と箱根で現地観戦していますが、とにかくすごい人気です。

もはや国民行事といっても過言ではない箱根駅伝、じつは関東学生連盟が主催です。私たち新体操ファンにもおなじみの、あの「学連さん」です(ちなみに予選会では、学連のトップの学生さん(女性だったりする)が、順位を読み上げます)。関東学連が主催している大会なので、関東学連に所属するチームだけしか、箱根駅伝には出られません。北海道のチームや関西のチームは出場する権利がないのです。

ついでに、「駅伝」という陸上競技は、ほぼ日本にしかありません。駅伝にはオリンピックもワールドカップもありません。

アマチュアアスリートの地方大会であり、世界大会などない箱根駅伝があそこまで人気を博している様子を見ると、私は羨ましくてたまらないのです。

しかし、その羨ましくてたまらない駅伝にもいろいろ問題は山積していて、例えば青山学院の原監督は「箱根を全国枠に」と主張しているし、マラソン日本記録保持者の大迫傑選手や為末大さんは、箱根駅伝によって得られる巨額の収益はどこへ?と疑問を投げかけています。

大迫さんはまた、このようにも発言しています。

(オリンピックのマラソン札幌開催の件にふれて)それ以上に気になってメディアに発言したのに今回メディアに全く取り上げられなかったことがあります。
それは今回のMGCで選手に賞金がなかったこと。あれだけ注目された大会、お金は沢山動いている筈なのに。なぜ僕らの手に渡らなかったのでしょうか。もしも交通整備や人件費で一杯一杯というのなら、運営が問題があるのではないのかと思ってしまいます。
選手は名誉の為だけに走っているのではないのです。僕らは走ることでご飯を食べ、家族を養っているのです。

この思いや自分や他の選手、今後のアスリートのために、純粋に二時間を非公式で切った世界との差を縮めたい。そして、日本人選手の価値を高め、陸上選手がかっこよく見え、稼げる仕事にしたい。そのためにはまず僕が速さを求める大会を作ること、そして運営のお金の流れを知ることが必要です。

よって再来年2021年3月辺りを目処に日本で世界との差を縮めるための大会を作ります。


この大迫さんの発言で私が気づいたことは、「メディアが取り上げなかった、大迫さんが一番言いたかったことを、大迫さん本人が発信する手段を持ち、実際に「マス」に向けて発信できる時代になった」という点でした。

SNSの威力はすごい。

新聞やテレビは、不特定多数に向けて発信できるから「マス・メディア」だったわけです。しかし今や、スマホやPCを持っている人ならだれでも、「メディア(媒体)」は持っている時代です。「マス(大衆)」に向けての発信も、やろうと思えばできてしまう時代に突入しました。

大迫さんのインスタのフォロワーは12万人。Twitterは14万人。SNSの拡散性は、時に「一回放送して終わり」のTVよりも威力を持ちます。

男子新体操についても、個人が「マス」に向けて発信できるということが、メリットにもデメリットにもなります。本当に簡単に、いろんなことがworld wide web、世界中を覆う網の目によって拡散していきます。

例えば暴力やパワハラは、抵抗できない(と加害者が思っている)弱者に対して行われるものですが、SNSの出現によって、写真一枚、映像ひとつで、その行為が世間に知れ渡る時代になりました。

いちアスリートが問題提起を行い、さらにはその問題を解決するために、自らマラソン大会を主催するような時代になりました。そして大迫さんの問題提起に対し、設楽悠太選手らマラソン界の有力選手が次々と支持を表明しました。

「プラハの春」はSNSによって起こったとも言われます。ひと昔前なら、戦車に押しつぶされて終わったはずの民衆一人一人の声が、SNSによって世界に伝播したのです。

SNSという媒体は、とても強力な武器です。賢く使わなければ、味方を傷つけることもあります。

武器を手に入れたあなたは、それで何をしますか?

どんな夢を描きますか?

応援!男子新体操の2020年は、この動画でスタートしました。公開からわずか2日間で1万2千回も見ていただきました。これもSNSの持つ力の一つです。

小さな小さなウェブメディアである私たちにできることを、一つ一つ積み上げていきたいと思っています。

皆様にとっても、素晴らしい2020年となりますように。

大会や取材の交通費、その他経費に充てさせていただきます。皆様のお力添えのおかげで少しずつ成長できております。感謝です🙏