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たかが靴下、されど靴下

写真の説明:穴のあいた靴下や練習着がなぜかカッコよく見えて仕方がない、という話題が先日Twitterでありました。足裏だけでなく、足の甲にも穴があるのは、様々な動きをすることによる摩擦が原因とのこと。

選手からの発信とファンコミュニティ

シルク・ドゥ・ソレイユのパフォーマーである井藤亘さん(青森大学出身)が、選手の立場から見た男子新体操のあれこれを発信してくれています。仲間や後輩の選手に対してだけではなく、ファンに向けてもここまで真摯に積極的に発信してくれる人がいることは、本当にありがたいですし、勉強にもなります。

ファンコミュニティの成長はスポーツの発展に欠かせないものだと思いますが、私が男子新体操のファンになった5年前は、ファンコミュニティが育つために必要となる情報の量が、まだまだ少なかったのです(もちろん、当時も男子新体操の情報を発信してくれるソースはありましたが、メジャーなスポーツと比べて、という意味です)。

ファンは、なぜそのスポーツのファンになるのか。

様々な要因があるでしょうが、一つは「情報量」だと思います。情報量が多ければ多いほど、より多くの人がその対象に対して愛着を感じ、ファンになっていくのではないでしょうか。例えば、羽生君がいくらイケメントップアスリートだとしても、あれだけの露出(TVその他)がなければ、プーさんの雨を降らすことができたかどうか。そもそも、羽生君がプーさんのティッシュケースを愛用していたという事実そのものが、TVの映像経由でファンに伝えられた「情報」だったのですから。

人気があるアマチュアスポーツはどれも「観客」、つまり巨大なファンコミュニティがあることで成立しています。箱根駅伝しかり、高校野球しかり。

それらのメジャースポーツの情報が大きなメディアで流れる裏には、選手の肖像権、プライバシー、アスリートファースト、お金の流れ、利権など、様々な問題が存在しますが、「それらの問題をなくすために、甲子園も箱根駅伝も、メディアや観客不在で行うべきだ」という意見は見たことがありません。

スポーツが発展するためには、「観客(ファン)」の存在が必要だからです。そしてそのファンを作るのは、新しい情報だからです。

SNSをどう使うか

そのようなわけで、私たち「応援!男子新体操」は、最も情報伝達量が多く、主観も入りにくい「演技映像の配信」という形での情報伝達をメインに活動してきました。現在、1日の平均視聴回数は1万回以上。視聴時間平均は1日607時間。世界のどこかで、毎日1万回、男子新体操が見られています。

しかし私たちが発信する情報は、あくまでも「観客の側から見た男子新体操」にすぎません。選手たちの目線、気持ち、意見は、当事者の多くが高校生や大学生ということもあり、なかなか外には出てきませんでした。メジャースポーツであれば、試合後のインタビューや雑誌の取材、その他あらゆる方法で選手の声がファンに伝わりますが、男子新体操に限っては、その機会はごくごく限られたものでした。

SNSという媒体の出現によって、メジャーとマイナーの垣根がどんどん埋まっていくようなイメージを、私は持っています。もちろん、TwitterやらYouTubeやらが世界の全てではありませんが、ネットの世界とリアルな世界の垣根は、大人たちが思っているほど高くないんじゃないか?SNSでの発信が、ファンコミュニティを育てていく栄養になるのではないかと私は考えています。

憧れの選手から届く声

井藤さんは、「選手側から見た男子新体操」を、今までになく明確に、具体的に、私たちに提示してくれます。そのような情報があると、私たちは嬉しくなります。なぜ嬉しくなるのか。自分が愛するスポーツを行う選手たちは、ファンにとって尊敬と憧れの対象であるわけですが、その彼らが、これまではそのスポーツに直接的に関わった者しか持つことのできなかった情報を、ファンにも分け与えてくれるからです。

「好きになる」→「知る」→「嬉しくなる」→「もっと好きになる」

という、シンプルな人間の心理を刺激してくれる選手からの発信を、一人のファンとして歓迎したいと思います。

靴下問題

さて、前置きが大変長くなってしまいましたが、タイトルの靴下問題です。男子新体操においては「足先に自信がないから白靴下で」という考え方が根強かったようですが、最近はどうなのでしょうか。また、白や黒以外の色を履く選手もチラホラ見かけるようになりました。例えば名取高校の遠藤那央斗選手は、赤い靴下を履いて演技をしましたし、青森山田高校の佐久本和夢選手は、青っぽい(緑だったかな?)靴下を履いていたこともありました。縞模様とか水玉は見たことがありませんが、禁止されてはいないはずです。

競技規則第39条5 体操シューズまたは靴下着用で演技しなければならない。色は自由とする。

形状の指定もないので、例えば5本指ソックスだったら、バランスが止まりやすくなるとか、そういうことはないのだろうか?なんて思ってしまいます。

もっと想像を飛躍させると、「体操シューズ」に、ヴェイパーフライではないですが、カーボンファイバープレートを内蔵して、跳躍がめちゃくちゃできるようにするとか、そういうこともアリなんだろうか?(ダメですよね^^;)(いっそシューズではなくて、靴下にカーボンプレート内蔵…)

10年くらい経ったら、「あの時代は、そこらへんで売ってる普通の靴下でみんな演技してたんだよ〜」なんていう時代がくるのかもしれません。

そういえば、井藤さんがキャプテンを務めた青森大学の動画に、こんなコメントがつきました。

「選手が武器を持っていないかボディーチェックされているのを見て、安心したよ。だって、何が起こるかわからないからね!」

これは、演技前に中田監督が選手の体を叩いて気合を入れる動作に対するジョークなのですが、それに対して

あんなに体に密着している試合着なのに、武器を隠せるなんてことある?なぜボディーチェックが必要なのかしら?

というコメントがつきました^^;

試合着も靴下も、ボディーチェックされる時代になるのか、どうか。半分冗談で言っていますが、男子新体操という、今まさにどんどん変化しながら成長しているスポーツの未来を予測することは、誰にとっても簡単なことではないでしょう。まだ見ぬ10年後の男子新体操が楽しみです。


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