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「一つの自力」と「二つの他力」

稲盛和夫塾長の経営講話は、どのお話しも素晴らしい。何度聴いても心が熱くなる。
古稀を過ぎ、まもなく72歳になろうと言うこの私でも、「さぁ、これからの新しい人生を、清く、正しく、美しく、私らしく生きていこう」と心からそう思う。

ニューヨーク塾長例会では、『「一つの自力」と「二つの他力」』という演題で、経営の原理原則をお話しになった。

経営とは人生そのものだ。私のこれからの第二生を生きるにあたり、凸凹人間の最たる人間の私は、「一つの自力」のほかに、誰よりも「二つの他力」がなければ、第二生での成功は覚束ない。
このことを脳裏に叩き込んで、"能登の創再生の応援"をしていきたいと思う。

[講演内容]
〜経営の原理原則〜

〈経営12カ条〉
第1条 事業の目的、意義を明確にする
第2条 具体的な目標を立てる
第3条 強烈な願望を心に抱く
第4条 誰にも負けない努力をする
第5条 売上を最大限に伸ばし、経費を最小限に抑える
第6条 値決めは経営
第7条 経営は強い意志で決まる
第8条 燃える闘魂
第9条 勇気をもって事に当たる
第10条 常に創造的な仕事をする
第11条 思いやりの心で誠実に
第12条 常に明るく前向きに、夢と希望を抱いて素直な心で

経営12ヵ条を実践する前に、始めようとしている事業がビジネスとして成り立つか、シミュレーションを行い、採算性を十分に検討する。
「これならいけそうだ」と思ったならば、そのビジネスを始めても良い。この前提があって初めて起業ができる。

経営者としての力が不足する人に、経営ができるわけがない。企業のトップに立つ者は、経営12ヵ条を忠実に行っていく力を持っていなければならない。

自分と同じような気持ちで経営をしてくれる人、とりわけ副官、片腕となるパートナーの力、つまり他力が必要だ。この他力を得ることができる経営者でなければならない。

経営という重い荷物の入った大きなリュックサックを一人で背負い、腰を屈めながら坂道を登っていくよりは、天秤棒の一方を相棒に担いでもらい、真ん中に経営という重い荷物を吊るしながら、二人で「よいしょ、よいしょ」と担いでいくほうが遥かに楽に運べるはずだ。片棒を担いでくれる相棒という他力を得ることができるのかどうかが、経営を行う上で非常に大事となる。

経営の舵取りに呻吟する経営者の気持ちを理解してもらうためには、ある部門を担当し、経営者と同じ経験をするしかない。そうして始まったのが、アメーバ経営であり、経営者の気持ちを理解してくれるパートナー、共同経営者になるような人を求めた。部門別独立採算制度をつくり、各リーダーに部門の経営を任せ、経営のパートナーとなるべき人を育成しようとした。

心はひとたび結ばれると本当に頼りになる素晴らしいものだ。移ろいやすいのが人間の心だが、一方でたいへん強く、信頼できる素晴らしいものにもなり得る。他に何も頼るものがなかったために、この素晴らしい心の結びつきをもとに経営していきたいと思ったのだ。

素晴らしい心と心の結びつきをつくるには、自分の考え方を相手に伝えるだけでなく、相手から信頼してもらえるよう、経営者自身が心を開いて接する。そういう心で接すれば、相手も同じような心を返してくれるだろう。創業期からそう考えてきた。

経営に必要な力の一つ目は、経営者の力である自力。二つ目は、他の人の力、他力。経営をしていく上で大切な力な三つ目も、他力。ただし、これは人の力ではない。偉大なる宇宙の力、自然の力を味方につけることだ。この力があれば、運命を好転させることができる。

偉大なる宇宙の力、自然の力を得るためには、因果の法則に従い、善きことを思い、善きことを行うことが必要だ。「善きこと」とは、感謝をする心、思いやりの心だけで良い。一方の悪い思いは、利他の心の対極にある利己の心。自分だけよければいいという貪欲の心が悪しき心、悪しき思いだ。利他の思いを常に抱き、感謝しながら生きれば、必ず宇宙の力を得、幸運を得ることができる。逆に、自分だけよければいいという利己のかたまりでは、やることなすこと、なかなか思うとおりに進んでいかない。

本能、煩悩がなければ人間は生きられない。しかし、それが強くなり過ぎると利己心、つまり悪しき心を生み、身を滅ぼす。本能、煩悩を抑えて利他の心が出てくるために必要なのが知性。知性で日常茶飯、自らに言い聞かせる、それ以外に方法はない。利他心が常に出るように、じあに教えていく努力を続けていくのだ。

経営をする上で大事な三つ目の力は、宇宙、自然の力。それを味方につけ、幸運に恵まれる。しかし、その幸運は努力して得るものだ。もし、いつも幸運な恵まれる人がいれば、それは単に運が良いのではなく、その人が美しい心をを持っているからなのだ。

事業計画を立てる場合、自分が儲けようと思って計画を立てるのか、参画する人たち全てが幸せになるようにと思って計画を練るのかによって展開は大きく異なってくる。「みんなのために」という思いで事業計画を立てれば、他力を得て仕事はうまくいく。自分だけ儲けようという利己的な思いで計画を練るならば、いくら立派な計画を立てたとしても、さまざまな妨害を受けたりしてうまくいかなくなってしまうだろう。

素直な心で汝自身を見つめ、よく知り、"自力を高める"こと。
そして、謙虚と感謝の心を持って、二つの"他力という、人と宇宙・自然の力を借りる"ことだ。

不動院重陽博愛居士
(俗名  小林 博重)

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