見出し画像

注目されないと不安が襲う人「演技性人格」

周囲を驚かせ、関心や注目を集めたいという強い欲求を持つ”目立ちたがり屋さん”がいます。SNSが重要なコミュニケーションの一つとなった現代においては、目立ちたがり屋が度を越して、犯罪に近づくケースも目にするようになりました。このようなタイプは「演技性パーソナリティ(演技性P)」に分類されます。

ただ演技性Pは、グラデーションの幅が広く「とにかく目立ちたい!」という人から「地味で閉塞感のある暮らしが窮屈」という人まで、広く当てはまります。
根底に共通する精神構造を理解できると、もっと魅力的な側面を活かすことができるのに・・・と思います。
まずは、演技性Pの偏りが強くみられる場合の特徴について解説してみたいと思います。

目立つから価値がある!という信念を持つ

画像1

目立ちたがり屋が度を超すというのは、周囲の注目を集めていなければ、自分は無価値になるという信念を抱いているところからきています。

「自分はすごいんだぞ!」と誇大的な願望を抱き、自分が特別であることを周囲に知らしめようとする自己愛性Pとは違い、単純に「注目をされたい」「注目されるから価値がある」という信念を持つので、他人の注目や関心をどうやって惹起させるかに余念がなく、手段を選ばず度を越して目立つことに執着し、困った言動が目立つようになります。
演技性Pの偏りが強く見られる場合の特徴について、まとめてみましょう。

目立つためならなんでもする

注目されることが何より重要で、自分の存在価値を感じる唯一の方法であり、そのためであれば、常識を破ることになんのためらいもなくなっていきます。

注目されないとうつになる

華やかに注目を浴びている間は生きている感覚を持てるのですが、地味な生活に置かれると生きている気がしなくなり、うつになる人も少なくありません。

タブーという言葉は通じない

偏りが強くなるほど、マナーや道徳は通用しなくなり、常識という線引きを容易に超えていきます。
タブーという言葉を持ち合わせておらず、その過激さが時に人を傷つけたり、犯罪に近づいていくのですが、それでも反省や後悔とは無縁なのです。

スキャンダラスなことを好む

ゴシップやスキャンダルが大好きで、自らその中心人物となって話題を独占しようと仕掛けていきます。

平気で嘘をつく

注目されようとするあまり、虚言が時々見られます。
自分を貶めて同情をかったり、自分の経歴を華やかに偽ったり、不幸な身の上をでっちあげたり、被害者を装うことで関心を集めたり、とにかくなんでもやります。

相手のギョッとする反応が欲しい

過剰なパフォーマンスを得意とします。
最初は注目されていたのに、徐々に関心が薄れていくことに危機感を感じると、パフォーマンスは過激になり、逸脱した言動で法的な対応を迫られることもしばしば見受けられるようになります。

表面的なことに終始

表面的な部分に重きを置いており、内面的な価値には無頓着なので、深く考えを掘り下げることは苦手。
論理的な根拠を持つことにも無関心。
とにかく目立てばいい、人の注目を集めることに価値がある、と考えているところがあり、考えが深まっていきません。

名誉を傷付けられようが怖いもの無し

「尊厳」というものに関心が薄く、相手の尊厳であれ、自分の尊厳であれ、傷つけられようが気にならないし、傷付けようがお構いなし。

性的アピールを強調

しばしば取り上げられるのが、身体的な魅力や、セックスアピールを強調するという側面です。
露出度の激しいギリギリの服装を身につけ、相手を挑発することもあります。
気ままな性的関係を繰り返し、表面的なお世辞で「有名にしてあげよう」と誘われてうまく利用され、騙されるという事態を招くこともあります。

偏りが強まり生きにくさを生む要因

画像2

女性であれ、男性であれ、育ちの中で母性的な愛情に満たされなかったという、愛情不足の経験を積んでいることが、共通点としてあげられます。

この場合、女性であれば、やがて父親を求めるようになり、父親の気を引くためにオーバーなリアクションや感情表現を身につけていくといわれます。
やがて父親への感情は抑圧され、代わりを男性に求め、誘惑したり賞賛を得ようとしていきます。

男性であれば、母親に気に入られようとその術を身につけていきます。
やがて父親にもその補強を求めますが、父親からも満たされない場合、過度に男性的になるか、男性的であることを拒否するか、二極化しやすいといわれています。
いずれにせよ母親への感情は抑圧され、数多くの女性遍歴を重ねて心の満足を得ようとする場合は、真に満たされることはなく、そのまま遍歴を続けるか、独身主義を貫くという経過を辿ることが多いです。

男性であれ、女性であれ、母親との関係はアンビバレント(二律背反)な感情で包まれるのが特徴で、母親を理想化する一方で、不満や敵意、不信感を抱きます。

これは異性に対する態度や同性の友人にも向けられ、求める一方で、心の底では不信感を抱く関係性のパターンを持ちます。
そして目の前に相手がいなくなると、悪口を言い始めるというのも特徴的です。

また演技性Pにとっては、例え相手が子どもであっても、自分に向けられる関心を奪っていくライバルだと感じ、配偶者が可愛がることに嫉妬することもあります。

また、別の理由として、性的な外傷体験を持つこともあります。
こうした体験を持つと、いわれのない罪悪感を覚え、過度にいい人を演じつつ、汚れた罪の意識を持ち、それを悟られないように、見せかけの自分を演じていくという演技性的な精神構造を作りやすくなるといわれています。

偏りが魅力として生かせるようになると

なんでもそうですが、偏りが魅力として生かせるようになると、輝きを放つようになります。
演技性Pも同様に、パフォーマンス能力の高さをもっと魅力的に生かせるようになります。
人前でも臆することのない表現力を生かしながら、中身の無いオーバーリアクションに走らず、慎みをわきまえた、責任ある一貫性を持った振る舞いができるようになります。
魅力的で印象的な振る舞いや身のこなしができ、賞賛を楽しみますが、過剰に追求することもありません。
状況に応じて、大胆さと慎みある態度を使い分け、すぐに満足できなくてもじっとことの成り行きを見守り、我慢することができます。
「褒められたい」「認められたい」という、ガツガツとした承認欲求は影を潜め、自己アピールしたいという思いが、魅力的でありたいという、内面に価値を置く価値観へと成熟していきます。

内面を磨くことが魅力を広げる!

画像3

では、どんな経験を積むと偏りは修正され、魅力を発揮できるようになるのかをみていきたいと思います。

周りは振り回されない

演技性Pは、純粋で信じやすい人を見分ける嗅覚を持っているといわれています。
相手は演技とは疑わず、振り回されることもしばしば。
過呼吸発作やからだの不調を訴えることも多いので、慌てて大騒ぎせず、自分で対処するように促し、努力をしている時に大いに認め、褒めてあげることが必要です。

ありのままを認める

気遣いを怠ると大切にされないという過去経験があり、サービスすることで認めてもらえるという行動スタイルを持つようです。
自分の本音を主張することは許されない、自主独立は恐ろしいことで、見捨てられたら生きていけないという思い込みを持つのです。
そのため、表と裏のギャップが激しい一面を持ちますが、ありのままの自分でいいんだと思えれば、わざとらしい表現は和らぎ、安定感が増していきます。

注目への飢餓感に本人が気づく

自分の行動パターンを自覚することはとても重要です。
節度を持つことが苦手で、激しい注目への飢餓感が、気品を失った行き過ぎた行動を生み、周囲を巻き込むことが多いのです。
自分が中心でない時に、焦燥感・不安・イライラ・寂しさを強く感じ、注目を求める行動に走らせたり、自己アピールしたいという行動に走らせる”パターン”を作っていると自覚できると、自分をコントロールできるようになります。

内面を魅力的に磨く

人に注目されること以外に、心が満たされる世界があることに気づき、内面を磨き上げていくことを大切にすると、大変魅力的な人になるといわれます。
子育て、家事、料理、趣味など、内面世界を持つことが、繊細な感性を伸ばすのです。

社会的活動に昇華させる

せっかちで、今すぐ満たされたいと願い行動する面があるので、ゆっくり、じっくり取り組むことができると、魅力が生きてきます。
例えば、社会的活動にその特性を昇華できると、自分の内面を掘り下げることもでき、持ち前の行動力が慈善活動に活かせれば、新しい世界を広げていくことになるでしょう。

どのパーソナリティも、知れば知るほど魅力的な側面を持ち合わせていることがわかります。
困ったさんのネガティブな側面だけで、この人はこういう人だと決めつけるのではなく、もっと深い理解が必要なのです。

鶯千恭子(おうち きょうこ)

<お知らせ>
いつも鶯千恭子ブログをお読みいただいてありがとうございます!
最新情報をいち早くお届けしていきますので、LINEのお友だち登録をお願いします!こちらをポチッ↓です

LINEお友だち


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?