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視覚と脳のはたらき

「みる力」について考えたことはありますか?
みる力と聞かれてすぐに思いつくのはきっと視力ですよね。
アルファベットのCのようなもの(ランドルト環)を見て「どこが空いているか」を答えていく検査です。

ここでは、その「みる力」ではなくて、ものをジッとみる力とでもいいましょうか。
観察力のような、目に見えるものが何かを「見て捉える力」のことを指します。

この「みる力」が育っていかないと、漫然と「みる」ことになります。
ボーっと、ただみる、といった方がいいかな。

「ほら!よく見なさい!「よく見ていないからでしょ!」と怒られるお子さんがいますが、「よくみなさい」って、何をどんな風に見ることをいっているのか、よくわかっていないのかもしれません。

今回は、そんな「みる力」を、視覚情報と脳の関係から考えてみたいと思います。

視覚情報に頼って生きている

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私たちは五感から多くの情報を得て生きていますが、中でも87%は視覚情報に頼っているといわれています。(すこい!)
ちなみに他の感覚器はというと、触覚7%、聴覚3%、嗅覚2%、味覚1%。
味覚が一番低かったなんてちょっと意外ですが・・・。

つまり、絶え間なく目から情報が入り込んで来て、脳ではその処理に追われているというわけです。
情報にただ追われている脳は、新しいアイデアが生まれることもありません。「ひらめく」とか「思いつく」ためには、脳がリラックスしている必要があるんです。
だから、目を使い過ぎる今の時代は、強制的に目を休めて、脳をフロー状態にすることがとーっても大事なんです。

見たものが脳に伝わるしくみ

では、まず目から入ってきた視覚情報が、どのように脳に伝わるのかを見てみましょう。

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目はカメラに例えると分かりやすいのですが、レンズの役割を持つ水晶体の厚さを変えて、ピント調整をしているんです。

レンズを通った映像が映し出されるのは網膜

デジカメでは数千万個の画素が並んで、画像の色や形を調べていますが、網膜では1億個以上の細胞がその役割を担っているのです。(めちゃくちゃ性能がいい!)

筋肉で動いている!

眼球の周りには筋肉が付いていて、ぐるりと眼球を動かすことができるのは、眼球に付いている筋肉が伸びたり縮んだりしているからなんです。

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筋肉は使わなければ衰えます。
それは、眼球の動きも一緒。
眼球の筋肉を使った目の動きには、どんな運動があるのかをご紹介しましょう。

恐るべし眼球運動!

1つは、素早くジャンプする視線移動の「衝動性眼球運動」。衝動性眼球運動とは「視野の中に入ってきた、興味を引く目標物がなんであるかを素早く確認したり、何かを探したりするために行われる眼球のこと」だそうです。

見たいものを見る、瞬間的にキャッチする、目当てのものをすぐに探せるといった時にしている運動なんです。

例えば、本を読む時を思い出してみてください。

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縦に書かれた文章を読んでいるとしましょう。
一行を下まで読み、すぐに隣の行に焦点を合わせますよね。
素早く一番下の文字から、隣の一番上の文字に視線を移す。
当たり前のようでいて、これはものすごく難しい眼球の動きなんです。
しかもピントを瞬時に合わせていますからね。

そして、ゆっくりで滑らかな視線移動の「滑動性追従運動」。滑動性追従運動とは、見たいものを捉えたら、固定して見続ける運動のこと。

そして、ゆっくり動く視覚対象物の網膜像を、網膜中心窩の近くに維持させて、ジーっと見続けながら、動きに合わせて視線を滑らかに動かす運動なんです。

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例えば、飛んでいる蝶々を捕まえようと、網で構えている時の目の動きとか、回転寿司で回ってくるお寿司を目で追っている時とか、エレベーターに乗っている時にもこの運動を使っているんです。ちょっと面白いですよね。

つまり、ゲームばかりしていると、目が悪くなるだけでなく、「みる力」が衰えるともいえるのです。

小さなゲーム機の中だけを目で追いかけても、眼球の動きの幅は大したことありませんからね。

その点、外遊びはいいですよ。

遠くを見たり、眼球を端から端まで動かすし、ボール遊びなんて眼球を素早く動かしてばかりいますからね。

小学校に入った子どもたちの中に落ち着かない子がいた場合、この眼球運動が未発達が原因のこともあるんです。
黒板の字をノートに書き写そうと、視線を移動させるのですが、ピントが合わなかったり、文字を注視しながら素早く視線を移動出来ないことで、本を上手に読めなかったり。

そう考えると、幼児期の過ごし方がいかに大切かが分かりますね。
小学校に上がった時に、勉強を楽しめる準備として、鉛筆を持たせる練習も大事ですが、「みる力」を鍛えておくことも大事だということです。

鶯千恭子(おうちきょうこ)



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