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「イメージ即興」で本心に気付く~分析的音楽療法~

子供の頃、私にとっての「音楽」は、発表の場に向けて、沢山の人が知っている有名な曲を選曲し、半年~1年程かけて沢山練習し、ようやく辿り着くものでした。自分の気持ちは、リラックスとは程遠い緊張感に溢れてアドレナリン出まくり状態。音楽ってそういうものだと思っていました。

社会人になってからも、職場バンドや発表会、カラオケもそうかもしれません。その場を盛り上げるような選曲と演奏の仕方をしていたと思います。
音楽とは、聴いてくれる人を喜ばせるためのもの。演奏者、音楽家の側は身を削って行うもの。趣味であっても。そう思っていました。

38歳の時、病気・手術の経験を経て体調不良の時期がしばらく続きましたが、「イメージ即興(後述)」に出会ったのはその頃でした。私なりの感じ方で、試行錯誤しながら取り組んでいたものでしたが、後にそれが音楽療法でいう所の「分析的音楽療法」であると知ることになります。

1.「分析的音楽療法」とは

分析的音楽療法とは、イギリスの音楽療法士メアリー・プリーストリーにより1960年代に開発された、即興演奏を介した心理療法的アプローチの治療法とのこと。

(参考書籍)メアリー・プリーストリー「分析的音楽療法とは何か」

分析的音楽療法の即興演奏は、ジャズ即興のようにある程度の規則の元に行うのではないそう。あくまでもその時の気分や思い付きに従って演奏をしていく。これにより、患者さんの心の内面を探り、患者さん自身が自分の心の状態に気付きやすくなるとのこと。

私は、分析的音楽療法という言葉を「音楽療法カウンセラー」という資格の勉強を通じてはじめて知りました。テキストの中で、強く印象に残った文章があります。

分析的音楽療法での即興演奏では、初めにタイトルを決めることがあります。これは、患者さんが自分を探求する焦点を絞りやすくするためです。このように音楽療法に即興演奏を用いることで、即興演奏が患者さんの心の中にある"何か"を引き出すことになります。

出典「メンタル心理ミュージックアドバイザーW資格取得講座」完全攻略テキスト02
(諒設計アーキテクトラーニングスクール) より
https://www.designlearn.co.jp/music/

この一文を読んだ時「これは、私が数年来取り組んできた『イメージ即興』だ!」と気付いたとき、非常に驚き、また光が差すような気持ちにもなりました。

2.「イメージ即興」で自分の本心に気付く

a. イメージ即興との出会い

私は長年、自信の親子関係に悩み、仕事には充実していたものの人間関係の中では生き辛さを感じ続け、自分の在り方や考え方の何がいけないのだろうと強く悩んでいました。(詳しくはまたいつか話します。)
そんなモヤモヤを抱えつつ、転記となったのは数年前の病気・手術の後の体調不良。
約20年やめていたクラシックピアノを再開してみましたが、ただでさえブランクがある中、体調不良で体力気力も不十分。
そこで、社会人になり出会った「イメージ即興」に取り組んでみることにしました。

「イメージ即興」との出会いは、とあるピアノの会合。お酒を飲みながら皆でピアノを弾き合い、聴き合うという場所。おもむろにピアノを弾き始めた二人。今まで聴いたことのない不思議な音の流れなんだけど、気持ちが強く惹き付けられる。後からそれは、即興連弾であり、あくまでもその時の気分や思い付きに従って演奏をしたものだということ。非常に驚きました!
また、時には写真を見ながら、そのイメージで即興したり。

「気持ちに従って、思うがままに弾く即興という音楽」「ステージでは無く、その場に溶け込む音楽」があるということ、そして強く心惹かれたという経験は、私にとって非常にかけがえのないものとなりました。

b.私が実際に取り組んだ「イメージ即興」はこんなもの

作曲に必要な音楽理論を体系立てて勉強するよりも先に、まずは、本当に思うがままに弾いてみることに半年ほどチャレンジしました。
写真を見ながら、感じたことをそのまま演奏する即興をすることが多かったです。

そうして即興演奏を通じてつくられたオリジナル曲をYouTubeに投稿し始め、次第に海外の方を中心に、カバーやコラボなどのお話を頂けるようになりました。
コラボやカバーの事前準備のやり取りをメールでさせて頂く中で、「実はお互いに生い立ちが似ている」とか、言葉にできない想いが音楽を介して通じ合えていたんだと感じるような経験ができたことも多々ありました。

世の中の価値観はさておき「私はいまこう思ったんだ」と認識すること。
即興演奏の音楽を世に出すということは、私にとっては、「自分で自分を認めなおす」ことそのものでした。

さらに、即興を通じて、もし共感し合える出会いがあれば、こんなに心強いものは無い。

音楽は言葉以上に自分の想いを伝えられるもの。そんな風に強く想えるようになりました。

即興を始めたばかりの頃の曲をいま改めて聴くと「何とチャレンジャーな曲の流れよ…」と感じるものも中にはあるのですが(笑)。理論を大して知らない頃に生まれた良いメロディーの方が、実はよいものだと感じられたり。

音楽理論というように、音楽づくりには一定のルールがあります。
でも、これらは必ず守らなければならないものではなく、「どんな音楽を創りたいか」によって使い分ければよいものだと理解しています。
さらに言うならば、「自分がどう感じるか」が非常に大切。

理論に合っているか否かだけなら、人間でなくても良いのかもしれません。
音楽は理論も大事だけど、想いのほうがもっと大事だなと感じています。

即興演奏で「自分がどう思うか」を追求した経験は、音楽面でも、また心理面でも、私の在り方を強くしてくれるものになりました。

3.自分を満たすための音楽が、誰かに響くこともある

音楽をする人は、ついつい自分に厳しくなってしまいがちだと思います。

時には、「自分が本心から感動するものは何か」「自分が心から癒される瞬間は何か」に向き合ってみる。世間の流行りや価値観では無く。
そして素直な状態で、心から向き合う音だからこそ、実は伝わるものがある。

まずは自分を満たす。余裕の範囲で、周りの人を満たせばよい。

もし、音楽をすることが辛くなったなら、もう頑張れないと思ったなら、
即興演奏にチャレンジしてみてほしい。
頑張れない自分だからこそ、見つかる音楽の世界も、きっとあるから。

【予告♪】分析的音楽療法をもっと掘り下げます!

実は最近、この本を見つけ、手に入れました!!!(ふふふ)

幼少期の養育環境から生じるこころの弱さにはどのような種類があり、それらはいかに芸術上の問題として現れるのか、精神分析理論や発達論を軸に詳細に論じ、解決法の方向性を示唆すると共に、音楽療法的ワークや、呼吸法、気功、瞑想などの東洋的伝統から引き出したセルフワークも豊富に掲載している。本書は職業芸術家、芸術関連の教師や学生、楽しみとしての芸術の実践者など、創作活動を行うあらゆる人々に向けられている。

「芸術家のための分析的音楽療法 こころとからだの健康を探す旅」
小宮暖 (著)より

「音楽療法的ワーク」というもの、是非広まってほしいです。舞台に立つために身を削って努力を重ねる音楽家たち。
プロだけでなく、趣味で行う人もそのように取り組んでいることが多いと思います。

私も以前はそうでした。しかし、体調を崩してから出会った分析的音楽療法にも繋がる「イメージ即興」のおかげで、自分で自分に音楽療法をする術を知りました。

今は暮らしの中で、緊張感を持って仕上げる音楽と、心を整え心豊かに自分のために取り組む音楽と、うまくバランスを取りながら楽しめています。ありがたいことだなと思います。

では次回以降、私の経験だけでなく、より知見を拡げてから、改めてこの「イメージ即興」そして「分析的音楽療法」の話をさせて頂けたらと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました^^!!

【おまけ】今日は立春🌸暦生活さん記事を元に即興🎹