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still for your love - rumania montevideo

-絵画のような曲-
名探偵コナンの初期EDテーマであったこの曲を聞いた小学生の自分は、まるで絵画の中の白い天使が浮かびました。
そんなイメージは十年経った今でも変わっていないような気がする。
一歩間違えたら子供に変なトラウマを植えつけそうな、どこか宗教的で不思議な一曲です。






-まさかのドラムボーカル-
音源を耳にしてもそのバンドがどんな編成だとかは、実際に見てみないと普通わかりません。
ライブ映像を見て誰もが驚くのが、まさかの女性ドラムボーカル!これは間違いなく変態バンドだ!
ドラムがセンター高めにバッチリ来るようなセットを組んでいるけどメインボーカルということで順当な配置だったのね。
シシド・カフカもびっくり。





-随所に感じる変態性-
可愛さとあどけなさを兼ね備えたような歌声の一方で、二本のギターからはポップさの欠片もないゴリゴリの歪みと空間系で、もはや90'sシューゲイザーのよう。
このギターの音が好きすぎて、よく聞くと色んな好きなポイントを見つけたので羅列します。
・リバーブ効かせたドラム
・Aメロのシャキシャキギターの音作り(アコシュミかも?)
・Bメロ1でメインボーカルに対して入る下ハモ
・Bメロ2の「さあ」から始まるコテコテのフェイザーが焚かれる高揚感
・サビでの不思議な雰囲気を醸し出すストリングス
・サビでの女声上ハモ
・間奏での我々を落としにかかるリードギターのフレーズ
いやあ、作り手の変態性が垣間見えるような気がします。
アニメ見てるチビっ子たちは気づくかな??





-歌声と歌詞の登場人物のイメージ?-
この空間系が重厚な音の上に声が上手く噛み合っているのは、きっと歌詞に出てくる少女のイメージに合っているからだと感じた。
凛とした透き通る声でも、力強い太い声でも合わないような気がする。
曲の歌詞の主人公に合う声というのも変な話ではあるし、歌詞の世界観に合う音作りというのも感覚的でしかないものの、実は奇妙なバランスで成り立ってるのでは?





-歌詞が本当にうつくしひ…-
冒頭で述べた「宗教的で不思議な印象」を受ける要因の一つはシューゲっぽさにあると思っているのですが、一番の要因は歌詞に出てくるそれらを連想させる単語とストーリーです。
「裸足」、「大地」、「虹」、「空」、「十字架」、「希望」、「白い羽」、「未来」。
どこかの国のどこかの時代のメッセージを受け取った感覚になります。
肝心の曲タイトルにもある「love」的要素が単語として出てきませんが、この世界の「love」はサビの歌詞に込められております。

I wish 胸の十字架をにぎり
朝は希望があなたにふりそそぎ
夜はやわらかな光があなたを包みこみ
明日への勇気を与える

「あなたを愛してる」とか「I love you」とかは歌詞でよく聞くけれど、「あなたの希望と幸せを毎日祈っています」とは言えないし、むず痒くなるようなこんな優しい歌詞があっていいのか!って気持ちになる。
この曲の「love」=「慈しむ愛」が、宗教的であり、絵画的に感じさせる一番の要因だと感じました。
「愛している」ということを愛という言葉を使わずに伝えられるなんて、メチャクチャかっこいい!





-さようならCメロ-
どこか異様な愛情と世界観を体現するための音と言葉に溢れたこの曲について、ベタベタに褒めちぎっていますが、なぜかこのライブではCメロ部分がカットされています。

幼い頃に うえつけられた傷は 重く心にのしかかり
暗い狭い世界で 心ない世界で
ゆりかごに似たやすらかな Final Song

サビよりももっと直接的で重い内容を歌っているので、世界観に少しそぐわないと思ったのかな。
目を背けたくなるような環境にいる子どもたちへ曲を送るとしたら何にしようか、とても難しくて決められない。
きっとこんなことを考えさせられるのもやっぱりどこか宗教的だ。
そういえば今年の3月に再結成が発表された模様なので、ひとまずはこの曲を送ってあげることにしよう。

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