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Debaser - Pixies

-人間のクズになりたい-
イントロ三秒を聞いただけで今でも取り憑かれています。
初めてこの曲に出会った時は「やっと見つけた!やっと出会えた!」って心から思った。
そして同時に「この曲は自分のための歌で、自分だけが分かっている」と思ったし、そう自負する人が、世界中にいるんだろうなとも思った。
超絶美メロに超絶汚い叫びが乗った、一撃必殺のオルタナティブです。







-アンダルシアの犬-
この曲を語る上で欠かすことのできない「アンダルシアの犬」とは1929年のフランスの映画です。
無声短編映画で登場人物のセリフはありません。
完全に見る人に感想を委ねるタイプの芸術作品のよう…。
ストーリーもプロットも一見無いようで実は有るような、計算された芸術というかエゴの塊のような映画。
ブラックフランシスはこの映画を見てこのぶっ飛んだ歌詞を書いたのかと心境を理解するつもりで見たら、そもそものこの映画のインパクトにパンチを浴びてしまいました。
まさしく歌詞中に出てくる女性の目玉をカミソリでえぐるシーンやイカしたヒロイン(?)の官能的なシーンもあって、何回見てもわかんないけど何回見ても面白い作品です。

got me a movie I want you to know
-映画にハマったんだ、わかっておくれよ!
slicing up eyeballs I want you to know
-目ん玉を切り刻むんだ、わかっておくれよ!
girlie so groovy I want you to know
-女の子はイカしてる、わかっておくれよ!
don't know about you but i am un chien andalusia
-まあ君のことなんて全く知らないんだけどね、オレはアンダルシアの犬だ!






-妖精さんは神様-

オルタナティブロックを探る旅に出た人は、運よく最初になるか、はたまた最後になるか、必ずピクシーズに出会うと思います。
ナンバーガールの「PIXIE DU」がPIXIESとHusker Duのオマージュだったこととか、ピロウズの「kim deal」がピクシーズのベーシストの名前だったこととか、銀杏BOYZの「あの娘に1ミリでもちょっかいかけたら殺す」のアウトロで無理やり何かのワンフレーズ入れていたのがdebaserのイントロのフレーズだったことなどは後から知りました。
そしてweezerやデヴィットボウイがカバーしてたりnilvanaがリスペクトしていたりと、繋がっているのを知れば知るほど、驚きと共にピクシーズと音楽の深みにハマっていったような気がします。
ロックンロールならばいつの日か誰でもビートルズに辿り着くようになっているように、オルタナティブロックならばいつか辿り着いてしまう、そんなバンドの凄まじい一曲だと思います。





-自分のための曲-
昨年の来日公演でdebaserのイントロのベースを聞いた時は、やっと聞けた!という思いと、終わらないでくれ!という思いが交錯していました。
曲が始まった時にすでにその曲が終わってしまう悲しさを考えてしまうなんて、そんなことあっていいのか。
そして今でもこの曲は自分のための曲だと思っているし、自分はしょうもないクズだなあとも思っています。
自分だけがわかればいいと思いつつ、それでもちょっと共感してほしいと思ってこの記事を書いているあたり、この曲の歌詞のようだ。
この曲に出会ってこのバンドに出会って、やっぱりもっとひねくれていったと思います。
なんて恐ろしい曲なのだ。
ピクシーズを好きな人、お互い知らないどこかで、卑屈になってでも、なんとかやっていこうぜ、と適当なことを綴って終わりとします。

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