【ショートショート】テラダという男
「ねえ、時間ある?今から何すんの?暇じゃない? ?俺、テラダって言うんだけど。一緒に飯食おうよ、奢る奢る。何食いたい?俺は焼き鳥なんだよね、焼き鳥」
フライングするように辺りを照らし始めた街路灯。スタバの路面店の橙色した灯りが歩道にまで漏れ出す。太陽が地球の裏側へと消えた今、やっと月が存在感を発揮し始めて、街に夜が溶け出す。
うるさい男が西崎咲良の隣を並走する。 ただのナンパ男だ。咲良は慣れ切ったように無視して前を向き歩き続ける。この通りを歩くのは、だから嫌だった。
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