田舎の小学校と都会の小学校、どちらを選ぶか参考資料としての体験体感

都市部に赴任するか。田舎へ赴任するか。北海道で臨時教員をやろうと考えた場合悩みの一つとなるテーマです。

これについて、自分の過去の体験や友人達から聞いた話などをもとに大まかな傾向を話します。参考の一つにどうぞ。

都市部への赴任

とりあえず都市部の学校の定義を「全学年で2クラス以上の学級がある学校」とします。札幌市内はほぼすべての小学校がこの規模。他では各地の中核都市(休日に周辺の町村から買い物客が来るような街)にこのような学校があります。

都市部の学校は学年団で足並みを揃えながら学級経営を進めていきます。子供は全体的にヤンチャで自由な傾向。大人の数に対する子供の総数が多く、目の届かない時間帯が長くなるからなのかなぁと思っています。


都市部の学校に赴任するメリットは「小学校教員の仕事を学べること」「ベテランが作った流れの中で仕事ができること」です。

同じ学年で同じ教育課程を扱っている先生がいるため、その先生達の動きを真似していけば、自然と小学校教員の仕事を覚えることができます。授業こそあまり見れませんが、学級事務や生徒指導、学級通信や宿題システムなど、色々と参考になる部分があるでしょう。

次にデメリット。「他の学級と比較されること」「自分の発想を生かした教育がしにくいこと」だと思います。

保護者の中には自分の子の学級と他の学級とを様々なネットワークを駆使して調べ比較し、次々と指摘してくる方がいます。「なんでうちの子だけ…」というように、学校教育をサービス的に捉え、消費者・利用者のスタンスで苦情を入れてきます。そういう人達がいるものだという前提で学級経営を調整していかなければなりません。

同じ理由から、他の学級から足並みが外れるような活動がなかなかできません。生徒指導案件や保護者からの要望など即時対応が求められる状況でも、一度相談する必要が生じることがあり、若干のやりにくさを感じます。


田舎への赴任

こちらは全学年もしくはほとんどの学年が1学年1学級になっている状態と定義してみます。札幌市や地方の中核都市を除くほぼすべての北海道内の小学校がこの規模です。

土地にもよりますが、子供たちは全体的に従順で人懐っこい(大人に懐っこい?)印象があります。子供の頃から大人と触れ合う機会が多く、クラス替えがないことから人間関係を破綻させないよう気を付けて(親から教えられて)いるのだろうなと考えます。


田舎の小学校のメリットは「自分で計画し実行する」「修正や即時対応がしやすい」「自分の発想やキャラクターを生かせる」といったところ。

学年に担任が自分1人ですので、先を見通しながら自分で計画を立てていく必要があります。慣れるととてもやりやすい環境ですが、慣れないうちは戸惑いや失敗があると思います。

自分の判断が他に迷惑をかけることがありませんから、教室内での現場判断がしやすく、不測の事態でも修正が効きやすいです。授業をしていて子供たちの理解が不十分だと判断したら、自分の意向一つでその単元の授業を増やすことができます。他の学級との進度のズレを気にする必要がないので。

スタンドプレーという概念がないことから、自分のキャラクターや発想を生かした柔軟な学級経営がやりやすいです。


デメリットは「担任業務以外に色々やることがある」「自己責任の世界である」こと。

担任1人ですので、学級の担任業務の他に学年としての業務も1人でこなす必要があります。一週二週先を見通し、来月を見通し、学習進度の確認や行事の準備、見学等があるのであれば先方への連絡調整、教材を買う場合は教材屋との連絡や集金、支払いなど1人で進めます。

都市部に比べどうしても自己責任の世界になります。他学年のベテランの先生や管理職(人によりますが)も助けてはくれますが、基本的には自分の学年は自分の責任。自分の学年で起きたことについては自分が主担当として責任感をもって判断、実行していく感じです。


その他補足

<複式学級>
田舎の中には「複式学級」があります。二学年を合わせて17名に満たない場合、「3・4年学級」というように二学年が一緒に学級で過ごし、両方の面倒を1人の担任がみることになります。複式学級は難易度が強烈に高く、初心者が担任すると相当に苦労をすることになります。慣れるととっても楽しいんですけどね。

複式に当たった場合は、授業準備を入念に行っておくこと、ベテランの先生の学級経営をとにかく教えてもらい真似することの二つが突破口になると思います。

<学級の人数>
傾向として、都市部の方が学級の人数は多くなりやすく、田舎の方が少ない場合が多いです。とは言っても学年に50人いて25人25人の2学級になるのと、学年に38人いてそのまま38人学級になるのとでは後者の方がキツいですが。

一般的に、人数が多くなればなるほど学級経営は難しいです。普通に考えて10人の子供を統率するのと100人を統率するのとではどう考えても100人の方が難しい。

人数が増えれば増えるほどに技術が必要です。話し伝える技術。学級の仕組みを作る技術。教室環境を整備する技術。小さな学級ではナアナアでも最低限どうにかなる場面も、大人数では致命傷となります。

大人数の学級に当たった場合も、色々と本を読んだり近くの先生に聞いたりしながら、兜の緒を締めて1年間の学級経営の臨むと良いと思いますよ。ちなみに自分は若い頃そう言うのを曖昧なままにして一通り失敗を重ねました。ここまでの話は偉そうな話ではなく「俺みたいになるな」的なノリの話です。

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