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デザインの小話 no.6 / デザインと欲求階層説

マズローという心理学者をご存知でしょうか。デザインというよりマーケティングや経営界隈の方の方が馴染みがあるかもしれません。

人間の欲求を5段階に理論化した「欲求階層説」が有名です。

マズローは人間の欲求には段階があり「人間は自己実現に向かい絶えず成長をする」という仮定のもと、欲求を5段階に分類しました。

  1. 生理的欲求

  2. 安全欲求

  3. 社会的欲求

  4. 承認欲求

  5. 自己実現欲求

  6. (自己超越欲求)

※ 6段階になってますが、マズローによって晩年追加された段階が6の自己超越欲求です。5段階の方が有名なので()としています。

順番に、程度の高い欲求を満たすには、程度の低い欲求を満たさなければならず、人間はより高度の欲求に向かう、という説です。


ざっくりいうと

人間の生理的に必要な衣食住に必要なものが満たされると(1)

次に経済や身の安全に対する欲求が生まれ(2)

次にコミュニティや家族や友人に対しての所属し安心したい欲求が生まれ(3)

次に他者から認められ自尊心を満たしたいという欲求が生まれ(4)

次に自己の理想を体現したいという欲求が生まれ(5)

そこまで満たされた人に他者を助けたい、幸せにしたいという欲求が生まれる(6)

という感じです。

マズローのこの説は科学的に裏付けが乏しく、批判の対象にもなっていたりするのですが、体感的に確かになーという感じもするのでよく引き合いに出されます。


ここまでが前置きで、本題はここから。

この5段階説をデザインに応用した説を発表したのが Steven Bradley です。マズローの5段階のように、段階の高い欲求にを満たすには、段階の低いものを満たす必要があるとします。

  1. 機能性の欲求

  2. 信頼性の欲求

  3. ユーザビリティの欲求

  4. 上達の欲求

  5. 創造性の欲求

サービスなりプロダクトをデザインする際、まずユーザーが

必要な機能を問題なく使えること(1)

一貫したレスポンスがあること(2)

使いやすさが保たれていること(3)

生産性が高まり、統制感があること(4)

自分なりの使い方ができていること(5)

それぞれの段階があり、段階の高い方がユーザーにとってサービスやプロダクトは愛着が生まれるという説です。


もちろんデザイナー、特にUIデザイナーが果たす役割としては、3のユーザビリティの欲求に向き合うことが大事ですが、サービスやプロダクトをデザインする、と視点を上げた時にはその他の段階にも目を向けるべきだと思っていたりします。

ユーザビリティやUIがいくら優れていても、機能や信頼性が欠けてたらユーザーの欲求には応えられない、当たり前の話ではあるのですが。

「UIの細かいところはあとで何とかできるから、まずはユーザーに使えるようにしよう」というUIデザイナーとして仕事無くなりそうなことを不用意に言ったりしちゃうのですが、デザインの欲求階層説を考えてたりもします。

機能・信頼・使いやすさを担保した上で、ユーザー自身のカスタマイズ性や、Twitterの非公式RTやソーシャルゲームのスラングみたいな、使い方の余白、みたいのをデザインに組み込むのがユーザーの愛着を育むのに大事かな、と思っています。


デザイナーとしての自戒としてのnoteでした。

それではまた!





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