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イタリアでフリーランス!Forfettario制度とRegime ordinario制度について
1. イタリアの税制システム概要
主な税の種類
イタリアには、所得税(IRPEF)、法人税(IRES)、付加価値税(VAT)など、様々な種類の税金があります。
所得税(IRPEF)
所得税は、個人の所得に対して課税される税金です。課税対象となる所得は、給与、事業所得、不動産所得、資本所得など、様々な所得の合計額となります。所得税率は累進課税方式を採用しており、所得が多くなるにつれて税率が高くなります。2023年現在の所得税率は以下のとおりです。
IRPEFの累進課税率
15,000ユーロまで: 23%
15,001ユーロから28,000ユーロまで: 25%
28,001ユーロから50,000ユーロまで: 35%
50,001ユーロ以上: 43%
具体例
例えば、年間所得が35,000ユーロの場合の計算は以下のようになります。
*実際には扶養や住宅ローン、医療費などの控除があります。
最初の15,000ユーロに対して: 15,000ユーロ × 23% = 3,450ユーロ
次の13,000ユーロ(15,001ユーロから28,000ユーロ)に対して: 13,000ユーロ × 25% = 3,250ユーロ
残りの7,000ユーロ(28,001ユーロから35,000ユーロ)に対して: 7,000ユーロ × 35% = 2,450ユーロ
合計で、3,450ユーロ + 3,250ユーロ + 2,450ユーロ = 9,150ユーロが年間の所得税額となります。
付加価値税(IVA)
付加価値税(IVA)は、商品やサービスの商品やサービスの消費に対して課税される税金です。課税対象となる消費額は、商品の販売価格やサービスの利用料金です。IVA率は22%ですが、品目によっては軽減税率が適用されるものもあります。
付加価値税(IVA)の軽減税率例
4%の軽減税率
基本的な食料品(パン、牛乳、フルーツ、野菜)
書籍、新聞、雑誌(デジタル版も含む)
特定の医療用品(義肢、補聴器など)
5%の軽減税率
特定の医療サービス(例えば、障害者向けの特定サービス)
一部の文化関連サービス(博物館の入場料など)
10%の軽減税率
レストランやホテルのサービス
水道料金
一部の輸送サービス(公共交通機関のチケットなど)
特定の食品(肉、魚、チーズ、オリーブオイルなど)
医薬品
農業用品 など
2. 個人事業主向けの課税制度
イタリアには、個人事業主向けの簡易課税制度として、Forfettario制度、
一般の課税制度としてRegime ordinario制度の2つがあります。
どちらの制度を選択するかは、個々の状況によって異なります。
Forfettario制度
概要
Forfettario制度は、個人事業主向けの簡易課税制度です。会計処理が簡略化され、税率も低く設定されています。収入の上限年間収入が最大85,000ユーロを超えないことが条件となっており、制度の適用を受ける業種は特定のコード(Codice Ateco)によって分類されます。
制度の利点
単一税率: 収入に対して15%(初めてP.IVAを開いて事業をスタートさせる場合は、P.IVA開設後5年間は5%。その後15%へ移行)の定額税率が適用されます。
簡素な会計処理: 通常の会計帳簿が不要で、簡単な会計処理で済みます。
基礎控除があり、単一税率であることから税金面でのメリットはあるものの、税制優遇の中で経費も賄ってください、という考え方であるため、経費を一切計上することができません。VAT(IVA)免除: VATの徴収と申告が免除されます。これにより、Forfettarioであることで仕事を依頼する側はIVAがないことで税制面でのメリットがあります。
制度の制限
IVA控除不可: VATを控除できないため、仕入れにかかるIVAは実質的にコストとなります。
一定の収入上限: 収入が規定の上限を超えると、翌年から通常の課税制度に移行する必要があります。
経費控除不可:基礎控除があり、単一税率であることから税金面でのメリットはあるものの、税制優遇の中で経費も賄ってください、という考え方であるため、経費を一切計上することができません。
具体例
例えば、フリーランスのコンサルタントが年間収入50,000ユーロの場合、Regime Forfettarioの条件を満たすと、50,000ユーロの15%(7,500ユーロ)が税額となります。加えて、会計処理が簡素化され、VATの申告も不要です。
このように、Regime Forfettarioは小規模事業者や個人事業主に対して、税務上の負担を軽減し、事業運営を簡素化するための制度です。
忘れてはいけないINPS(社会保険料)
自営業者やフリーランスの場合、INPSの税率は基本的に24% 〜 28%ですが、収入や業種に応じて変動します。
雇用者の場合、雇用主と雇用者の双方がINPSの一部を負担します。
重要なことは、IRPEFもINPSも同じタイミングで支払う必要があるため、これまで説明したIRPEFにプラスしてINPSも発生する、ということは必ず覚えておきましょう。
Regime ordinario制度
概要
イタリアの「Regime Ordinario」は、一般的な会計および税務処理を必要とする課税制度です。これは、収入が一定の基準を超える事業者やRegime Forfettarioの条件を満たさない事業者に適用されます。
対象者:
年間収入が85,000ユーロを超える事業者
小規模ではなく、複雑な事業運営を行っている事業者
会計処理:
詳細な会計帳簿をつける必要があります(複式簿記)
収入、経費、資産、負債をすべて記録します
税務申告:
年次税務申告を行う必要があります
四半期ごとに付加価値税(IVA)を申告し、納付します
税率:
所得税(IRPEF):累進課税(前述参照)
利点:
事業に関連する多くの経費が控除対象となるため、税負担が軽減される可能性があります
財務状況を正確に把握でき、経営判断に役立ちます
デメリット:
会計処理が複雑で、専門家のサポートが必要になるため、会計士コストがかかります
会計や税務の管理に時間と手間がかかります
Regime Ordinarioは、収入が高く、詳細な会計管理が必要な事業者に適用される一般的な課税制度です。複雑な会計処理と税務申告が必要ですが、詳細な財務状況の把握や減税措置の利用が可能です。
簡単な比較
Forfettario:
IRPEF:15%(新規事業者は5%)
INPS:約25%(軽減措置あり)
Regime Ordinario:
IRPEF:累進課税(23% - 43%)
INPS:24% - 28%(自営業者の場合)
これにより、Forfettario制度は特に収入が少なく、シンプルな税務処理を希望する事業者に有利です。一方、Regime Ordinario制度は、収入が高く、詳細な経費控除を活用したい事業者に適しています。
4. まとめ
イタリアには、Forfettario制度とRegime ordinario制度という2つの個人事業主向けの課税制度があります。それぞれの制度にはメリットとデメリットがあるため、自分の状況に合った制度を選択することが重要です。
なお、税務に関する情報は頻繁に変更される可能性がありますので、最新の情報については、必ず専門家に相談してください。
免責:上記の手順はあくまで一般的なものであり、個々の状況によって異なる場合があります。よって、こちらの内容について一切の責任を負い兼ねますのでご了承ください。
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