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推しがアイドルを辞めた理由。 2022/03/06

4年前の3月。
私は、SHOWBOXで推しの歌声に堕ちた。
新大久保や大阪で活動した2年間の幸せな思い出が、今の私を支えている。
あのウィルスのせいで、会えなくなって2年以上が経つ。

会えないまま、去年、グループが解散した。
生で会ったのは2年前のクリスマスが最後だ。

解散した時は、また違う形でアイドルを続けてくれるんじゃないかと期待したが、どうもそんな気配は無い。
今は俳優を目指す一般人だ。
もうアイドルに戻ることは無いのだと思う。
戻らないのか、戻れないのかわからないけれど。

解散した理由は、新たに韓国で契約した事務所への不信感からメンバーの総意で契約解除を求めたということらしい。
確かにクソみたいなひどい事務所だった。

スタイリストにギャラを支払わず、事務所やメンバーの宿舎の家賃も未払いで、彼らは転々と住む場所を変えていた。
メンバーの1人は、事務所の代表のことを詐欺師だとまで言っていた。

新大久保で活動していた時の事務所は韓国人の代表が運営していたが、韓国で活動するには韓国の事務所に所属しないとならないために2年前に移籍した。

そして韓国での活動を始めるという時、あのウィルスが世界中に蔓延してしまった。

韓国芸能界では、事務所とのトラブルなんてよくある話だと思う。

ひと昔前までは奴隷契約なんて言われていたくらいだが、今でもやはりマイナーアイドルの立場は弱い。
衣装代もメイク代もレッスン代や宿舎代も、彼らの借金になることが多い。
(その借金が清算出来てからようやく給料がもらえるという仕組み)

あのまま新大久保でやっていたら、こんなことにはならなかったんじゃないかと思ったりもするが、韓国で活動したいというのは彼らの目標だったから、その希望が叶ったことは良かったと思うしかない。。
韓国の音楽番組に出演できたし、アルバムもリリースできた。

すべてはこのウィルスのせいなんだ、と自分を納得させている。

救いは、メンバーたちが今でも仲良く交流していること。
不仲で解散したわけではないことが、私の気持ちの拠り所になっている。
綺麗な思い出のまま残しておけるから。

推しの中で、SHOWBOXで活動していた2年間は幸せだっただろうか。
解散前のオンライン通話会(ヨントン)で、私は推しに「また写真が撮りたいな」と言ったことがあった。

リリースイベントや、PR活動の様子を一眼レフで撮る"撮りヲタ"をしていたから、またいつか新大久保に来れるようになったら推しの写真を撮りたいという意味で言った言葉だった。

うん!僕も!
一緒に写真撮って〜、一緒におしゃべりして〜、またやりたい!

そう言っていた。
推しは、特典会のことを言っているのだと思う。

特典会でチェキを撮ることも、サインの時に話すことも、そんな仕事は推しは本当は嫌だと思ってるんじゃないだろうかと不安だった。

だけど、推しはまたやりたいと言ってくれたことが嬉しかった。

そのことをヲタ友に話したら、「推しくんの中で、ハルちゃんと写真撮ったり、会話したことが楽しかった記憶として残ってるんだね」と言ってくれた。
そうだったら、嬉しいな。。

アイドルを続けなかった理由が、サセン(私生活まで追い回す悪質なファンのこと)や、一部の厄介ヲタクに悩まされていたからかもと頭をよぎることもある。

韓国で活動を始めてからついたファンに、私生活も追い回されていたと噂で聞いた。
悪質な嘘をSNSで書かれたり、事務所や宿舎の周りをうろつかれたり、多くのアイドルがそういう目に遭っているだろうけど、推しも例外ではなかったようだ。
韓国まで行けない状況では、それが嘘か真実か私には確かめることは出来ないけど。

そして韓国で活動を始めてから、日本のファンはだいぶ離れてしまった。
日本向けのオンラインライブの参加者も、日に日に少なくなっていった。
ヲタクたちは推しに『韓国のファンばかり大事にして、日本のファンのことも考えて』と不平不満を言っていた。(そんなの仕方ないことなのに、、)


少なくとも推しにとって、新大久保で活動した頃の記憶が、私が夢中になっていたあの頃が、今も幸せな記憶として残っていてほしい。
そう願うばかりだ。

世界はもう通常の日常へ戻ろうという流れになっている。
4月からSHOWBOXでも韓国アイドルの長期公演が始まるようだ。

SHOWBOXは、ヲタクの欲望と嫉妬が渦巻く場所。あの小さな箱の中で、マイナーアイドルたちは夢に向かって頑張っていた。
マンネリと誘惑に負けて道を外れてしまうアイドルも少なからずいたけれど、あの場所で推しは確かにキラキラしたアイドルだった。

そして私はそのアイドルに夢中になって、楽しい夢を見ることが出来たと思う。

もうあんな風に夢中になれることがないんだ、という現実がたまらなく寂しい。

そろそろ推しのことは諦めた方が賢明だ。

頭ではわかっているのに、私はまだ、推しがアイドルになって戻ってくることを期待している。

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