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推しから来たメール① 2023/02/17

〜2021年に解散した韓国のアイドルグループの推しの思い出を綴るnote〜

いつからその手のアプリが始まったのかわからないが、アイドルと直接メールのやり取りが出来るアプリがある。
韓国マイナーアイドルのファンにはお馴染みのアプリだ。

月額300円ほどで推しのメッセージの購読料を支払い、1通200円ほどで推しに直接メールを送ることが出来た。(文字数制限あり)

推しから返事がくるかどうかの確約は無い。
返信がもらえるかもしれないし、もらえないかもしれない。
推しが読んでるかどうかも、既読表示が無いからこちらからはわからない仕組みだった。

推しのグループがそのアプリに参加するという告知が出た時に、私は気持ちが沈んだ。

どう考えてもそのアプリは、双方にとって火種にしかならないと思ったから。

ファン同士のマウント、推しへの過度な要求、病んでいくヲタクたち、、、、考えただけでも気分が暗くなる。

そのアプリに参加することでどれくらいの報酬が彼らに支払われるのかはわからない。
月額の登録をしたファンの数や、送られてくるメールの数で歩合制なのだろうか。
メールが多ければ、それだけ収入に繋がるのだろうか。
そうであれば喜んで貢献したいと思うけど、私の推しはこういうサービスは向いてない性格だった。

推しはマメなタイプではないし、ファンが喜ぶような胸キュンメッセージを書くタイプでもない。
そして推しのファンは拗らせ系が多かったから、ますます病んでいくファンが増えるだろうなと先行きが思いやられた。

アプリの登録が始まり、早速メールを送ったファンたちが、半日も経たないうちにTwitterに「まだ返事が来ない」と不満を書いていた。

私は気が進まないまま、とりあえず推しと2番目の推しの購読を登録してみた。

サービス開始から1日経つと、メールの返信が来たとTwitterに書いているファンがポツポツ現れた。
アプリの規定でメールのスクリーンショットをSNSに上げることは禁止されていたが、規約を無視して上げている人もいた。

推しは意外にもマメに返信をしているようだった。
でもそれはたぶん最初だけだろうな、、と私は冷めた目で見ていた。
物珍しさで最初はマメに返信をしても、すぐに返信は滞るだろうと考えていた。

それなら返事が貰えるうちにメールを送っておこう、と私は重い腰を上げて推しにメールを送った。

すると、送信してから10分も経たないうちに返事が来た。

自動返信だったりして、、、と疑いながら返事を読むと、短い文章だったが明らかに推しが自分で送っているとわかる内容だった。

スタッフが代理で送っているわけでは無さそうだった。

推しに送った後、2番目の推しにもメールを送った。
2番目の推しは翌日に返信をくれたが、推しとは違って長文のメールをくれた。

2人の性格の違いがハッキリ現れて、面白いなと思いながら返信を読んだ。

マメなファンは、毎日のようにメールを送っているようだった。
その全てに返事がくるわけでは無かったようだが、それでも彼らは最初のうちはきちんと返信をしていた。

私は、そういうアプリについて否定的な考えを持っていたから、一度送ったことで気が済んでしまった。
あとは他のファンがたくさん送るだろうから、私は月額の登録料だけ払えばいいや…と、半ばお布施のような気持ちだった。

ただ、推しに比べて2番目の推しは登録者が少なかったことと、本人が『必ず返信するからメール送ってね』と公言していたから、私は2番目の推しにはたまにメールを送っていた。

2推しは毎回長文の返信をくれて、返事の中身もアイドルらしい文章で楽しかった。

そうして2ヶ月近く過ぎた頃。
その頃私は、ココ(飼い犬)が既に亡くなっていることを、推しにそろそろ伝えなきゃと考えていた。

動物好きな推しが、いつもココのことを気にしてくれることに私は胸が痛んだ。本当はもう亡くなっていたのだが、言えないまま時が過ぎてしまった。

ヨントンで「ココは何してるの?」と尋ねる推しに、お昼寝してるといつまでも答えるわけにはいかないし、推しはココに会いたがっていた。

推しにヨントンで直接伝える勇気は、私には無かった。
うまく制限時間内に伝える自信が無かったし、気を使わせてしまいそうで気が引けた。

確実に本人が読むということがわかったから、メールアプリで送ろうかとも考えたけれど、ココの死をそのアプリで伝えることは気が進まなかった。

悩んだ結果、本人に渡してもらえるか確信は無いけれど、国際郵便(EMS)で差し入れのお菓子と一緒に手紙に書いて送ることにした。

その時の話は前にnoteに書いたから重複してしまうが、EMSの配達完了メールが届くよりも先に、推しはメールアプリでメッセージをくれた。

手紙を読んだ、と。
ココはきっと安らかな場所に行ったのだと思うから元気を出して、と。

そのアプリは『ファンが送ったメールにアイドルが返信をする』という仕組みだったから、こちらから送っていないのに推しからメールが届いたことに、とても驚いた。

短い文章の中に、推しの気遣いが感じられた。

その後、EMSの配達完了通知が届き配達時間を確認すると、推しはたぶん事務所にいて直接荷物を受け取ったようだった。

そして荷物の中にあった手紙を読んですぐに、メールを送ってくれたのだとわかった。

本音を言えば、もっと頻繁に推しとメールのやり取りをしたい。

返信がまめなメンバーは、メールを送ると翌日には返事をくれるらしい。
推しは最初のうちはすぐに返信していたが、2ヶ月経ってどうなっているのか、他に訊けるような同担の友達がいないので状況がわからなかった。

だけど、推しは執着されることが嫌いだから、頻繁に送っても迷惑かなと思うと送る気になれなかった。
仕事だと割り切って、ファンが望む言葉を言えるタイプでは無いし、はっきり言えば甘えていると思う。

でも、イヤイヤ返信されるなら送らない方がいいやと、メールを送る勇気が出なかった。

そんな推しが送ってくれたメールが、いつ会えるともわからない状況の中で、本当に嬉しかったのだ。
『ココのことを愛してくれてありがとう』とそのメールに返信して、しばらくフワフワした気持ちだった。

だけどこの時、推しがどんな状況にあったのか、私はまるで知らなかった…
知っていたとしても、どうにもならなかったけれど。

つづく。

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