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新入社員に「頑張りすぎるな」の呪いをかけたくない

「不安にならなくていいよ」「緊張しなくていいよ」

新入社員を、後輩を迎え入れるとき、
とにかく先輩社員は、リラックスさせようとして優しく声をかけてしまう。

でも、それが負担だったな~と、つらくて必死でもがいていた1年目を振り返って、またちょっと胸がキュッと締め付けられた4年目の始まりだった。

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コロナ禍の影響で、まともに研修も行えず、配属が延期になった会社も多いと思う。

何もわからない状況で、自分がどうなるかもわからない不安な期間を人より長く過ごして、今度は何が起こるか何をしたらいいのかわからない環境。

その状況を汲んで、周囲も気を遣って声をかける。

辞めないように。体を壊さないように。精神を病まないように。

もちろん優しさからでもあるのだけれど、温かい部署ほど「不安にならなくていい」「緊張しなくていい」と、フレッシュな新人の苦悩を先回りして声をかける。

その最たる例が「頑張りすぎなくていい」だ。

私は、「頑張りすぎて」、適応障害と診断された新入社員だった。

不安で不安で仕方なかったし、緊張しすぎて人に教わるのも下手だった。抱え込みまくっていた。そして頑張りが限界にきて、息苦しさとドクドク鳴る心臓を抑えて行った病院で、病名を告げられた。

あの頃も「不安にならなくていい」「緊張しなくていい」「頑張りすぎなくていい」と言ってもらえた。

そう言われても不安になるし緊張するし頑張りすぎるので、パニックになった。己を責めた。さらに、先輩からの優しさを無駄にしていることに気づいてもっともっと己を責めた。以下ループ。

私の観測範囲なんですけど、メンタルやられるのって真面目で責任感があって、「頑張りすぎない方がいい」「不安にならない方がいい」ことは十分に理解していて、それでもできない自分に悩んで不調に陥る子が多くないですか。

「頑張りすぎなくていい」なんて、呪いだ。

精神が回復して通常通り働いている今でも、「頑張りすぎるな」と言われると「うわ、頑張りすぎててすみません……」ってすぐ凹む。

話を冒頭に戻す。

先輩からの優しさシャワーを浴びた後輩に、そっと「でも不安になるくらいさせてほしいし、頑張らせてほしいよね」と囁いたら「そうなんですよ~~~!」とほぐれたような声が出た。

その声音に、痛いほどに共感した。頑張らないと、不安は解消されないのだ。それでも不安すぎてお釣りが来るくらい。

不安だよね、緊張するよね、頑張りすぎちゃうよね、と寄り添って、彼ら彼女らが抱え込まないようにしてあげたい。んで私にも吐き出させて。

新入社員よ、健やかに頑張りすぎてくれ。

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