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法要とアゲハ蝶


祖母の49日法要。


お寺の本堂でお坊さんがお経をあげました。
大きめなお寺なので、お寺の敷地内とはいえ、お墓へは少し距離があります。


祖母のお友達が高齢なのでゆっくりゆっくり移動しました。
(祖母の数十年来の親友)


「ちょうど良い曇り空ですね。」
「日が出ていると暑いからおばあちゃんが取り計らってくれたのかもしれませんね。」
とお坊さんが言い、相槌を打ちながらお墓へ向かいました。


お墓へ着いた時には、お墓の蓋が開いており、
先に逝った祖父と、父の骨壺に並んで、祖母の骨壺が納められました。


お墓に蓋がされ、
仏花が差され、
お線香が配られ、
お坊さんがお経をあげ、
僕に続き、一人一人、お墓へお線香を置いて行きました。

祖母のお友達がおぼつかない足元で、線香を置き、
柄杓で花立に水をかけました。


それを見ながら内心、
「気持ちよさそうだなあ」


と思った瞬間、
曇っていた空から、
お墓へバーっと光が差しました。
お墓が光を反射し光が共鳴し、白っぽくぼやけ発光して見えました。



すごく客観的に、
「おお、なるほど」。

と妙に冷静にそれを見ていました。



すると白っぽくぼやけて眩しいお墓へ、
どこからともなく、
すっと上からアゲハ蝶が下りてきて、
お墓の上をひらひらと舞い始めました。


ものの数分でしたが、お経が終わったと同時に、
また、元の曇り空に戻りました。



晴れやかで嬉しい気持ちでした。




最後にお坊さんが一言。
「先ほど皆さんがお線香を置いた時、この曇り空からお墓にバッと光が差し、
お経をあげながら、おっ、と思って見ていたんです。
終わったと同時にこの曇り空にまた戻りました。
奇跡はあるものです。
嬉しかったのかもしれません。
こんなこともおばあちゃんの思い出として持っていて頂けたらと思います。」




その後、
100mほど離れた駐車場へまた、ゆっくりゆっくりと移動しました。



すると先ほどのアゲハ蝶が、ひらひらと上から付いてきました。

駐車場の車へ到着しても尚、
ひらひらと飛んでいます。


そこにいた全員が暫くアゲハ蝶を見つめていました。


特に誰も口にすることはなく、
妙に冷静に誰もが
「おばあちゃんだ」
と静かに認識していました。




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