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サンボマスターファンだからしんちゃんの映画で泣いた。

「しん次元!クレヨンしんちゃん THE MOVIE 超能力大決戦 ~とべとべ手巻き寿司~」を見た。

この映画を見た大きな理由の一つに、サンボマスターが主題歌をやっているから、というのがあった。
自分はだいぶサンボマスターのファンで、いつでも心のどこかにサンボマスターがいる人生を、もう十年くらいやっている。
クレヨンしんちゃんの映画だし、大根仁だし。まあ悪いもんじゃなかろうと思って映画館に行った

ボロ泣きした。

この映画は、正直あまり好みではない。
クレヨンしんちゃんのテーマとしては、あまりに現実的すぎる内容だし、それをメタファーとかに包むことなく、そのまま設定に突っ込んでしまっている。
アメリカの映画で、社会問題に正面から切り込むような「ポリコレ」みたいなのあるけど、それは物語の中に違和感なく収まっているから許されるのであって、今回のしんちゃんの敵で言うと、むしろその社会問題の話題のために作られたキャラクターでしかなかったから、それはもう全然話になんない。
2023年の日本社会の不満点を、物語性もなくそのまま劇中に持ってきて、それに対して説教して、なぜかハッピーエンド。
そもそも、「日本の未来は暗い!具体的な解決策は提示しない!人のために頑張れ!!」っていう映画を子ども/ファミリー向け映画でやるなよ。パパママがどんな気持ちで子供と見ればいいんだよ。子供はその未来を背負うし、パパママはその未来を背負わせるんだぞ。
敵である非理谷充くんが腐る原因が劇中で語られて、敵に同情の余地があるのも、鬼滅の刃的令和的な、勧善懲悪からの脱却作劇って感じで、そんなに面白いとは思わなかった。
腐る理由が同情できる非理谷充より、なぜ悪いかわからないマカオとジョマの方がよっぽど面白いよ。
ていうか、非理谷30歳っていう設定だったけど、それじゃあみさえとひろしは何歳なんだよ。ひろしが「俺の時代は・・・」とか語ってたけど、年齢との整合性がわかんねえんだよ。マンガ時空に現実持ち込むとこうなるから嫌なんだ!!
・・・・まあツッコもうと思えばいくらでも余地のある映画だった。そういう映画はあまり好きじゃない。

で、何でそんな映画でボロ泣きしたかって言えば、それは俺がサンボマスターのファンだからである。
ひとえに、サンボマスターのファンだからである。
それ以外の理由は無い。

今回の敵役である非理谷充は、友達がおらず、いじめられっ子で、家族もバラバラ。大人になっても仕事がうまくいかない。
そうして社会を恨むようになってしまい、手に入れた超能力で無差別テロを引き起こし、世界を破滅に追いやりそうになる、というキャラクターだ。

そんな彼との最終決戦。
それは、非理谷の暗い過去にしんちゃんが超能力でアクセスするというものだった。
友達がおらず鍵っ子で、家で一人でカンタムロボを見ている、幼稚園児の時代の非理谷。
そこにしんちゃんが登場し、一緒にカンタムを見ておしゃべりをする。
運動会の玉入れで、親も見に来ずに頑張る理由を見い出せない非理谷。
そこにしんちゃんが登場し、非理谷を励ます。
最後は、両親の離婚を告げられて家から逃げ出した非理谷が、道でばったりいじめっ子の集団に会い、ボコボコにされている。
弱り目に祟り目な状況にしんちゃんが乱入し、非理谷としんちゃんが共闘していじめっ子たちと喧嘩をする。

いじめっ子とのラストバトルでしんちゃんが非理谷に言う言葉が「仲間」である。友達でも、家族でもない。しんちゃんは非理谷の仲間だと言うのだ。

非理谷の過去で選ばれた各シーン。どのシーンでも、現実の非理谷は深く絶望し、どうしようもなく暗い気持ちになっていたのだろう。
だが、その気持ちを破壊する存在がいるわけだ。
それが、しんちゃんなのだ。
「仲間」であるしんちゃんがいつもいるから、どうしようもなく絶望をしていても、一人じゃないから救われるのだ。
そうして超能力でのラストバトルを終えると、現実世界に戻った非理谷は、「仲間」であるしんちゃんとの友情を胸に抱き、前を向いて生きていくようになる。ハッピーエンド。

この非理谷としんちゃんの関係が、もうどこからどう見てもサンボマスターと俺だったのだ。
サンボマスターはいつだって俺の心の中にいる。俺を肯定し続ける。俺の仲間だと叫び続ける。
絶望だとか、社会不安だとか、そんなもので俺は倒れない。サンボマスターがいるからだ。サンボマスターがそばにいてくれるからだ。
しんちゃんが非理谷を救ったように、サンボマスターは俺を救っている。
しんちゃんにサンボマスターをとても強く感じたのです。
非理谷がどれだけしんちゃんの存在に救われたか、痛いくらいに伝わってきたんです。
そう思ったら、非理谷に自然と寄り添っているしんちゃんを見ていると、サンボマスターのライブと同じように、涙が流れてきました。
そうして泣きまくっていたら、エンディングのイントロのギターが流れるわけですよ。

高ぶりすぎてエンディング中ずっと号泣だよ。


ファミリーだらけだった日曜昼のTOHOシネマズのすみっこで、25歳チビデブ非リア充兄さんが、クレヨンしんちゃんの映画で大号泣しているのは流石に恥ずかしかったので、急いで劇場を出ました。

サンボマスターをしっかりと分かっている映画でした。さすが大根監督!
この映画のタイトルが手巻き寿司なのも、しんちゃんらしくてとても好きです。

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