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全うな木つくりの讃歌

建前当日、まずは、木配りをします。

骨組みは、全部魅せるつくりなので、
帯で吊ります。

大切な材を、痛い思いさせながら
喰い込ませて挟んだりせずに、
包みこむように、縛ります。
着物の帯と一緒です。

だから、ジャンクマンは、いりません。
キン肉マンと正義超人だけで建てます。

志村けんの芸で見る帯。
帯は杉の梁も吊れる道具なのです。

魅せて使うのがあたりまえなので、
紙養生とかは、巻きません。

遠く海の外からやってくる
真っ白な得体の知れない木は、
誰が育てたかわからんし、
よう使いません。

代わりに、故郷の木を使います。
木の家に住むこどもたちと、
木の家は、同郷になります。

こんなに、豊かな事実は、他にありません。
ローカルエコノミーの実践こそが、
ローカルエコロジーに繋がるのです。

そういう順番で、
故郷は守られていくと
信じています。

木を魅せて使うことで、
雨が漏っても、すぐわかり、
白蟻が来ても、すぐわかります。

この行為は、わたしたち大工の、
誠実さの証なのです。

その上で、

雨を漏らさず、
白蟻に食べられないように、
創意工夫してつくることこそが
建築技術なのです。

その逆、邪魔くさいからと、
全てを隠してハリボテにすることを
あたりまえに変えた危うさが、
ここにあります。

こんなことは、大工やったら
坊主でも、わかっているはず。

口に入れたらお腹痛くなるお薬とか、
マスクせな吹かれへん変なスプレーとか、
わけのわからん、化学の匂いするもんは
使いたくない。

効いとんか、効いてへんのかわからんし、
効いたとしても、期限付き。

効果は保証で、おんなじとこに頼んで
何回もやり直さなあかん。

なんで、病気ちゃうのに、化学の力を
借りるんか、わかりまへん。

木の家は、ひとを元気にするもんです。
力を蓄える場所になります。

そんなとこを、薬まみれにしたり
薬まみれの材料つこたら、あきません。
奥さんも、こどもたちも、きっと
機嫌わるなります。

大工の仕事場であり、
ひとが住み暮らす居場所に
胡散臭いもんは、

お断りでんがな。

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