「LGBTは子どもを持たないから生産性がない」という趣旨を雑誌に投稿した杉田水脈総務政務官が昨年12月に事実上更迭された、そもそも任命が適切だったのか問われる案件だが、交代も遅きに失した。この顛末をみても、本当に岸田内閣の人権感覚はどうなっているのかと思ってしまう。
そして今回の荒井首相秘書官のあきれた差別発言。
最初に報道した毎日新聞については、オフレコであったが報道する必要があると判断したこと、「差別発言」ときちんと報道したことを評価したい。政治家の問題発言は、「論争を呼びそうだ」などと表現したりするが、きちんと差別であることを明記し、発言を問題視する記事となった。
今回の発言、首相秘書官の謝罪相手はなぜ総理なのか?
一連の流れの発端は総理の国会発言だった。
荒井秘書官は岸田総理の同性婚は「社会が変わってしまう課題」であるとした予算委員会の発言を補強しようとしたのだろう。
この発言は、撤回されたが、謝罪相手が岸田総理であることには驚いた。
翌日、総理は秘書官を更迭。
岸田内閣は多様性を包摂する内閣なのかと言えば、閣僚には問題のある議員が複数いる
「種の保存に背く」発言の簗和生 文部科学副大臣
超党派の議員立法、LGBT理解増進法の自民党会議で「種の保存に背く」趣旨の発言をした、簗和生衆議院議員は、文部科学副大臣だ。
国会でこの発言を石川大我参議院議員に問われたが、辞任をするいわれはないと否定したままだ。
都城市長として、男女共同参画条例から「性的指向」を削除した長峯誠 経済産業大臣政務官兼内閣府大臣政務官
この経緯については、
「社会運動の戸惑い フェミニズムの「失われた時代」と草の根保守運動」山口智美 著 斉藤正美 著 荻上チキ 著
に詳しく書かれているが、統一教会、世界日報からの強い働きかけがあり、長峯氏は新市長に就任後、男女共同参画条例の文言から「性的指向に関わらず」を削除する変更を行った。
これについては、昨年、福山哲郎参議院議員が予算委員会で質問している。
この長峯政務官の答弁に著者の山口智美さんは以下のようにツイートし、関係性を示している。
杉田水脈政務官、荒井首相秘書官を交代させれば岸田内閣の性的マイノリティに対する姿勢が変わるわけではない。その証拠が簗文科副大臣、長峯経産政務官の任命だ。
法制度の実現に踏み出すべきだ
G7主要国サミットが広島で行われるが、日本がサミット議長国として、民主主義、人権、ジェンダー平等といった価値を他の6か国と共通して持っているのか世界から問われるときに、同性婚もLGBT差別解消法もないでは、通用しない。
多様性ある包摂社会を目指すのであれば、それを担保する法律が必要だ。
閣法として、提出する、G7までに議員立法を再始動させる、など具体的行動を進めるべきだ。
立憲民主党においても、LGBT差別解消法案、選択的夫婦別姓法案などは衆議院に提出しているが、同性婚を可能とする民法改正案は一昨年の衆議院解散で廃案になったままになっている。今国会での再提出をはかってほしい。