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自炊

実家を出てから、自分の飯は自分で用意しないといけなくなった。
大学生の頃、地元から出て都内に一人暮らしをしている友人が増え、当時から「東京に住んでる人」というカテゴリにその人たちを入れて考えていた。
いまは、「若い頃から自分のことを自分でやってすごい人たち」になった。

自分の飯を自分で作るっていうのは、いろんな工程がある。
献立を考えなきゃいけないし、レシピを調べて材料を買いに行かなきゃいけない。自炊を始めようと思ったら鍋もまな板も包丁もお玉もヘラも自分で用意しなきゃいけない。これは大変なことだし、それらを全てやり遂げて自炊を習慣にしている人は全員すごい。

まめに洗い物をする習慣は母親の教育のおかげで身についていて(これも実家を出てから気づいた、実家にいるときは母親に全て洗い物を任せていた)、学生の頃は飲食系のサービスをするバイトをハシゴしていたので、うつわの類はよく洗っていて、どこを重点的に洗って、どこは適当でいいかと言った、勘どころが自分の中でなんとなく得られていた。バイト先では調理工程自体を担当していたわけではなく所謂洗い場作業がメインで、包丁とかピーラーとか、台所の刃物はあまり触ってこなかったため、自ずとそれらを洗う機会も少なかった。そのため、料理をした後、使った包丁を洗うときはしばらく恐る恐るだった。

最近は、包丁を洗う機会も何度か経てきたので、勘どころが掴めてきた。野菜とか肉とか、包丁の仕事は先に全て終わらせて、調理自体は終わっていなくてもすぐ洗ってしまえば、料理中とか後々の洗い物の時間に、刃物に気をつける必要がなくなるのに気がついた。

とか、余計なことを考えながら得意げに包丁を先に洗っていたら、ジャガイモの芽を取るときにつかう包丁の「あの」部分で、利き手の薬指をザックリやった。
大人になってから本格的に包丁で指を切ったのは多分初めてで、すごく痛かったし思った以上に出血して、嫌だった。よくアニメとかドラマとかで、指を包丁で切った後にその指を咥えながらバタバタと手当てするシーンがあるけど、俺もそうした。咥えておかないと、血が指先から垂れてその辺に落ちちゃうからなんだという理由もわかった。

水でよくすすいで、指を咥えながら絆創膏を探して、オロナイン軟膏を多めに塗った後に絆創膏を貼った。そのあと、友人から戴いたカレーとラッシーと、自分で作ったスープを飲んだ。全部美味しかった。

包丁を洗っているときに油断して指を切るくらい、包丁を洗ったんだなあとちょっと感動した。油断していても指を切らないようになれば、次のステップだなと思った。

これを書きながら、そういえば、漫画『落第忍者乱太郎』で、キャベツの千切りをするときに、キャベツを押さえる手の指先スレスレを切るもんだから料理が終わった後に爪の先端も千切りされて、綺麗な指先になっちゃいました、ドヒェ〜みたいなシーンがあって面白かったことを思い出したな。

おわり。

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