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「遁」

車検から戻った我が家の車がことのほか快適です。80年代のJポップが景色と一緒に流れていくのって楽しい。本日のドライブの予定はフライパンです。私の料理のほぼ主役級の道具フライパンの加工が剥がれてきて卵焼きがスクランブルに近い姿でお弁当箱に並びます。此処は変え時、timingは「今でしょ」。でした。

フッ素コーティング、テフロンコーティングなど言葉が飛び交うなか、暮らしに合いそうな、からだに優しそうなフライパンを調達すべく今日です。主役級との出逢いですから鼻歌にも力が入ってしまう私です。

赤信号で止まるとほぼ同時に主人の携帯が鳴りました。咄嗟に嫌な予感が、嫌な予感しかないというのが本音です。予感はもちろん的中でして、休日のはずの1日は午後から出社へと速やかに予定変更となりました。私の心は奈落の底へと向かう準備をしようとうつむきかけたその時、私の目に。私の目には前の車両のナンバープレート666の数字が入ってきました。

咄嗟の嫌な予感は瞬時に閃きを連れてきました。「動きよ。とまれ。」。「やっちゃん、今の連絡くれた人、私たちを守ってくれたのかも。未来はわからないけどフライパンは今日じゃなくてもいい気がした。」速やかに方向転換する主人の横顔を見ながら未来も一緒に転換していると直感しました。

帰路、信号は全て赤。おまけに踏み切りまで電車待ち。車が止まるたびに引き返す選択を早めにできたことをラッキーと思い始めていました。あのまま予定通り進んでいたら同じように信号が赤でもなかなか止まれのサインが来ていることに気づけないものかもしれない。

直感って、私のなかにある地球がくるっと一回転して時間が先に進んだ瞬間につかまえた自分自身の意識なのかなと思いました。人が持つ危険予知能力や初めての場所なのに懐かしさを覚える感覚にも似ている気がします。時計の針が刻む時。それは輪廻の象徴として私たちを乗せて廻り続けるメリーゴーランド。

直感のことをぼんやり考えていると。知らないことばに行き当たりました。陰遁です。

なんでも冬至から夏至までを陽遁、そして夏至から冬至までを陰遁と言うのだそうです。九星気学に基づいた自然界の氣の巡りが切り替わるtimingを陰遁と陽遁で示しています。陽遁は冬至から1,2,3と氣が昇順して陽の氣が満ちていくことを表します。そして夏至から陰遁が始まり。今度は9から逆に8,7と降順して陰の氣が満ちていくという考え方があるようです。

そうか。今、自然界は氣が切り替わっている時なのか。そして徐々に陽の氣から陰の持つ氣にバランスが変化する。きっと、植物も山も海もその氣の流れを感じてバランスを保っているのだろう。

「動きよ。とまれ。」
陰遁の始まりを教えてくれていたのかもしれない。そろそろ、自然は冬を意識していますよ。あなたも夏の景色に惑うことなく巡る季節に意識を寄せて下さいね。

2022年7月10日  陰遁のはじまり。


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