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ただの大学生が聴いて読む、小林明子「恋におちて -Fall In Love-」



はじめに

この曲はかなりの名曲であると同時に、かなり古い曲です。世代によっては知らない人はいないかもしれませんが、今の若い世代の中には知らない人も多々いるでしょう。そのような人たちはまず聞いてほしい。そんな一曲です。(ラジオDJのようになってしまいました笑)

(注)ただの大学生が、歌詞を読んで書いたエッセイ的な文章になります。鋭すぎるご指摘はご容赦ください。

もしも願いが叶うなら

さて、「もしも願いが叶うなら、吐息を白い薔薇に変えて」という歌詞から始まります。なんとも、詩的な表現ですね。この曲の中で最も印象的な歌詞の一部です。個人的な話になってしまいますが、最近なんとなくため息をつくことが多いのです。あいにく、この歌詞では恋に悩む人の吐息が白い薔薇になるから、「エモい」のであって、残念ながら私の日々の悩みではたんぽぽやチューリップが関の山といったところでしょう。
ところで、この曲が発表された頃にはエモいという言葉はなかったはずです。そんな時代の曲の感想をエモいという言葉で表すのは、それはそれで趣がありますが、せっかくなのでもう少し日本語の表現として考えてみましょう。
この表現の中では吐息が白い薔薇に例える隠喩表現が使われています。(なんだか、国語の授業のようになってきましたね。)吐息が薔薇というのはなんとも飛躍した表現に思われますが、それこそがこの歌詞の良さなのでしょう。そして、もう一つ、”白い”吐息なのです。吐息を白いということによって、寒さが連想されますね。寒さから冬、そして、冬の寂しさのようなものまで連想する人もいるかもしれません。ちなみに、この後は、「逢えない日には部屋中に飾りましょう」と続きます。情景を想像してみましょう。どのような情景が浮かび上がってくるでしょうか。思い思いに想像してみてください。

せっかくなので、筆者の感じた情景も書いておきますね。女性ボーカルの曲なので、情景の主人公として浮かんでくるのは女性でした。ある女性が恋人なのか、夫なのか関係性はわかりませんが、恋心を抱いている人のことを思っているのでしょう。薔薇という表現から、筆者には、少し洋風の部屋中にいるのかなと想像されました。洋風の部屋の中に一人、女性がいます。その女性は、彼なのか彼女なのかはわかりませんが、逢えない相手のことを想いながら息を吐きます。その息は寒さで、白くなっているのでしょう。筆者はダイニングテーブルの椅子に座っている様子を思い浮かべました。

ダイニングテーブルに座って温かい飲み物を両手で持っている様子を思い浮かべる人もいれば、なんとなく窓の外を眺めている様子、もしかしたら、部屋の外にいる様子を思い浮かべる人もいるかもしれません。人それぞれの感じ方があるのだと思います。想像を深めていきましょう。

ストレートな表現と比喩の交錯

ここから、いわゆるサビに入ります。
「Daring, I want you 逢いたくて ときめく恋に駆け出しそうなの」
と歌われるのですが、かなりストレートな表現ですね。恋に駆け出すというのは、恋に夢中であることによって、駆け出すという意味でしょうが、ここだけ聴くとものすごく前向きな気持ちでスキップでもしているのかなとさえ感じます。そう感じていると、
「迷子のように立ちすくむ わたしをすぐに届けたくて」と続きます。なんとも難しい歌詞ではないですか?この歌詞の直前では、すごく前向きで駆け出しそうだったのに、立ちすくんでいるというのです。また、ここで直喩表現が使われています。直喩といえば〜のようにと直接的に例える表現ですが、直喩によって「わたし」が迷子のようであることがより強調されて立ちすくんでいることが印象的になっている感じがします。そして、より情景が浮かびやすくなりますね。では、どのような心情なのでしょうか。
さらに「ダイヤル回して 手を止めた」となります。前のめりな印象を持たせる歌詞から、最終的には手を止めています。駆け出してはいないのでしょう。

それぞれの解釈があると思いますが、筆者の解釈もせっかくなので書いておきますね。駆け出しそうなほど、想い人に逢いたくて仕方ない、そんな「わたし」ですが、自分からは逢いたいという気持ちを相手に伝えることがなかなか難しいのでしょう。とても逢いたいがそれを伝える勇気が出ない、つまり、立ちすくんでしまっている「わたし」。だけれどもそんな「わたし」ごと相手に気持ちを伝えたいという気持ちでダイヤルを回します。(当時の恋の気持ちはダイヤルでよく表現されますね)しかし、その気持ちの葛藤の末、手を止めてしまう。そんな、葛藤を持つわたしはただの恋する女性なのだということで、
「I'm just a woman  Fall in love」とサビが終わるのではないでしょうか。

今回はここまでにします

さてここまで1番について歌詞を読んでいきました。さながら、国語教師になったつもりで書いてみましたがどうだったでしょうか。(適当なこと言うなと国語を教えられている方々に怒られるかもしれませんね。)なんとなく聞き流してしまうことも多い歌詞ですが、丁寧に聴きながら読んでいくのもいいのではないのでしょうか。ただの大学生が真剣に聴いてみただけなので、深さが足りなかったかもしれませんが、ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。

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