センチメンタル・ジャーニー
おはようございます!ひと月ぶりにお手紙します。いろいろ頑張ってたんですよ。偉いですねえ。
先月、ふと立ち寄った古書市で、地球から送られてきた古本を何冊か買いました。わたしよりも少し年下の同性(女の子)が好きそうな、ライトノベルでした。その一冊から、ある手紙が出てきたのです。
ずっとずっと昔の人の恋文でした。
もちろんそれをここに書き写すわけにはいきません。
読んでいると、すごくもどかしくて、下手くそだなあと苛々してしまう。そんな文章でした。一枚の便箋は、たぶん定規で綺麗な折り目を付けられています。古書の物語の最後のほうの、96ページ目と97ページ目のあいだに、ずっと挟まれたままだったようです。
手紙の成分が滲み出したのか、ページが恋文の形だけ変色を免れていました。
まさか今になって火星まで渡って開かれたなんて、本人は思いもしなかったはずです。
古書の奥付のところに、あとは切手を貼るだけの封筒が挟まれていました。本当にこの人は恋愛が下手な女の子だな、と焦れったくなるばかり。
字はとても丁寧で誤字ひとつなかったので、あとは手紙を投函するだけだったようです。こんな稚拙なメッセージなら出さなくて正解だったのかな?と思う反面、それで良かったのかな?という後悔が、今更のようにわたしの心に沁みを作るのです。
その恋煩いの当事者でもないのに。
その古書は随分読み込まれた形跡がありました。きっと大好きな本だったに違いありません。わたしも最初から最後まで読んでみました。うーん。
むしろ、例の恋文のほうが、とても印象に残っています。
恋文のなかにひとつだけ、今の状況と符合する言葉がありました。その部分だけ書き出すことを、どうか許してください。
「もしあなたが赤い星の上に生まれ変わったとしても、わたしはついていきます」
ついて来られてもなあ、とは思うのですが、でも、その箇所だけは読んでいて背筋がぞわぞわしました。そういうことあってもいいなあ、と思うほうなんです、わたしって。
手紙の最後に書かれている日付だと、もうこの世にいない人たちです。愛し合ったり出会ったりって、とても儚いなあと考えた一ヵ月でした。
リクエスト曲は、松本伊代さんの「センチメンタル・ジャーニー」を、ぜひお願いします。ひいお祖父ちゃんがよく口ずさんでいた曲です。
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