見出し画像

ハタラクスガタ

僕には今年二十歳になった一人息子がいる。
それはそれは可愛いい。
目に入れても痛くないとはこの事だろう。
大事に大事に育ててきた。

育ててきたのだが、苦労も掛けた。
それは主に金銭面。

僕は彼が一歳になるかならないかでうつ病になり、その後現在まで基本的に働いていない。
生活は障碍者年金と体弱い妻がパートをして賄ってきた。
父親が働いていない=貧乏
という思いをさせまいと、欲しい物は親が食べずとも与えていた
良かれと思ってしたことがだ、そのせいか彼はお金にたいして興味がない。
お金を稼ぐことの大切さを知らない。

僕はいまWebライターをして月に数万円を稼いでいる。
昨今の物価高もあり増々苦しい家計を助けようとそのほとんどを妻に渡している。家計は苦しい。
なので息子の欲しい物も買えなくなった。

妻がパートの他にバイトをはじめた。
母が好きなのか心配なのかは知らないが、息子も行きたいと言い出し一緒に行っている。
「お父さん、お母さんいつもありがとう」を若干期待したが、どうやら彼女の誕生日が近いらしい。

それでいい

僕も若いころそうだった。
結婚してからは、妻のため、息子のため、家族のために何とか働いて、僅かばかりのお金を入れていた。

大切な人の為に汗を流す。

その大切さ、有難さを知った人間になってくれたのなら、僕は満足だ。
ハタラクスガタを見せて、見てもらえたのなら満足だ。

いま深夜四時。
疲れ切って寝ている息子をみてそう思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?