見出し画像

マンション管理士がこっそり教える「買ってはいけないマンション」とは?

新潟のマンション管理士、おとうふです。
リクエストをいただきまして、ありがとうございます。

裏話はとんでもなくたくさんあるのですが、ことごとく守秘義務に引っかかるので墓まで持っていきます。ごめんなさい。
儲かるマンション投資法はあったら自分で実践してます><
というわけで「買ってはいけないマンション」の特徴を書いてみたいと思います。

一応ディスクレーマー

私は皆様が大金を払って買ったマンション、親御さんの思い含め相続したマンションにケチをつけるという考えは一切ございません。
ただし、高経年マンションは築浅のマンションと比べて「ミスマッチが起こりやすい」という特徴があります。これは「高経年マンションは流動性が低く売りにくい」「マンション管理について買主が理解していない」という状況から、都合の悪いことを隠して売りつけて「ババを引かせる」というような状況が残念ながらままあります。
このミスマッチが起こらないよう、以下のような特徴があるマンションについては「購入するときには気をつけて欲しい」という思いを「買ってはいけない」という文言で表現しております。お含みおきください。言い訳がましいかな。あと日和ってるとか言わないで欲しい。図星だから。

特徴①耐震改修未実施の旧耐震マンション

高経年マンションは一般的に販売価格が安いので、自分のお財布や借りられるローンの上限額から購入を希望される方もいらっしゃると思います。ただ、古いマンションは管理上問題があったり耐震上問題があったりします。もちろん、旧耐震マンションであっても「耐震診断」の上「耐震改修」をしていれば問題ないのですが、「耐震改修」はおろか「耐震診断」もハードルが高く、旧耐震マンションの多くは実施されていない状況です。直近の新潟市の調査結果はこんな感じ。

引用:新潟市マンション実態調査の概要(令和元年度実施)

◆耐震改修
耐震診断の有無で「実施済」と回答があったもの(5 件)のうち、耐震改修の有無は、「実施済」が2 件、「予定なし」が 2 件となっています。 予定なしの理由としては「耐震診断の結果、基準を満たしていたから」が 2 件でした。

引用:新潟市マンション実態調査の概要(令和元年度実施)

ちなみに、昭和56年(1981年)以前に竣工の物件は同年の建築基準法大改正前の物件であり、違法建築状態で再建築不可だったり修繕の事を全く考えてない仕様で積立金でまかなえずに必要な修繕を放置していたりなんて例もあります。
もちろん高経年マンションでも適切な管理をしているマンションもたくさんありますが、管理状況を購入前に判断することは非常に難しい(重要事項調査報告書を取得しても必要な情報を全て集められないため、どうしても当たり外れが出る)ため、物件の目利きに自信がない方は購入を控えた方が良いと考えます。

(心配しなくてもそんな古い物件買わないよ、と思われる方もいらっしゃると思いますが、専有部分のお化粧してお手頃価格で売り出すと意外と売れているんですよ。)

特徴②修繕積立金が戸当たり月額10,000円以下

分譲マンションを所有していれば管理費や修繕積立金が毎月発生します。マンションの規模や立地や経年数によって一概に言えないですが、板状マンションであれば管理費、修繕積立金共に10,000円〜20,000円くらいが相場でしょうか。管理費は、主に共用部分の電気料や管理会社への報酬等日常の管理についての費用であるため、管理の内容に変更がなければ増減しないことが多いです(最近は円安やインフレの影響により結構上がっておりますが)。他方、修繕積立金は大規模修繕や給排水設備の更新更生工事等に用いる積立金です。通常は長期修繕計画を作成して「竣工後何年にこんな工事が必要です。それまでにいくら必要なので毎月の修繕積立金はいくら徴収します」ということを管理します。

修繕積立金が月額10,000円以下であると、管理組合が以下の状況である可能性が高まります。
「①長期修繕計画がなく積立金の集め方に計画性がない」
「②長期修繕計画はあるが今後急激な値上げを見込んでいる」
「③積立金を上げたくない人が一定数おり管理不全に陥っている」

①は高経年マンションに多いです。毎月の負担は少ないですが、突発的な工事を行う際に臨時徴収が行われたりする可能性があります。

②は新築物件にも散見されますが、マンションデベロッパーがマンションを売りたいがために当初積立金を少なく見せるやり口だったりします。長期修繕計画に一時金徴収が仕込まれていたり段階式積立方式となっている場合です。

③はリゾートマンションや投資マンションに多いです。また最近は高経年で組合員が年金受給者である割合が多いマンションでもこの傾向が見られます。少しでも毎月の負担を減らすため、または利回りを良くするために積立金改定の議案を否決する人が多ければその他の改善提案も通りにくい場合があります。

※20㎡のワンルーム、30㎡の1Kマンションだと月額10,000円未満でも適切に管理されているマンションもあります。総額より㎡単価で表現する方が正確ですので、以下の表も参考にしてください。

引用:マンションの修繕積立金に関するガイドライン

修繕積立金が10,000円以下だったら「おや?」と思って納得できる理由を探すくらいの感覚で良いと思います。

特徴③売却理由が「近隣トラブル」

売却理由を聞いてみると「近隣との人間関係のもつれで売却することになりました」ということも割とあります。「個人間のいざこざだから買ってもいいかな」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、個人的にはオススメしません。なぜなら、残った住人がトラブルメーカーである可能性があるからです。
失礼な話ですが、フロント時代、なんとなく近隣トラブルでの引越しが発生した際「出ていく方が負け、残った方が勝ち」みたいにぼんやり思っていたことがあったのですが、今考えると全然そんなことなくて、トラブルの種が取り除かれていない可能性があるからです。マンション内の近隣トラブルは結構苛烈です。騒音トラブルでどちらかが出ていくようなことは割とよく聞く話です。
情報収集は難しいですが、このような話が出るようであれば購入について慎重に考えるのが良いかもしれません。

マンションに携わっている方、既にマンションを所有されている方にとっては一般的なことかもしれません。ただマンションという安くない買い物で後悔しないよう、最低限この3つは確認していただければと思います。それではステキなマンションライフを!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?