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母とわたし

「自分でコントロールしなさい。今に始まったことじゃないんだから」

 中学生の頃から親にこう言われてきた。眠れない、話せない、笑えないの三重苦の時、人生で1番揺れ動く思春期に。そして今も同じことを言ってくる。「コントロールしなさい」って言葉、もしかしたら1番嫌いかもしれない。

 母の意図はきっと自分でコントロールしないと周りに迷惑をかけるから、心配されるから。わたしの心と身体を心配して言ってくれていることもわかってる。

 だけど少し親のエゴだってあるよね。母はわたしが大学生の頃、病院に連れて行く時に「今まで連れていけなくてごめん。病気じゃないって思いたかった。1番辛いのはあなただよね」と言いながら泣いていた。自分のせいでこうなったんじゃないか?育て方が悪かったかもしれない。母はきっとこんな気持ちだったんだと思う。

 だけどね、多分誰も悪くない。

 わたしが小3の頃、父が関西に転勤になり家族全員で引っ越した。母は初めての慣れない地で気分が落ち込み、軽いうつ状態になったそうだ。わたしは当時母がそういう状態だということに気が付かなかった。覚えているのは父が洗濯機を回す姿、夜わたしたちが寝ている間に泣く母の声。父の職場の人の家によく行って家族ぐるみで一緒に過ごした。きっと父がそうしたのだ。母が1人で落ち込まないように。わたしの眉毛の抜毛癖が始まったのも丁度その頃だ。母がわたしを怒っている時に教科書をぶん投げたことがある。びっくりしたけどすぐに謝ってきたのを覚えている。

 そんなこともあったけど、周りのサポートのおかげで母の状態はわりとすぐに回復して、家族のために一生懸命働いて家事と育児をしてくれた。

 母はわたしのことを20歳で生んでいる。今年29歳になるわたしからしたら、とてもじゃないけど考えられない。きっと周りが楽しそうに遊んでいる中、お金もなかっただろうし、我慢してきたことや犠牲にしてきたことがたくさんあったと思う。だけど父と今も仲良く過ごしていること、妹とわたしを育てあげたこと、本当にすごいよ。

 わたしは眠れないこともあるけど、それなりに幸せに生きているし、コンロトールはちょっと難しいけど気持ちが落ち込む回数も少なくなってきたから大丈夫だよ。あと他に話せる人もいるし、支えてもらっているから。そういう状態の自分に気づいて、何かしらの行動はとれるようにもなってきたよ。だからちょっとくらい放っておいても大丈夫だから、小言は言わないでおくれ。

 誰も悪くないから、自分を責めなくていいし、誰も責めなくていいから。ただ気にかけてくれることには感謝しているよ。いつもありがとう。

 今日のノートはこれにておしまい。

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