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雑談で事業アイデアをドライブする。オンライン時代のリアルなミートアップのやり方(の秘密)


アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない
既存の要素を新しい組み合わせに導く才能は、物事の関連性を見つけ出す才能に依存するところが大きい

『アイデアのつくり方 』(ジェームズ・W・ヤング著、今井茂雄訳、CCCメディアハウス)Wikipedia

ジェームズ・W・ヤングの名言を引用させてもらうと、アイデアが生まれる状況というのはどこだろう?僕は雑談だと思ってる。最近見かけた面白い事や場所を理解してくれそうな人にワクワクしながら打ち込んで、絶妙に打ち返される言葉のラリー。それは時に常識のライン上で跳ねてぶっ飛んだアイデアに変化する。

既存の要素=個人の持つ情報
物事の関連性を見つけ出す才能=打ち返してくれそうな人

しかしコロナ渦を経てオンラインベースでの仕事が中心になるとやはり雑談が足りない。圧倒的に足りない。機会がないのだ。オフィスや対面の場合のふとした空き時間やランチやお茶、帰りの一杯etc...…すべてなくなってしまった。

あ。申し遅れました。私。音と旅と株式会社の副社長の高橋ひでつうと申します。一般社団法人日本ホームパーティー協会会長、ホームパーティー研究家やピクニック研究家としても活動しています。

オンラインに向いてること、向いていないこと

そもそも作業の効率化の為にやっているオンラインミーティングと雑談は、非常に相性が悪い。進捗報告や共有や確認作業にはとても有効なのだが、そこに雑談を挟み込むと効率化のベクトルと相反してノイズになってしまい、参加者の戸惑いを招いてしまう。

例えブレストという前提でオンラインを始めても、画面共有の見にくい資料に目を凝らしながら、一覧で表示される参加者全員の表情や反応、そしてミュートや回線状況を気にしながらetc ...。気を配るところが多いし、鼻くそもほじれない割には、熱量や情報量が対面よりも少ないし、齟齬や誤解を生まないようなソフトな言い回しになり、なかなか議論が本質にたどり着けない。アイデアジャンプもしない気がする。これは面白くない。そこで雑談にフォーカスしたリアルな機会=『ミートアップ』をスタートすることにした。

結論から言うとミートアップで組織は活発化し、内外の面白い人とどんどんセレンディピティで繋がる。新しい事業がどんどんスタートして、採用的にも効率最高なのでみんなやった方がいいよということなんです。

以下やり方をまとめておいたので、ぜひ皆様も開催の参考にいただければと思います。

ミートアップ(僕ら流)のやり方

まずはミートアップをするにあたって、偶然な出会いによるアイデアの創出という目的のために何個かルールを作った。コロナ前と同じ働き方の価値観に合わせるのもイケてない。昭和の喫煙スペースや飲みニュケーションとは違い、令和には令和の雑談スタイルがあると思うので我々のやり方を5W1Hでまとめてみた。


1.いつ When
2.どこで Where
3.誰がWho
4.何をWhat
5.なぜ?Why
6.どのように How


1.いつ →定期的に。僕らは毎月第三木曜日

「顔出しますレベル」や「家でご飯食べたいです」とサッと帰りたい人向けに夕方18時から、「ガッツリとことん話したい」人向けに終電で帰れる時間まで(23時頃)幅広く設定した。勿論いつ来て、いつ帰ってもいい。

参加の調整コストを下げること、運営のPDCAを回すために定例化。週末は個人の予定に食い込むし、月末月初は皆忙しい。逆に地方から出張絡めてプライベートで都内に来たいメンバーもいたり、お酒をぐいぐいと飲む人もいるから週の前半は気分じゃないので、この週のこの曜日になった。繰り返すけど参加は自由。いつ来て帰っても構わない(大切なことなので2回いいました)。

2.どこで →オフィス以外の話が弾む場所で

我々はお洒落な古民家を改装した、渋谷の円山町にあるスタンディングバー渋谷花魁 SHIBUYA OIRAN で行っている。

この素敵な場所のプロデューサーを務めるカワムラユキさんが我々のプロダクトを一緒に手掛けているというご縁もあり、ここに。築90年の古民家をリノベーションしたオシャレな空間は、「地方のカルチャーを投資とハンズオンでリミックスして世間に出していくお手伝いをする」事業会社である我々、ローカルツーリズム株式会社 のイメージとして来場者に伝えるのにはぴったりなスタイリッシュな場所だと思う。目立つ外観の路面店なので道案内するのもわかりやすいし。

メンバーに音楽好きが多いのでDJブースがあるのも嬉しい。音量適切なセンスあるBGMは会話を促進させる。話が弾んでも渋谷はターミナル駅なのでなんか別件ついでに……という感じの参加者も来やすいのと、終電が遅いのが助かる。Wi-Fiをお借りさせてもらって、仕事が途中でも参加したいモードなメンバーは二階の小上がりで作業できるのもありがたい。定例化と場所を固定することで来場者がSNSでシェアする事で告知のカロリーが下がる。今回来られなくても「次回は自分も参加したいな」という気分になってもらえてるようだ。

またスタンディングのバーなので、立食パーティーのように席が固定されないのでいろんな人とちょこちょこと話しやすい。これは雑談目的には最適。また、キャッシュオンデリバリーなので一杯だけでもいきやすいし、奢りやすいし、奢られやすいし、割り勘とか精算の手間も省ける。電子マネー対応も最高。

3.誰が→社内外参加自由

参加するのは完全に自由。いつ来てもいつ帰ってもよい(3回目)これは口を酸っぱくして何度も何度も言わないといけない。参加する人が増えると「行かなきゃ」という義務感になってしまうが、そこはツンデレに『べ、別に来てほしいワケじょないんだからねっ!』と繰り返してる。

雑談をするのが義務に変わると、それは仕事のブレストになってしまう。ミートアップで会議と同じことをやっても意味がない。セレンディピティ(偶然な出逢い)を生むためにも、誘う人はメンバーから外部の事業パートナーさんからクリエイターさんから、インターンをしたい方まで。もう誰でもOKにしてるし、極力同伴者も連れて来てほしいと声がけしている。

ただ、主催がどこで、なんの方向を向いてる人の雑談する会か? というのはさらっとFYI的に明示しておく方が参加者の目的意識は高まる。なので、事前にこんなことをやってますということは事前にシェアしてる。

6.どのように→いけたらいくわ〜精神でゆるっと。

※④何をWhat ⑤なぜ?Why は前段で書いてきたので割愛。

まず参加者の声がけはSNSでさらっと。あまり予定を前からガッツリ入れさせて出欠取って絶対来てね(圧)みたいなのも雑談する会ぽくないので。ドタキャン上等。ドタ参加歓迎。来れたら来てね。いけたらいくわ。な関西人マインドでとお願いしてる。いけたらいくわ。何というセレンディピティ的な素晴らしい言葉なんだろうか。行かなくても気楽。行ったら本当にきてくれたんだ!と歓迎される。それくらいのテンションが雑談目的のミートアップには良いと思う。

当日は経営のボードメンバーはホスト役にまわる。来場してくれたメンバーとオンラインではとれない空気感は個人面談的でもあるし、事業パートナーの皆さんから新しい繋がりを紹介いただく場合もあるし、オンライン面接したクリエイターの方との距離感の補完をしたりがお互い気楽で効率が良い。またセレンディピティを生むためにも、あえて貸切ではなく通常営業をおねがいしているので、たまたまいらした一般の方からプロダクトの壁当てやフィードバックをさせてもらう場合もある。

ミートアップの翌日に

アイデアの実際の生産は5つの段階を経由して行われる。
データ集め
データの咀嚼
データの組み合わせ
ユーレカ(発見した!)の瞬間
アイデアのチェック

『アイデアのつくり方 』(ジェームズ・W・ヤング著、今井茂雄訳、CCCメディアハウス)Wikipedia

ミートアップは1日でやれること盛りだくさんで、面白い人がさらに面白い人を連れてくるてネタが縦横無尽に広がっていき(データ集め)次々と新しい出会いやアイデアが開放的な空間で雑談の泉から溢れる(データの咀嚼)こんなことしたら楽しくない? 面白くない? リソースは? 資金は?(データの組み合わせ)そしてよっしゃやろう!(ユーレカ……発見した!)の瞬間)昨日はたのしかったねーとSNSをみたりDMやりとりしたり(アイデアのチェック)。

思わぬ効用も

また、これは副産物なんだけど、ミートアップでの雑談は組織のコミュニケーションの割れ目を早期に発見して、雑談は埋めるパテのような機会になります。我々は特に人に投資するファンドの事業会社なのでそこは大切にしていきたいと思っています。

感情のダムの決壊は小さなヒビから入り、早めの補修はコミュニケーションの齟齬を埋めるために必要。でもなかなかオンラインで気が付きにくい部分でもあるので、ミートアップが定期的にリアルであるというのは『それまでに考えをまとめておこう』的なマイルストンとしてとても良いなと思っています。オンラインで生まれた齟齬やモヤモヤはリアルで埋めるのが手っ取り早い。戦争から家庭まで。世の中のほとんどのトラブルというのはコミュニケーションの齟齬から生まれるので。組織も同じではないかなと。

と、いう訳で、僕らの2022年内のミートアップ予定は……

11月17日、12月15日。毎月第三木曜日に渋谷花魁 SHIBUYA OIRAN です。夕方から終電前までお気軽にお待ちしてます。

いけたらいくわで、来れたら来てね。


文・高橋ひでつう 撮影・藤井みさ

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