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あいつの転職-2022/1/25
天使から悪魔への転職は簡単だが、その逆は難しい。
だから最上級悪魔から平の天使に転職してきたあいつはエリートだ。
わざわざ悪魔での地位を捨ててまで何故転職したのか、
俺にはさっぱり分からなかったが、
聴けば悪魔にも悩みはあるらしい。
「僕には悪魔は向いてなかったなあ。
人間が僕のこと見て恐れおののく度にしょんぼりしちゃうよね。」
なるほど。
確かにいつものほほんとして、
社食のからあげを分けてくれるこいつは悪魔向きではないのかもしれない。
「だけど最上級まで上り詰めたんだろ。
じゃあ営業成績は良かったんじゃないの?」
からあげとご飯、みそ汁、サラダ。
俺は三角食べをしながら聞いてみる。
「うーん、他の人達はちゃんと脅したり奪ったりしてやってたんだけどね。
うーん、僕の場合は人間に懇願して堕としてたみたいなところあるから…。」
なるほど。大変な仕事である。
そして、普通の悪魔よりこいつの方がよっぽど怖いなと思いながら、
俺は午後の天使会議の資料に目を通した。